43.明日の予定 と報告会。
ダンジョンを出てから、ご飯までの一幕です。
数字はスルーしていただいて大丈夫です。
「明日私たちが下層に潜るよりも、明日もう1班か2班、身体強化使える班を増やした方がいいかなって思ったんだけど、どうかな」
考えてみればノルマをささっと集められる班が増えれば、その分残った時間でポルカの食料が増やせるのだ。ならばなるべく早く始める方がいい。
片栗粉は主食では無いし、ドライイーストは夜中に私が集めればいいことだ。
眉尻が上がった彼らではあるが、私の提案に眉間のシワが倍に増えた。
考えても結果は変わらないと思う。最初は空気を変える為に必死に考えて思い付いた事ではあるが、私は完全にその気になってしまっている。
「うん、そうしよう。そうすれば肉ダンジョンで3班一気に潜っても、慣れれば中層で10対60匹でも勝てるようになる!」
そうだよ。肉ダンジョン、まあ私にとっては食材ダンジョンなのだが、そこの中層は1人に2匹湧くのだ。
10人居れば20匹。20人で40匹。そして30人で60匹。……考えるとすごいひしめき具合だな。
でもさっきの粉ダンジョンと同じ中級ダンジョンなのだから、モンスターの強さは同じぐらいだろう。
5対15が楽勝なら、10対30だって楽勝だ。だったら10対60なら本気でやれば確実に勝てると思われる。
私が脳内で勝手に話を進めていたら、ソルたちに「おい!」と言われた。「はい?」と即答。
「肉ダンジョンで10対60なんて、本気でできると思うのか?」
4人ともが難しい顔をしている。む? きみたち、ちょっと考え方を変えればいいのだよ。
「あのね、10対60って言ったからびっくりしたかもしれないけど、1対6になるって事だよ? さっきだって中層で1対3まではやれたし、それだってすっごい力抜いてたって勝てるようになってたよ。って事は少し本気になれば、1対6だって簡単だと思うけど」
私がゆっくり言ってやると、ロンさんは「なんだかできそうだな」と言い始めた。
しかしソルたちは「そうか?」とまだ不安気だ。そこでもうひと押し。
「付与使える人なら、小石に投てきする時の付与して全員に投げさせればいいじゃん。10人で1個ずつ投げれば10匹減るし、2個ずつなら20匹、3個ずつなら30匹。まあ60個ポイって捨てれば勝手に当たってくれるわけだから、モンスターが何匹いようが負けるはずが無いんだよね」
私の話を聞いた4人は、途中から開いた口が塞がらないようだった。
しかしこの方法、問題もある。そこは身体強化か土魔法でカバーできる事ではあるが。
「問題は、小石を集める時間だよね。何部屋やるか考えると、すっごい量だもん。異空間収納の付いた腰巻きの鞄が絶対要るし、落ちてる小石は無くなるだろうしね。そこはまあ土魔法で作るか、身体強化でここの壁を掘ればいけるけど」
そこも教えると、いつの間にか寄って来ていたロジ少年が考えている顔で言った。
「それ、付与が一番すげえってことじゃないか?」
「う~ん。付与って付与する物が無いとできないからね。攻撃だけなら魔力飛ばすだけの方が簡単じゃないかな」
うん。魔力なら拾わなくてもあるしね。自分で言って自分で納得だ。うんうんと頷いていたら、
「よし、じゃあ明日からやるか」
とソルが言い出した。ユジとターヴも頷く。ロンさんもだ。
ロジ少年が「何を?」って顔で首を傾げたので、私が「他の班に教えるのを、明日からにするんだよ」と教えてあげた。
ソルが全員を集めて「他の班に教えるのは、明日の次の日じゃなくて、明日からにする」と告げた。ボイフたちにも「悪いが頼む」と声をかける。
「明日は下層だと言ってなかったか」とボイフが聞いて来たので、私が答えておいた。「歩きながらそこは教えるよ」と。
そして「食後に明日からの事で話し合いをする」とロンさんが言って、とりあえず村に戻ることになった。
