41.その後の粉ダンジョン中層 それぞれ。1 (3月31日修正&加筆)
休憩後です。
それぞれの心中です。
今彼らが居るのは、粉ダンジョン中層の3層目だった。
上層も入れると13層目ということになる。
2度目の休憩の後3人ずつに分かれて3回ずつ3対3をやり、それから2人でパーティーを組んで3対6~7を3回、3人でパーティーを組んで3対9~11を3回。ヨリの指示で徐々にモンスターの数を増やしていった。
ヨリとビエルの話を聞いていたのか、その間に全員が身体強化を使えるようになっていた。おかげで1戦ずつが早い。
そして今は5人パーティーを組んで5対15~17をやっているところだ。
ソルたちはこの日まで5人パーティーでモンスターを15匹から17匹にしてから、20人で狩っていた。
2対1の方がもちろん安全で時間はかからないが、この広い部屋で3匹を5人で、6匹を10人で、12匹を20人でやると互いが離れすぎて隣の助けに入れないし、20人で1部屋の収穫が薄力粉が8袋とハチミツが4壺では少なすぎる。
かと言って18匹から20匹を20人でやれば、少し厳しい。よってその間の15匹から17匹なのであった。
1部屋15匹として、15分ほどかかっていた。
収穫は、薄力粉が10袋とハチミツが5壺。時々白い粉の入った小瓶。
戦闘が始まると強い者はすぐにモンスターを仕留められるが、そうでない者は何度も攻撃しなければならない。そこに仕留め終わった者から手伝いに入るのが流れとなっていた。
終わってから薄力粉とハチミツを拾い、次の部屋へと向かう。
3部屋やれば疲れる者が出てくる。命に関わるのでそこで休憩だ。
移動と休憩を合わせて3部屋で1時間ほどかかる。1時間で薄力粉が30袋とハチミツが15壺だ。そして小瓶。
ヨリに付与してもらった剣を持っている7人は、肉ダンジョンと粉ダンジョンの中層のモンスターであれば一撃で仕留められるようになっていたが、それでもモンスターと接敵するまでの移動時間もある。早くても2分はかかった。2対1であればその半分くらいで仕留められはした。
だが身体強化を覚えてからは、30秒とかからない。身体強化に魔力を練り込む時間を入れて、その時間だ。
ボイフたちは5人で3匹を倒すのに、やはり10分はかかった。
広い部屋に3匹だ。まずどれか1匹に3人で近付くことから始める。そしてその1匹を3人で仕留めてから、次に来たのを2人で仕留め、その間に残りの1匹を3人で仕留めるのだ。
もちろんモンスターが来るまでに余裕があるようなら、次に来たのを3人でやったりもする。
それでも1部屋10分で、薄力粉2袋とハチミツ1壺、時々白い粉の入った小瓶。
白い粉の小瓶は、ヨリにとってはレアでも彼らにとってはゴミより邪魔なモノだったに違いない。
それが今や5人でパーティーを組んで、15匹~17匹になったモンスターを1分とかからず仕留めている。
収穫は1分で薄力粉が10袋とハチミツが5壺。そして白い粉の小瓶が無ければそれが少し増えるのだ。
移動も速い。なにせ話し合う事は各班が移動や待機の間にするし、部屋に入る順番は決まっている。
もう安全圏も必要ない。通路で終わるのを待ち、終われば2班はすぐに次の通路に走り、狩りが済んだ班はササッと拾って後に続く。そんな感じだ。
その中で緩む顔を意識して引き締めながら、ロジがこんな事を考えていた。
+ + +
身体強化が使えるようになった!
嬉しい! すっげえええええ嬉しい!
しかも自分の考えた通りに身体が動くの、めっちゃ気持ちいいし!
ヨリはいっつもこんな感じだったんだろうか?
