24.粉ダンジョンで完徹 そして朝ごはん (3日目)【バターとハムチーズオムレツとチャパティもどき】
料理パートが長いので注意です。
面倒な方は流し読みか、読み飛ばしてくださいまし。
やあ皆、おはよう。
ん? 私は粉ダンジョンにいるよ。
もう朝の5時か…なんでまだいるのかって?
下層でドロップする片栗粉の瓶が、思ったより小さかったから集めてるんだよコツコツと!
ひたすら下層モンスターのバッタとカマキリを狩り続けているのだ。
なにせ片栗粉の瓶が小さい。唐揚げに使ったら2人分で使い切りそうなぐらいだ。なんでこんなに小さいのだろう。
すでに上層で強力粉っぽい「茶色い小麦粉」(鑑定したらこうだった)とレアドロップのベーキングパウダーを、中層でハチミツと薄力粉とレアドロップのみょうばんを、そしてボスには3度コンソメをもらった。
ここにまだいるのは、片栗粉のみのためである。下層ではドライイーストと片栗粉がドロップし、レアはシナモンだった。品ぞろえに文句は無い。
ナスを手に入れていた私は、みょうばんに小躍りしたほどである。
シナモンも、砂糖があるので是非ともシナモンシュガーでパンを食べたいと思う。他の物も全部ありがたい。
だが…片栗粉の瓶が小さかった! 思ってたサイズと違った! 私のイメージサイズは、片栗粉の袋である。よってその半分にも届かないサイズでは納得がいかない。
深夜0時過ぎに入り、一通りやって2時間前の3時から中層にへばりついていた。ひたすら狩る。拾う。
「あああ~~~~! 瓶小さすぎだあああ~~~~!! もっと大きくしろおっ!」
イライラした私は叫んで4匹を斬り飛ばした。やっぱ湧きが4匹しかないのが痛いな。そんなことを考えながら拾いに行くと…ドロップした瓶が5倍の大きさになっていた。
大きくできるんなら早くやって欲しかったな…。いや私が声に出して言わないとニルヴァス様には届かんのか。
私はぼっち歴がそれなりなので、ついつい自分の中だけで会話を終わらせてしまう。反省だな。
とりあえずコレも言っておく。
「白ごまも量増やしてーーー!」
瓶が大きくなったおかげで、私は粉ダンジョンを6時には出ることができた。
粉ダンジョンにも上層、中層、下層、ボス部屋に鳥居祭壇を設置しておいたのでいつでも来れるが。
今度来るときは肉屋たちか遭遇したポルカの大人を捕まえるか、どっちかにしようと固く心に誓ったよ。
さて6時だ。9時までは時間がある。朝ごはんにしよう。
朝ごはんって、朝御飯じゃなくて朝ごはんって感じがするのは私だけだろうか? 朝の光で食べる朝ごはん。いいよね。
まあ私は異空間収納へ行くから関係ないのだけども。
入ってすぐが台所だ。最近は入ると常に台所だな。まあ作るときしか来てないせいだと思うが。
ドライイーストは手に入ったが、発酵時間もあるし面倒だ。今朝はこっちの世界の平パンを、さらに薄く伸ばしていこうと思う。っとその前に。
コンロにほうれん草用の鍋を、水を張ってスタンバイ。
ナスを洗って縦半分に切りそれを斜めに厚く切る。それをボウルにぽいっと入れ、塩、砂糖、みょうばんを入れてもみもみ。放置。簡単浅漬け完了である。
砂糖を少々入れることで、味も良くなるし浸み込みを助けてくれるのだ。すぐに浸みて欲しいなら常温放置が望ましく、急いでいないなら冷蔵庫に入れる。
ポリ袋でやると、常温なら30分で充分浸かってくれるのだ。ナスは水分が出て味が薄まるから、少し塩を多めに入れた。
別のボウルを出して生クリームをそこに入れ、ボウルに「冷却」をかけホイッパーで泡立てる。怪力と疲れ知らずになったおかげで、泡立てが楽なこと。これだけを見てもこっちに来て良かったと思ってしまうな。うむ。
うおりゃあ~~~~~~~~!!!
角が立ってもひたすら混ぜる。混ぜる混ぜる混ぜる混ぜる混ぜる混ぜる混ぜる!
よし黄色くなってきたな。混ぜる混ぜる混ぜる混ぜる混ぜる混ぜる混ぜる。
おし分離してきた。混ぜる混ぜる混ぜる混ぜる。よっしゃーーーー!!