しかし私とボイフたちは一旦街に戻る。
ボイフたちは粉を家族に届けなければならないし、宿泊の準備もある。
私は道具屋でポシェットと私が呼んでいる腰巻き鞄を根こそぎ買って来ようと思っている。戦闘中は本当に助かってるんだよね、この鞄。なので付与を覚えた人からプレゼントしようかと思っているのだ。
そうすればほら、歩いてる時に小石を見つけたら、拾ってすぐに入れられるから便利だ。必須アイテムだと思うんだよねポシェットって。
私はボイフたちに先ほどの予定変更の事情を説明して納得してもらった後、身体強化を速さに振って走った。
速さだけを考えて身体強化を使う事を教えて、私だけ先に行かせてもらった。村の場所は教えてあるので後で来るだろう。
私は道具屋に着くまで全速力でひた走り、付与有り付与無し関係無く、在庫も合わせてポシェットを買い占めた。
数が13個しか無かったので「追加はいつ入るのか」と訊いて、その話の流れでこの街の職人さんが作ってるのだと知った。
店主が注文を入れてくれると言うので、とりあえずポシェットを優先的に作ってもらう事になったが、「職人さんの他の仕事の邪魔にならないか」と心配したら笑われた。
「鞄はそんなに売れない。注文されりゃ泣いて喜ぶさ」
そうだったのか。付与された方の鞄は値段が値段だから、一度買えば大事にする。だからめったに買い替えない。この街の貴族の使用人が買いに来るが、そんな頻繁でも無いと言う。
そんな事情を教えてもらったが、この道具屋大丈夫なのだろうかと心配になってしまった。
「あんたが一番買ってくれる。頼むからもう少しこの街に居てくれよ」
社交辞令だろう事を半分本気の目で言われたが、もう少しなら確実に居るだろうから頷いておいた。
さて次はと。
道具屋を出てこの間頼んだのとは別の製鉄所に行って、丈夫な四角い型をひたすら作って欲しいと頼んだ。パウンドケーキ型と食パン型を頼んだのである。もちろん先に食パン型を優先してもらう。
そしてまた別の製鉄所に行って、小さいフィナンシェ型と丸いケーキ型を頼んだ。ケーキ型は底が抜けるものと、抜けないものを2種類頼む。こちらは底の抜けるケーキ型を優先的に作ってもらうことにした。とりあえず1人4分の1計算で、65個だ。
品質は付与でなんとかなるので、どちらの店でも図とサイズを書いて見せて、大きさを揃えて作ってもらうように注文した。
粉ダンジョンの下層に全員が潜れるようになったら、獲れた砂糖でケーキを焼いて祝ってあげたいと思う。
型を少し多めに頼んだのは、私個人用とガザたち用のも欲しいからだ。今はともかく、ガザはそのうち料理にハマると見ている。
この間の製鉄所と木製所を覗き、それぞれの試作品を見せてもらって量産をお願いしておいた。
フライ返しやお玉など、細々した物が少し出来ていたので、お金を払ってもらって行く。
さて村に戻ろう。今日のご飯は野菜炒めだ。
キャベツはシャキシャキ、玉ねぎは甘く、肉はジューシーに焼き上げたい。
+ + +
俺たちは村に向かって歩きながら、今夜の話し合いに向けて皆で意見を出し合っていた。
「まずは身体強化だな。狩りは速さが大事だってのが解った」
「そうだな~。まさか今日だけで集まっちまうとは思わなかったぜ」
「身体強化だと疲れないしな」
「ああ、上層でずっと走りっぱなしだったが、全然疲れなかった」
「モンスター増えても平気だったしな」
「だな。止まって見えっからまだ増えてもいけるな」
「俺みたいなチビでも皆に付いてけるし」
「おう、俺たちと変わらんかったな~、ロジ」
ロジの頭をぐしゃぐしゃとミノが掻き回す。揉まれたロジが「わわっ」と慌てて、それに皆が笑い声をあげた。
それに混ざって俺も笑う。笑いながら、ふと昨日、いやその前の日からの変化を思った。