初めて使う時には、とにかくヨリみたいに速く動いて突きを入れることしか考えてなかったんだよな。
ほんとできて良かった。
う~~、その後ヨリにグルグル回されたことは忘れてえ。
ヨリがすっげえ喜んでくれたのは嬉しかったんだけどさ。恥ずかしかったし、気持ち悪くなったし…。
でも、皆が「魔力がグルグル」って言ってたのが、やっと解った。ほんとにグルグルするんだな。
あの後パンを食って、それからまた始めた。途中でちょっとヨリが言ったことで変な空気になっちまたけどな。
そんで今は5人でパーティーを組んでモンスターを17匹くらいにして、5人ずつやってるとこだ。
その5人は、さっきも組んでた5人だ。
また5人で話し合って、やり方を決めてやってる。
ヨリは相変わらず時々教えてくれて、後はドロップ品を数える係をやっていた。
魔力を増やす付与をもらわないと、俺たちはこんなに早くいろいろ出来るようにならなかったはずだとロンさんが言ってた。
今感じてる魔力も、魔力感知という付与が無ければ、ここまでしっかり感じられないんだって。
そんでいろいろ教えてくれて、飯も作ってくれて、弓も槍もくれて的も作ってくれて。
ヨリってほんとすげえ。俺の事を友人なんて言ってたけど、ヨリは今でも俺なんかを友人にしたいと思ってるんだろうか。ガザとかロンさんと仲良さそうだし。
いっつも俺のことを気にしてくれていることは知ってるんだよ。
ほんっとチラチラ見て来るし、にょろにょろ何か伸ばしてくるしな。
あ~~~、俺ってグジグジ情けねえ!
まずはヨリの足手纏いにならないように、下層だろうがボスだろうが、びびらねえくらい強くならねえと……。
+ + +
ロジはどうやらヨリの足手纏いになりたくなくて、身体強化を覚えたかったようだ。
「ヨリみたいに」とイメージしていたから、姿が見えなくなってからのドン! をそのまま再現できてしまったのだろう。
いろいろやってくれる凄すぎるヨリに少し距離を感じてしまっていたが、身体強化を覚えることができてからは少し顔が明るくなったように見える。
さて次は現在戦闘中のガザだ。
彼は「ヨリに釣られる男」として肉屋組の中では要注意人物になり始めている。…いやもうなっていた。
しかし彼はその面倒見の良さや男気から、大抵の事は黙認されるという、得な男だった。
ガザはボイフと同じぐらい背が高く、筋肉も厚い。そしてそのイケメン顔で街にはファンが数多くいるが、彼の中身に触れた者は、口をそろえて「彼のイイ所はそんな所ではない」と言い張るのだと言う。ちなみにファンは女性にとどまらない。
偉そうな態度に最初は「ムッ」とくるものの、付き合ううちに皆メロメロにされていくのだそうだ。
その「彼のイイ所」は、この混成パーティーでもわりと最初のころから発揮され続けていた。
彼のスゴイ所は、まったく自然にその行為や言動をする事にある。
そしてまたボイフ言うところの「天然たらし」スキルが発揮されつつ……。
+ + +
今まであんなに苦労してた中層で、こんなに楽に狩りができるなんてな。
しかもこんな事を考えながらの狩りだ。同じ班の連中も余裕でやっているし。
粉ダンジョンにポルカの連中と潜るかと訊かれた時。
ついついヨリの言葉に踊らされて返事をしたが、時間が経ってみると上手くやれるのかと不安になったりもした。
街の人間に良い感情を持ってるわけは無いだろう。そして俺たちは街の人間だ。ロジだってビクビクしまくってたしな。
そんで来たら名前を言い合って、すぐに組んで上層だ。
ヨリが「この組み合わせで」と仕切りだした時は、何が始まってんだってワケが分からなかった。
仲間と離されてポルカの連中と一緒になって、正直「どうなるんだ?」ってびくついたもんだが、連中は普通に話して普通に笑った。まあ俺の心配はいらんかったって事が判った。
そんで「何の説明もなく実は魔力を付与してた」とか途中で言われて魔力感知を付けられて。
そのままあれよあれよと流されて、ポルカの連中と普通に笑って飯食ったり。
ヨリがポルカの連中に、そんで俺たちにもだが、魔力を付与して教えてまで覚えさせたい理由ってのはまだ知らんが、おかげで俺は身体強化ってのを覚えて、ボイフんとこもうちの弟も覚えた。
これって本当はすごい事なんじゃないのか?