分離した黄色いかたまりと水分を別の容器に分けて入れる。その時に、黄色いかたまりを絞ってさらに水気を抜く。
分離した水は後で味を調えると飲めるので、瓶に入れて栓をして「時間停止」をかけておいた。
水気を絞った黄色いかたまりを水で洗って、また水を切ってボウルに戻す。そこに塩をパパッと振って、木ベラで混ぜる。練り練り練り。まあ塩が全体に混ざるまで。
はいバターの出来上がり! 量に見合った小さめの深皿に入れる。
それに「冷却」をかけて、ほうれん草用の鍋に火を着けた。
次はバターを作ったボウルに茶色い小麦粉を分量の半分入れる。パン生地を作るのだ。
バターのボウルは生クリームで濡れてるが、どうせ粉は濡らす。水とか牛乳系なら気にしないでそのまま使ってしまうのだ。
ピザ生地や発酵パンなどは油を入れてこねるので、全然問題無いのである。
そこに塩をひとつまみと粒コショウを粗びきコショウにして入れ水を入れる。この時の水は全部の量の3分の2くらいだ。
そこに例のボスが落とした植物性油を少し入れる。こうすると伸びが格段に良くなり、モチモチ具合も上がる。
一度作ってみた感じ、小麦粉は元の世界の強力粉っぽい水の吸い方をするように感じた。そして手で最初に混ぜると、爪に生地がはっついて、めっちゃ取るのに面倒なのだ。これも強力粉っぽい。
なのでいつもやっていたように柄の長いスプーンを使う。分量の半分の粉と水全部より少なめを入れたら、スプーンでグルグル混ぜるのだ。
ドロドロにしっかり混ざったところに残りの粉を入れてグルグル混ぜて。スプーンが動きにくくなったら、そこで初めて手を使うのだ。
まずはボウルの壁に残ってる粉を手に付けて、スプーンに付いている生地を取る。(そうすると取りやすい)
それから手で生地を混ぜて押しこねる。まとまったら平らな場所に出して(まな板でも調理台でも、きれいなとこならどこでもいい)手のひらの下の方の、力が一番入るところに体重をかけて、押しこね押しこねする。
ここで伸びにくいと感じたら、手に少し水を付けて押しこね様子見、まだ足りないと思えば同じことを繰り返していく。逆にドロドロすぎたら粉をまぶして押しこねるのだ。発酵させないので、押しこねた感じでいいのである。
こねてつやが出たら、まるっと丸めて休ませる。元いた世界ではラップをかけたが、ここには無いので固く絞った濡れ布巾をかぶせた。
思い付いてまたパン生地をこねる。今度のにはコショウは入れないプレーン生地だ。こねてから丸めて同じように休ませる。
パン生地を休ませている間にほうれん草を洗って3センチくらいに切る。束のまま茹でるのが一般的だが、炒めるので気にしない。切ってからひとつまみの塩でゆでてザルにあけてから水で冷まし、絞って皿へ。
別のコンロにフライパンを出して、腸詰をフタをして焼き始める。
エリンギを横半分に切り、縦半分に切って、縦向きで厚めにスライスする。シイタケの軸と傘は切り離し、軸を輪切りに傘を厚めの薄切りにする。
その隣のコンロにフライパンを熱し、作ったバターを少し入れてキノコ類を投入、軽く火が通ったところで絞っておいたほうれん草を手でほぐしながら追加。そこにコンソメの粉末を軽く入れて混ぜ炒める。
キノコ類に火が通り、味が馴染んだところで味見をして、塩コショウで味を調えて。うむ出来上がり。
皿に盛って「時間停止」をかける。
腸詰をひっくり返す。弱火でじっくり焼き上げてるウィンナーって、どうしてこんなに可愛く見えるんだろうか。うふふ。
寝かしていた生地を包丁で8等分に放射状に上から体重で押し込んで切る。それを2セット。
それを全部丸めて、平らに伸ばす。目指すは円形だが、アメーバみたいな形になることもある。
生地の状態と伸ばす時の力加減だ。本人の腕次第とも言う。まあ焼ければ問題ないのである。
コンロにフライパンを出し、中火と弱火の間くらいで加熱して、あったまったらパン生地を焼く。今回はフタをして焼くのだ。少しモチっとさせたい。
パンをひっくり返す。片面は2~3分ほど焼けばいい。焼けたら次を焼く。
粗びきコショウの入った分は大皿に積んで「時間停止」をかけていき、プレーン生地は焼けたらすぐにバターを塗り、その上に砂糖とシナモンを振りかけた。こっちは重ならないように皿を出して広げていく。
腸詰が焼けたので、ほうれん草とキノコのバターソテーの盛られた皿に載せた。
最後に卵料理だ。チーズを薄切りにして塩漬け肉もハムくらい薄切りにして1~1.5センチ角くらいに切る。まあ小さ過ぎなければいい。
またフライパンを出して、そこに油を少したっぷりめに入れた。目安は大さじ2~3かな。フライパンの底にしっかり回って余裕があるくらいだ。それをしっかり加熱して予熱する。(コレ大事!)