肉ダンジョンで助けられて、剣に付与をかけてもらったのがきっかけだったと思う。
そして昨日の森と飯、今日はダンジョン。ずっとヨリと一緒だった。
ヨリは宣言通り身体強化やらいろいろを、俺たちが使えるようになるまで教えた。
俺は最初、説明されてもよく解らなかった。だから自分が何をやりたいかを考える事もできなかった。
どういう戦い方があるかを見せられた時に、やっと自分の戦い方を想像できるようになって、その想像を繰り返していたら、身体強化を使えるようになっていた。
ヨリに教えられて皆がすぐに使えるようになった。「普通はこんなにすぐ使いこなせるもんじゃ無い」とロンさんが興奮していたのを思い出す。
使いこなせてるかどうかは判らないが、今日の収穫にはびっくりした。今日の帰りの自分たちを思えば、次からはもっと多く狩れる。
ヨリの言う通り、ダンジョン組全員が身体強化を覚えれば、確実に自分たちが食べる分も獲れるようになるだろう。まさか実現するとはな。
「なあソル、今日の晩飯なんだろーな」
ジルの声に物思いから覚める。
「さあな。だがヨリが作るのは何でもうまい」
そう返して顔を緩めた。俺の言葉に全員が「うん、うまい」と頷いた。
いつもであればダンジョン帰りなど疲れ切って口数も減る。だが今日はどうだ。
2日で集める分を1日で集め、身体に疲れも無く皆が笑いあって飯の話なんかをしている。
昨日の晩飯までは、晩に飯を食うなんて考えた事も無かった俺たちが。
ふと分配の時に小麦粉と薄力粉を5袋ずつしか取らなかったヨリと、目が合ったのを思い出した。
ヨリは「にっ」と笑って俺に頷いた。「そんなに要らない」というのは、どうやら本当だったらしい。
「何笑ってんだソル!」
言いながら、ビスが肩を組んできた。どうやら俺は笑っていたらしい。
「ヨリの事を思い出してたんだよ」
正直に話す。こいつらはガキからずっと一緒だ。そんな奴らに隠し事なんかしない。
俺の言葉に他の奴らが「ヨリがあーだ」「ヨリってどーだ」と始めた。
まあ主に1人で1部屋を片付けた時と飯の話だ。
俺はそれより、あの大声にびびったんだが。
「あの細っこい身体で、あんなでかい声を出すとはな…」
俺がそう呟くと、「ありゃびびったな」とロンさんが笑いだした。それに乗って皆も口々に言って笑い合う。
「ありゃでかかった」
「耳が痛くなったぜ」
「俺は跳び上がったね」
「お前俺の後ろに隠れやがっただろう」
「んなわけねーじゃん、たまたま後ろに居ただけだっつの!」
「ロジは隠れたんじゃなくて、俺を盾にしたんだよな」
「ターヴさん、からかうなよな~」
ど突き合い、叩き合い、笑い合い。
こんな気持ちいい日は初めてだなと、心の底から笑った。
皆もそうだったろうと思う。
村が見えて来たら、もっと楽しくなった。
「たまには身体を拭いて、さっぱりするか」
皆に声をかけて走り出す。久しぶりに水を掛け合って遊びたい気分だ。
皆が負けじと走り出して、誰からともなく身体強化を使い出した。もちろん俺も使ったに決まってる。
川に着いたら、「大人気が無い」と全員でゲラゲラ笑い転げた。そんでぎゃあぎゃあ言いながら水を掛け合い、また笑う。何事かと村の連中が集まり出したのに気が付き、合図をして皆でその場を逃げ出した。
ずぶ濡れで広場に向かうと、その途中でヨリと鉢合わせた。ヨリが細い目を大きく開いてびっくりしてるのを見て、また俺は「ククッ」と笑ってしまった。ロンさんとターヴは少し恥ずかしそうだったけどな。
「皆、風邪ひくよ」
また細い目に戻ったヨリが言って、片手を上げて軽く空気をかき混ぜた。暖かい風が吹いてくる。
そうしながら、「脱水」「乾燥」と言って俺たちを手早く乾かして、俺たちが礼を言う間も無くスタスタと広場に向かって歩き始める。
「助かった」