つーか、これなら多分、下層も行けるぞ?
ヨリが言ってた下層で獲れるモノ。正直、半分以上諦めていた。
普通に潜って中層では5人で3匹しか狩れなかったのだ。初級ダンジョンの塩ダンジョンの下層で無理だと思ったのを、中級ダンジョンの下層なんて、絶対無理だと思っていた。
だが今日、何も知らされずにいきなり言われるがままやって。
いつの間にか能力開発がどうのと言うのにハマり込み。
ユジをハラハラ見ていたら俺も覚えてたっていう、よく判らん覚え方をし。
そのまま連中と飯の話で盛り上がり。
何でか明日の次の日から他のポルカの連中のも手伝うって話になって。まあこれは俺のせいなんだが。
そんで「じゃあちょうどいい」と、朝飯の話が気になっていた俺は、「泊まり込んでいいか」と思い付いたままに口走り。
俺の気迫に慄いたユジたちがソルに許可をとってくれた、と。
悪い。後半は全部俺のせいだった。
ボイフの弟たちと俺の弟は、俺がヨリにすぐ返事をするたんびに「えっ」とか「は?」とか声を出してたような気がする。
ボイフはいつもため息で伝えてくる。言いたい事があれば言う奴なんだが。
それにしてもヨリのやつは、何で俺が「やる」って言うのが判ってる事ばかり言ってくるんだろうか。
今までの事を少し思い出してみる。
……うーーーー、何かとチラつかせてくるヨリには腹が立つが、すぐに乗っちまう俺も俺か。
ん? ユジのやつ、何暗い顔してんだ? ……しょうがねえなあ。
+ + +
身体が軽い。今は17匹のモンスターを相手に5人で戦闘中だ。
モンスターがどれも1撃で砂になっていく。
身体強化を使うと、こんなに違うんだな。いつも必死だったのが、さっきまでの事を思い出してる余裕まである。
普通の魔力付与じゃ身体強化も付与も、こんなに強くはなれないとロンさんが言っていた。
ヨリはいろいろ考え込みながら、俺たちの人数やモンスターの数を変えて俺たちにやらせた。
少し心配していた肉屋たちとは、しょっぱなに3人で組まされてからは気にする余裕も無く声を掛け合うようになった。
なにせ3人の中に肉屋が1人。ビエルって奴は「よろしく」と緊張しまくりで入ってきたのだ。
しかもどう見ても年下で。これで気を遣わせるってのは、情けねえだろう。俺もソルも、ロジと話すように気を遣ってしまった。その甲斐あってビエルはすぐに打ち解けた。他の連中も上手くやってるようだった。
その後は5人になったり、また3人になったり補助がどうとか忙しかったが、結局全員が何かを出来るようになったのには興奮した。
飯の時の話も弾んで、5人班で一緒になったガザに朝飯の話をしたりなんかして。
そんで肉屋の連中が今夜から村に泊まるって言い出した時はびびった。ソルは「いいぞ」なんて言っちゃいたが、本当にいいのか?
訊いたら「他のダンジョン組にも慣れさせとかないといかんだろ」と言われて納得だ。
「今日は中層までで下層は明日潜るとヨリが言っていたから、他のダンジョン組と一緒になるのは、明日の次からだぞ」とロンさんが隣で教えてくれた。
そうか明日の次からか。教えられるんだろうか俺たちに? てゆーか俺に。
考えながらモンスターが落としたのを拾っていたら、傍に来たガザが声をかけてきた。
「何難しい顔してるんだ?」
今日初めてしゃべったのに、仲間みたいに話すようになったガザに答える。
「いや、他の連中に教えるってどうやればいいのかと思ってな」
それにガザが肩を竦めた。
「その時にならんと判らんな。ヨリのを見て、できそうな事からやってきゃいいんじゃないか?」
なるほどだ。俺の悩みをすぐに解決してくれるとは、こいつはやっぱりいい奴だ。
俺が「そうだよな」と納得して笑ったら、ガザが「悩むのは明日の次でいいさ」と俺の背中をポンと押した。
俺が周りを見ると、班の3人と他の全員が次の部屋に向かい始めていることに気付いた。
……もしかしてガザは俺の様子を気にして、それを聞くためにわざわざ俺のとこに来たんだろうか?