そして卵の量に対してあまり大き過ぎないボウルに卵を割り入れる。おお?! ここの卵は双子なのか!
2個割ったら両方とも双子だった。目玉焼きが楽でいいな。
一度にたくさんやると、ひっくり返すのが難しくなるので、1個ずつやることにする。元いた世界では2個か3個でやっていた。
割り入れた卵の上に、薄切りの塩漬け肉を入れ、チーズを手でちぎってかける。チーズの大きさは適当だ。私は大きいほうが美味しいと思う。そこに塩コショウをパッパッ。好みでコショウを粗びきコショウにしても美味しい。…ふむ。ニルヴァス様用に両方作るか。
それを菜箸でボウルの底からガガガっと混ぜる。ガガガっと混ぜながら熱々になったフライパンに近付き、一気に流し入れるのだ。ボウルに貼りついた塩漬け肉とチーズも菜箸で落とす。
この時、ボウルが大き過ぎると落とすまでに「卵がーーー!」ってなるので要注意である。
ジュワーっと広がった卵液を箸で真ん中に寄せる。端っこから真ん中に軽くでいいのだ。アメーバ状でもいいので、ある程度真ん中に寄ったら、それを向こうの端っこへ箸で寄せる。もちろんフライパンを小刻みに動かして寄せてもいい。
上はトロトロのままでいい。それをよっよっと煽っていく。
多めの油のおかげでちゃんと動いてひっくり返ってくれるのだが、中を半熟トロトロにしたいので、半分だけ被さったところで止めるのだ。
そこでほんの少しだけフタをして。すぐに煽って完全にひっくり返す。それでまたフタをして好みのところで皿に移す。
皿に載せている間も、ソレはふるふると揺れるのである。うむ満足の出来だ。
「時間停止」をかけて、5つそれと同じのを、粗びきコショウのを6つ焼いた。
…私も、粗びきコショウのが食べたくなってしまったのである。
漬けていたナスの味見をする。ん? 塩味が薄いかな。塩をちょっと追加して揉んで「冷却」をかけておく。
漬物はお茶請け用だ。食後までには丁度良く冷えていることだろう。
ふう。バターをセットしてと。後は沸かしておいた湯冷ましを注いで、お皿とフォークとスプーンをセットするだけだ。
「ニルヴァス様、食べますよ~~」
セットしながら恒例のお声掛けである。
待っていたかのようにニルヴァス様、現る。
テーブルには。
「ほうれん草とキノコのバターソテーと腸詰と、ハムチーズオムレツと、チャパティもどきです」
時間停止を解くと湯気と香りが立ち昇った。
あああ~~~、バターとコショウの香り、最高~~~!! 芳しいね、本当に!
同じように香りにノックアウトされ気味のニルヴァス様の前にセットされた空の皿に、何もかけてない方のチャパティもどきを載せてあげる。自分にも載せて、ちぎってバターを付けて食べて見せた。
うん、いい味だ。生地に混ぜた粗びきコショウが、バターとチャパティもどきを繋いでいる。
同じようにしてニルヴァス様も食べる。口の動きがゆっくりだ。
解るよ! パンの歯ごたえと舌に当たるバターの味を楽しんじゃうんだよね!? その後、口の中でパンの味とバターの味が混ざるんだよ! うん美味しいんだソレが!