決まりは悪かったがヨリの後を歩きながら礼を言ったら、ヨリは頷いた後に「ボイフたちの事、皆に言っておいてね」と言って、調理小屋にそのまま入って行った。
そういえば奴らの事をすっかり忘れていた。皆にも伝えて小屋をどこにするかも決めないとだな。
「小屋は2つ隣合わせで空いてるところでいいと思うが、肉屋の事を話すのはいつにする?」
俺はすぐに切り替えて、くるりと後ろを振り向いて相談を始めた。
「ダンジョン組にまず説明した方がいいか? それとも多少打ち解けてから説明した方がいいか?」
ターヴはこういう時、考えをまとめるのが早い。俺の質問に、ターヴが答える。
「今から報告し合う時に、肉屋が手伝ってくれたって説明すりゃいい」
「そうだな。そんで明日も手伝ってくれるから泊まる事になった。でいいだろう」
ロンさんはまとめるのが上手い。そしてユジも頼りになる。
「じゃあ今日の飯はバラけよう。ダンジョン組のとこに肉屋を1人連れて混ざるようにすりゃあいい」
最後に決める係が俺だ。
「よし、それでいく。ユジ、報告に行くぞ」
今日は夕方に出発する班が5班ある。報告はそれまでに済ませるのが決まりだ。
報告は俺たちの小屋の後ろの広場でやる。
すでにダンジョン組のすべての班の班長と副班長がそろっていた。
「悪い、待たせた」
声を掛けて輪に混ざる。
「時間が無い。すぐに初めてくれ」
そう言ったのはこれから肉ダンジョンに潜る班の班長だ。
「ああ。じゃあ頼む」
俺はそれに返事をしてすぐに始めた。「頼む」と顔を向けた先は、肉ダンジョンに潜った早朝の1班と昼間の1班だ。
「うちは牛肉42個、豚肉38個、卵76個、長いのが73個、モモ肉214個、ムネ肉121個。後は白いのが3個、色が分かれてるのが5個だ」
「うちは牛肉37個、豚肉44個、卵82個、長いのが86個、モモ肉204個、ムネ肉125個。白いのが8個、色が分かれてるのが2個」
ユジがそれを聞いて地面に書いて行く。そして2班の量を足して書いたのを、ソルが読み上げるのだ。
「牛肉79個、豚肉82個、卵158個、長いのが159個、モモ肉418個、ムネ肉246個、白いのが11個、色が分かれてるのが7個だな。このまま続けてくれ」
これから肉ダンジョンに潜る班の班長と副班長が頷いた。
ここに居る者たちは皆、数が数えられる。そうでなければ決められた量を、計算して集めて来る事などできないからだ。
よって強さだけでなく計算ぐらいはできる頭を持った者が班長と副班長に選ばれるのだ。
俺は村で一番計算が出来たから頭領なんかを任されたと言うわけだ。
「後はうちだな」
俺が言う。ユジは数字を書く係だ。
「うちは小麦粉680袋、薄力粉534袋、ハチミツ252壺だ」
ユジが地面に数を書き出しているが、まばたきもしないで俺たちは凝視された。
まあ信じられないだろうからな。
「本当だ。確認したきゃするんだな」
言ってヨリに渡された収納袋をそっちに放る。
肉ダンジョンに昼間入った班の副班長が、すぐに中を確認し始めた。
それら全部を出すのには、ここに居る全員が協力しても時間がかかる。その間に言うことにした。
「今日、ヨリとロジの知り合いの、街の肉屋のパーティーと一緒に潜ってきた。16人でパーティーを組んでな」
俺が言ったらすぐに元ターヴの副班長だった今は班長の男が言ってくる。
「中層はどうやった」
「5人パーティーを組んで、5人で16匹ぐらいを相手にした」
ユジが答えると全員がバッとこっちを見た。
「嘘じゃない。ヨリにかなり色々やらされた結果だ」
昨日の夜、粉ダンジョンの班と交代して欲しいと言ったときに、「ヨリと粉ダンジョンで試したい事がある」と皆には伝えておいたのだ。
「肉屋の連中も手伝ってくれたしな」
ここはしっかり言っておかないとな。もうすぐ肉屋の連中が来てしまうだろうから。
「肉屋とヨリが入ろうが、この数はおかしいぞ」