「おう、行くぞ」
そう言ってさっさと歩き始めた背中が、頼もしい。
…あいつ、めっちゃカッコ良くないか?!
+ + +
ガザの天然たらしスキルにやられたユジは、もうガザを「兄貴!」とまでは行かないが、それに近い感じで頼り始めそうであった。村でソルの副官的立場の彼にとって、ガザはいい相談相手となる事だろう。
それよりも通路で待機中の男たちの中で1人、とにかく鼻歌でも歌いだしそうに機嫌の良い男が居た。
ターヴである。そこにヨリがにじり寄って行く。普通でいいのに、なぜにじり寄るのかは謎であった。
+ + +
「ご機嫌だね」
ヨリにそう声を掛けられた。いつの間にか左に居た。
「ご機嫌て何だ?」
全く解らない。ヨリが気付いて「ゴメン、楽しそうとか嬉しそうとか、そういう時に使うんだよ」と教えてくれた。
嬉しいと楽しいなら解る。…そうだな、ならば俺は「ご機嫌」なんだろう。
「ああ、俺はご機嫌だな」
意味が解って頷いて答えた。そう言えばゆっくり話したことなど無かった。
だが言いたい事はある。ずっと言いたいと思っていた言葉が。
「あんたには、本当に礼を言うよ。まさか腕が治るなんて思ってなかった」
やっと言えた。ずっと礼が言いたかったのだ。ヨリが笑顔になって頷いた。これで俺もすっきりだ。
「で、どうした?」
俺から訊いた。礼を言われるつもりで声を掛けてきたわけではないだろうと思ったからだ。
案の定、ヨリは「うん、訊きたいことがあってね」と始めた。
「ターヴはすぐにいろいろ使えるようになってて、びっくりしてる。もしかして、何かコツがあるのかな?」
ヨリが首を傾げて訊いてきた。いろいろ使えるのはヨリも一緒なのに、何を言っているんだろうか。
「あんたの方がいろいろできるだろう」
俺が言うとヨリが眉間にシワを寄せて、「う~ん」と唸って言う。
「私はいつの間にか使えてたから、どうやって能力が生まれるかは、実は体験した事が無いんだよね」
そんな奴もいるのか。なら俺でも少しは役に立つか…。
「俺はずっと頭ん中でダンジョンに潜って戦ってるところを思い出してた。怪我した時、どうすれば怪我をせずに済んだのかってな。力があれば、速さがあれば、剣がもっと切れたら、とかそんなんばっかだな。で最後に、この怪我が治せたらってな」
俺の話をヨリがふんふんと聞いている。
「そんであの森で、またそれを考えてたんだ。腕が治ればロジを手伝ってやれるのにってな」
腕の怪我が無ければ、もっと作業が捗ったはずだ。
「そんでまあ自分の情けなさに落ち込みまくってる時にロジが怪我をして、あんたを探し回ったのに、居ないからイライラしてだな」
「ほうほう、それであの叫びで治癒を覚えたと」
そう言えばあの時出てきたヨリとロンさんは、どう考えても状況を知っていたよな。ヨリを睨んで言ってみる。
「あの時、隠れて見てたのか?」
「うん」
思った通りだったがその返事の悪びれの無さにはびっくりだった。
「ロジが怪我してたんだぞ?」
俺が責めると、ヨリに何故か睨まれた。そしてヨリが息を吸って。
「出て行きたかったに決まってるじゃん! もうどんだけターヴが治癒を覚えますようにって念じたと思ってんの? 治癒を覚えるならターヴかなって思ってたから、治してあげたいのを必死で我慢して待ってたの!」
息を荒げて言い終わったヨリが、「思い出して興奮しちゃったじゃないか」と照れたように苦笑いをした。
いやその剣幕の後に可愛げのある態度をとられてもな…。俺は引き気味に「すまなかった」と謝っておいた。
ん? なんで俺が謝ることになってんだ?