ひと口をゆっくりと味わったニルヴァス様は、ひと口入れるごとに首を小さくゆっくり横に振りながら、あっという間に1枚を食べ終わった。
2枚目にいこうとした素振りを見せたので。
「ニルヴァス様、他のも」
と促す。とりあえず全品味見しておくれ! 特にオムレツ! オムレツだけは出来立てをフワトロッと食べたい。保温すると半熟具合が変わっちゃうし、時間停止解いちゃったしね。
オムレツのためにスプーンが置いてあるのだ。それをとってオムレツに刺し入れる。
ひと口目だけはトロリを逃がさず口に入れられるのである。
表皮を崩さないように舌に載せ、舌で包むようにまずは味わう。
表皮の中のフワトロと言うかタプトロ? と言うか。ソレが舌の上でほどける。
油で焼かれた卵の香ばしさがまず来る。そして卵と混ざりつつも主張するチーズの塩味と、トロトロの中に時折存在を主張する塩漬け肉の欠片。
最高なのである。
もちろん噛んで口の中で合わさっても幸せだ。
私はここに、さらに乾燥わかめを硬めに戻して絞って入れるのが好きだ。あーー乾燥わかめ欲しい。
私のこだわりの味わい方、というよりも、いつの間にか自分の味わい方が身についてしまう。そういう力がオムレツにはあると思う。
「むううううん! むうううううん!」
ニルヴァス様もたいそうお気に召したようである。3口で消えた。口いっぱいに頬張って「むんむん」言っている。はいお代わりですね。
さっきのは粉コショウだったので、今度は粗びきコショウのほうを載せてあげる。私はまだ1個目であるが、ついでに自分のにも載せておいた。
時間停止を解くと、ブワッと粗びきコショウの香り。やはり粗びきのほうが香りがいいな。鼻が膨らんでしまうね。
ニルヴァス様も全開だ。どこが? まあほら吸い込まれそうだって言えばわかるかな?
すぐさますくってハフハフ言いながら食べ始めてる。
「先ほどと味が違うな」
「気付いてくれましたか」
「うむ。これも美味い」
ニルヴァス様が違いの判る舌を持っていた。嬉しい発見だ。
そう、これも美味いのだ。どっちも美味い。良いことだ。
私も粗びきコショウの方を食べる。うあ、止まらん! うまうまである。
「見ておったが、調味料に違いは無かったようであるぞ?」
「コショウは粒を割るのと割ったのを粉にするのとで、味にだいぶ違いが出るのですよ。粒のままが好きな人もいるかもしれませんしね」
私がそうしないだけで、粒のまま使うレシピがあるのかもしれない。何に関しても絶対無いということは無いと思う。
2人で、オムレツを食べる手を休ませずに語る。美味しい物を食べながら、美味しい物の話をする。なんという素晴らしい時間なのだろうか。
「さっきのパン生地にも割ったのが入っていたでしょう? あれを粉にすると、また全然違ってしまうので私は割ったのしか入れないんです。でも、粉の方が好きだと言う人も居ると思います。料理というのは作る人の好み次第なんですよ」
「ふむ。そうであるのか」
パンの話をしたら、またパンが食べたくなってしまった。ニルヴァス様もそうだったようで、ほぼ同時に皿に盛られたパンに手が伸びる。ここは譲る。
手を伸ばしたところで気付いた私は、動きを遅くしてニルヴァス様に先に取ってもらったのだ。
相手に悟らせずに譲るという、非常にスマートな譲り方。ちょっとした譲りスキルだよね。
日本人ならおよそ誰でも持っているスキルだろう。譲る気が無いと発動しないが。
今度はパン生地だけを食べて、味わう。
塩少々でも美味しかったけど、粒コショウを入れたことにより、「味わう」ということが自然にできる味になっている。チャパティほど薄いからこその食感と味わいなんじゃないだろうか。インドに感謝である。
うまうま。バター付けてもっとうまうま。2人でひたすら薄パンをモグる。
あ、バターソテー忘れてるわ。
バターソテーを食べる。うん、安定の美味しさだ。
エリンギの歯ごたえとシイタケの舌触りと甘さ、ほうれん草と塩コショウのハーモニー。だが塩コショウだけだと、ほうれん草になかなか味が付かなくて難しいのだ。
私はいつも中華だしを入れるのだが、今回は無かったのでコンソメを入れた。まあコンソメが固形だったら粉砕して入れないといけないので、面倒で元の世界ではやらなかったが。
これをすることで、舌に載せたときの味わいが全然違うのだ。塩コショウがまろやかに効いてくれる。
濃いめにしてニンニクとベーコンを入れれば、そのままパスタに絡めて食べれるのである。…麺ダンジョン、早く行きたい!
実はここに腸詰を切って入れようか悩んだが、腸詰はパリっと食べたかったので入れずに焼いた。
じっくりしっかり焼いた腸詰は、フォークを刺すとブシュッと脂を飛ばして文句を言う。皮は硬めだが、そのぶん噛み応えがあって私の好みだ。あー、美味しいって幸せだな~~~。
腸詰を噛み締めながらニルヴァス様を見ると、お皿は空になっていて、口をいっぱいにしてモグモグモグ。
「オムレツならお代わりありますけど」
言ってみる。ニルヴァス様は強く頷く。
オムレツを2皿にそれぞれ分けて置いてみる。ちょっとした実験だ。
果たしてニルヴァス様は、どっちが好きなのか?