別の班長が言ってきた。彼らはまだ袋から一生懸命出している。
「俺たちが身体強化できるようになったからな」
俺が言うと、班長の1人が「なんだそりゃ」と訊いてきた。他も頷く。
まあ見たことは無いだろうが、ロンさんが使えてたって話を覚えてる奴は居ないんだろうか。
「ロンさんが言ってたの覚えてる奴はいないのかよ」
ユジが代わりに言ってくれた。
「あ? ああ、力が強くなって、速くなってってあれか? あんなん冗談だと思ってたぜ」
袋に最初に飛びついた副班長が、動きを止めて言ってきた。
「ロンさんすごかったぞ。天井に穴開けてたからな」
ユジが笑って言う。俺も思い出して笑った。
「すごい音で、皆びっくりしてたな」
俺が言うと、うんうんとユジが頷く。
「まあ見てみないと分からんだろうさ。俺もそうだったからな」
笑いながら言って、ぐるりと班長たちの顔を見る。
何を言えばいいのか判らないでいるようだ。
なら先に言わせてもらおう。
「今日の礼に肉屋を飯に呼んだから、仲間に入れてやってくれ」
言いながら立ち上がった。良い匂いがしてきたから、そろそろ飯だろう。
ユジも尻の砂を払い落しながら立ち上がる。
「いい奴らだから、あんたらも気に入ると思う」
歩きながら振り返って言い足した。袋に片手を突っ込んだままの副班長と、他の班長たちが急いで出した物を片付け始めているところだった。出し終わってもいないのをまだやろうとしたら、飯を食いはぐれるのに気付いたのだろう。
「明日はどの班とやるんだ?」
ユジが訊いて来た。俺は考える。
昼間に潜るのが粉ダンジョン2班と、肉ダンジョンの朝の班と昼の班の2班しかない。
粉ダンジョンはもう明日は用が無いから、肉ダンジョンの班しかないな。
明日は肉ダンジョンの上層の日だ。丁度いいかもしれない。
「肉ダンジョンの早朝のに付いて行くか」
役人に言われてる物で、一番集めるのが大変なのがハチミツだった。あそこのモンスターは、1匹が気付いたら、一斉に襲ってくるというのが面倒だったのだ。塩ダンジョンの中層もそういうモンスターだが、粉ダンジョンの奴よりは弱いから問題じゃない。
その粉ダンジョンはもう気にしないでも良くなった。じゃあ次はと言えば、肉ダンジョンが気になるに決まっている。
「肉ダンジョンでうまく狩りができれば、楽になるからな」
「じゃあ昼の班でもいいじゃないか」
ユジが首を捻って不思議がるのに、俺は「クッ」と笑ってしまった。
「何笑ってんだ」
ユジが睨んでくるが、俺はユジを笑ったわけじゃない。自分を笑ったのだ。
「早く行きたくて我慢できねえなんて、自分がガキみたいでな」
言ってまた笑ったら、ユジが機嫌を直して「俺もそうかも」と一緒に笑った。
さっそく明日の予定を皆に言わなければと、広場に向かいながら気が急いだ。
途中でこっちに向かって歩いてくるロンさんと、その後ろに肉屋の連中を見つけた。
ユジも気付いて「おーい!」とそっちに手を振る。あっちも気付いて手を振ってきた。
街とは真逆の方から歩いてきたって事は、もう荷物は置いてきたようだ。
飯を食って明日からの相談をして、寝て早く起きて肉ダンジョン。
自分の中の計画を、まずはヨリに伝えるべきだろう。
「ユジ、あいつらを頼む。俺は明日の事をヨリに言う」
肉屋の案内はロンさんとユジが居れば充分だろうからな。
俺はユジが頷くのを最後まで見ずに駆け出した。
ヨリは着々とケーキを作る準備をしています。
ソルは早く肉ダンジョンに潜りたくてソワソワ。
私は肉ダンジョンのモンスター湧きやドロップ数などの計算に「ぬぬぬ」
ドロップ数は、ぼかして書くのは今後まずいかなと毎回頑張って書いていますが、皆さんは華麗にスルーしてくださっても大丈夫です。
「前はこんだけ獲ってたけど、今はこれだけ獲れるようになったよ」
大事なのはそこだけなんで!^^b