疑問に思ったが話はまたコツの話に戻っていたから、まあいいかと思い直した。
話の後に肩に「ポン」と手を置かれ、「頼んだよ」といい笑顔で言われた。
「俺かよ?」と言ったら、「ロンさんも皆も居るから大丈夫だって、ターヴ教官」とヨリが言う。
「ターヴ教官」の「教官」てなんの事だ? 話は終わったとばかりに「じゃあね」と背を向けたヨリに訊いたんだが、「教官は教える人の事だよ~~」と言いながらロンさんの方に行ってしまった。
+ + +
ターヴはずっと脳内で戦闘をイメージトレーニングをし続けていた。それがいろいろな能力をすぐに使えるようになるコツのようだ。一番先に治癒を覚えたが、彼であれば順番はあまり関係無かっただろうと思う。
まあ塩ダンジョンに潜る少年たちを待っている間、時間がこれでもかというほどあったのも良かったに違いない。
そのイメージトレーニングの腕を買って教官に任命しておいた。面倒見のいい彼の事だ。任命されなくとも率先して教えるだろう。うむ。
ターヴの後はロンさんだ。私はがロンさんににじり寄る。…やはりにじり寄る。
私はロンさんの横にそそっと入り込んで声を掛けた。
「ねえロンさん。他のダンジョン組に教えるのをさ、ターヴとロンさんが中心になってやってくれないかなと思ってるんだけど」
+ + +
ヨリが来て、他のダンジョン組にどう教えて行くかについて話し合った。
まずは何人ずつ教えるのか。どうやって発現まで誘導していくのか。
それには全員の感想も聞かないと判らないだろうと提案した。
よって今夜、飯の後に話し合おうという事になった。
ヨリが「明日のご飯の仕度が終わってからでいい?」と訊いてきた。
昨日は寝ちまったからな。先に決めておけば皆も起きているだろう。
俺は「おう」と返事をしてヨリを見送った。
今は5人で15匹から17匹のモンスターを相手にしているが、全員が危なげなく倒せるようになった。
新しい能力を覚えるやつも居て、危機感がまったく無い状態だ。
命を懸けての狩りでは無く、新技を試して慣らすための狩りになっている。
全員が上級冒険者くらいになってしまったんじゃないだろうか。戦ってる上級冒険者を見た事は無いけどな。
そりゃまだ下層に行ったわけじゃないし、ボス部屋なんて今もまだ考えられやしないが。
それでも下層なら行けそうなんじゃないかと思ってしまう。
まさか俺が下層に行けそうだなんて考える日が来るとはな……。
冒険者を始めてすぐの頃は「いつか」なんて思っちゃいたが、現実が解ってくれば「いつか」なんて来ないと気付く。
まさかの「いつか」が現実になっちまうとは。
俺は皆の間をフラフラと縫ってビエルに近付くヨリを見ながら感慨にふけった。
+ + +
ロンはヨリに出会えた事を奇跡だと思っているが、実はロンの存在が一番の奇跡だったりする。
彼がソルたちに拾われなければ、ポルカの住人たちが冒険者に好意など持ちようは無かったのである。
それが無ければ恩人とはいえヨリが村に招き入れられる事は、あったとしてもまだ先の事であっただろう。
つまり今もまだポルカの現状は変わっていなかったということだ。
ロンはもちろん、誰もそんな事に気付いてはいない。だが、紛れもなく奇跡はロンから始まっていたのである。
そこにニルヴァスの関与は無い。神はそこまで人を自由に動かせない。ヨリをこの地に降ろしたのはニルヴァスだが、それだけだ。まさに奇跡としか言いようの無い出会い。
そんな事とは露知らず、呑気に今の幸運を喜ぶロンであった。
ヨリは少し離れた処から、ビエルの横に少しずつ近付いて行っていた。
それをビエルの後ろに居たバルとサイダが気付いたが、ビエルはまだ気付いていない。
そしてヨリがビエルに声を。
少し各キャラの補足も入れてみました。
長くなったので2つに分けました。
次も続きます。
3月31日、修正&加筆しました。
地の文が少しニルヴァス様を思わせる感じだったのを直して、後は気になっていた所をちょこちょこと。