私はどっちも好きなんであるが、2つを並べた時にニルヴァス様がどうやって食べるのかが気になる。ワクワク。
さあどうだ?!
ニルヴァス様は2つを見比べ、粉コショウの方をひと口食べた。
そしてそのままもうひと口食べる。
これは粉コショウの方を先に食べる作戦かなと結論を出そうとした時、ニルヴァス様が動いた。
ラストのひと口を食べる前に、粗びきコショウの方を手に取ったのだ。
そしてそちらをひと口、ふた口。
粉コショウの方のラストをひと口。そして粗びきコショウの方のラストをひと口。
「この食べ方は、いくらでも食べたくなるのであるな」
私の遊び心はニルヴァス様の食欲を促進してしまったらしい。
残りの3つずつも同じようにペロッと食べた。・・・まあそれぐらいは食べると思って作っておいて良かったな。もしかしたら足りなかった可能性の方が高いかも…。
ひと口ずつが大きいが味わってくれている。掻き込むだけではないので作り手としては気持ちがいい。某大食いタレントを見ているようであった。
さて残りはパンのみである。まだ食べていない、シナモンシュガーのかかったパンを勧めてみる。
これはちぎらずに、上の粉を落とさずに噛り付いていきたい。
ジャリ。この歯が食い込む砂糖の感触。シナモンと砂糖とバターが混ざったこの美味さがパン生地に絡んで…。
「ふふ~~~~~~~~~~ん!!!」
え、「ふふ~~~~~~ん」? イントネーション的に「うま~~~~~~い」かな?
当たりを付けれたのは、私も「うま~~~~い!」と叫びたかったからだ。口の中がいっぱいなので、心の中で叫ぼうとしたら、ニルヴァス様の叫びに出鼻を挫かれた、と。
あまりの美味しさに、ひたすらモグってしまう。粉を落とさないように集中してるせいもある。
2枚目を食べ終わって、さすがにお腹いっぱいな気がしてきた。
どう考えても食べる量が増えてしまっている。ニルヴァス様が、あんまりにも美味しそうに食べるから、ついつい釣られて食べてしまう。このままでは色々とやばいんじゃないだろうか。
手を止めた私。残るはシナモンシュガーパンが2枚と、粗びきコショウパンが1枚だ。
あれ? シナモンシュガーのは2枚で止めたよね。粗びきコショウパン、何枚食べたっけ…。
思い出す。ニルヴァス様と争うように食べてたよ私。えっと…3枚かな…。
薄いとはいえパン5枚に、オムレツ2個、ウィンナーとバターソテー。
うっわやばい! やばいよ!
ガクブルし始めた私に、ニルヴァス様が「ん?」っと気が付いた。
「ヨリ、パンはもう良いのか?」
まだ食べろと言う?! 食べれそうな自分が怖いんだけどさ!
「後はニルヴァス様が食べてください!」
このままではあっという間にコロコロになってしまいそうだ。強い心を持って挑まねば!
食後のお白湯で一服。
「ふう。今回も美味かったのである!」
「美味しかったですね」
よく変だと言われるが、自分が作ったものでも食べて美味ければ、私は声に出して「美味い!」と言う。
美味いものは美味い。自分で作って自分で褒める。ぼっち癖だと馬鹿にすることなかれ。是非やってみて欲しい。美味さも満足度もUP間違い無しだ。
お皿や鍋などは、買っておいた空樽に「洗浄後乾燥」を付与して放り込んでおいた。今回は洗い物が多いので本当に助かる。
おかげでのんびり一服できる。
冷えたナスを。私は箸で、ニルヴァス様はフォークで食べる。
ナスって、噛んだ時の皮の硬さと、実から溢れ出る汁が堪らないよね~~~~!
漬けるときにワサビとか和がらしを入れても美味しい。早くワサビと和がらし欲しい。
そんなことを思いながら、一服…この時間って気持ちいいんだよね。
ポヤーっとしていた私は、次のニルヴァス様の言葉で現実に戻る。
「時間は良いのか? あと15分ほどで9時であるぞ?」
「ハッ! 遅刻------!!!!!」
今回、予想外に料理パートが増えてしまいました。
そのせいで再会まで行けず…ガックシ。
今回、アドバイスをいただきまして、段落多めになどチョコチョコ気を付けてみました。
今までのも時間があるときに直していきたいと思います。




