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さあ美味しいモノを食べようか  作者: 青ぶどう
21/91

21.至福と発覚 (5月1日加筆&修正)【霜降りステーキ】

スラムの呼び名を「ポルカ」に変更しました。理由は後々。

 何かが発覚してしまいます。



 ********************************************

 21.至福と発覚  


 ボスドロップに涙した後、この部屋にも脇道があることに気が付いた。場所は入り口の右壁に沿った突き当りだ。そこの入り口は私には大きいが、ボスには小さすぎて入れないサイズだった。もちろん行く。

 この部屋は広すぎるので歩いていれば時間が無くなる。さっきの7人は今どの辺りだろうか。移動は常に最高速度だ。


 その脇道の奥には、やはり部屋があった。そして上層にあった野菜部屋よりも大きい部屋だった。土の湿った匂いが充満している。

 部屋一面、茶色であった。床、壁、天井を埋め尽くす茶色いモノ。なんとそれは。

 秋の味覚、キノコたちであった。


 すぐ足元には馴染み深い椎茸。すぐそこにはエリンギ。その隣にシメジ。舞茸も、木クラゲもある。他は鑑定しないと判らないが、馴染みが無ければ調理法は知らない。

 とりあえずまた愛剣にお願いして、今度は鎌になってもらった。

 すぐに調理法が判る椎茸、エリンギ、シメジ、舞茸、木クラゲを盛りっと収穫する。


 松茸があったら最高なのになーと鑑定と探索を部屋中に同時展開してみる。探索は探すものを念じればいいだけなので、とても使えるスキルだ。

 今は数多出たキノコ類の名前の中から「松茸」という名前を「探索」する。

 残念、反応が無い。この世界にあるのかも判らないが、あると幸せが1つ増えるのだが。


 収穫をほどほどにしてキノコ部屋を出ると、ボスが復活していた。

 キノコ狩りで冷静になっていた私は、また凍結串刺しでボスを片付け、ドロップの油とニンニクをゲットした。ドロップ数がまだ8個だったので、7人はまだダンジョン内にいる。よしよし。

 私は下層狩りを開始。の前に、キノコ部屋に鳥居を設置。これでボス無視してキノコ狩りに来れる。ふひひ。


 快調に飛ばして牛を狩り進んだ。中層に入り改めてモンスターを見る。

 ここには上層に居た頭が3つある鳥が居た。また卵かなと思って狩ったら、バシャッ! とドサッ! の音が戻ってきて、そこにはサイズこそ違うものの鳥のモモ足が。

 範囲攻撃を使い他も倒してみると、鳥のモモ足2本が3つとでかい塊が5つ。塊は何だろうと鑑定したら「鳥ムネ肉」と出た。…ああ、でかくてわからんかったわ。

 なにせ足もムネも5倍は大きい。足が2本ずつなのは鳥の足が2本だからなんだろうか。


 それはともかく、これは嬉しい。鳥肉は肉の中で一番好きなのだ。

 塩コショウで焼いてもいい。砂糖醤油にみりんダレで焼いてもいい。唐揚げもいい。煮物もいい。揚げてタレかけても美味しい。蒸してサラダにしてもいい。何よりムネ肉で作るカツは食べると止まらない。ああー食べたくなってきたな。

 ボス部屋で油をゲットできたのが何かの必然のように感じる。まあ必然なのかな? ダンジョン、ニルヴァス様が造ってるんだし。


 その隣の部屋では上層と下層で見た牛よりも小さいのが居た。棒を持って襲い掛かってきたが、そこは瞬殺である。バシャッ! とドサドサッ! 音がいつもと違った。見ればそこには…えーと長い腸が…。

 そっか。納得。肉屋はこれで腸詰めを作っているんだね…。


 気を取り直して狩り狩り。コレでモツ鍋とかホルモン焼きできるじゃん! と気付いたからである。不思議を感じても、食べられればいいのだ。「牛を解体してね」と言われるよりいい。「魔法がある世界だもん、そういうこともあるさー!」よし、これでいこう。


 狩り狩りしていたら、レアが来た。それは手羽先だった。

 手羽先2個。やはり鳥の羽が2本だからなのか。しかし2個といえどサイズは通常の5倍はある。

 鳥の羽がでかくて良かった。手羽先は食べるところが少ないのが不満だったのだ。これだけでかければ、満足できないハズがない。


 鳥のレアが手羽先となると、牛のレアはなんだろな~。

 すぐに判った。レバーであった。牛レバーは厚めに切ってタレで焼くと美味い。うむ焼肉バンザイ!

 レバーと手羽先を積極的に狙っていきたい私は、中層を行ったり来たりした。


 途中でモンスター湧きが2匹になった。…7人がダンジョンを抜けたか。

 一応それを「探索」で確認した。

 どうやら中層の湧きは最低2匹らしい。モンスター同士の距離が離れて、一気に過疎った。


 目的のレバーと手羽先はそれぞれ10回はゲットできていたし、鳥肉とホルモンは大変な量になっていた。

 満足いくだけ獲れたので、私は後に回していた中層の野菜部屋に向かう。

 入ると上層と同じくらいの部屋だった。

 雑草の中に生えていたのは、ブロッコリー、カリフラワー、セロリ、キュウリであった。

 わーい! サラダが食べれるーーー!!

 私、大喜びである。


「ニルヴァス様! サラダ食べようね~~!!」


 もちろん農婦モードでがっつり。

 この部屋にも鳥居を設置。ここのダンジョンは野菜部屋に設置で良さそうだね。うん。


 下層に残した野菜部屋も、もちろん見に行く。下層の湧きは4匹だった。

 さっき通過してきた時にドロップしたチーズが8個しか無かったので、「出ればラッキー」な考えで野菜部屋まで狩りをした。2個出た。うほ。


 下層の野菜部屋は、広さは他の階と同じだったが雑草が無かった。その代わり、すべてが葉野菜であった。

 ほうれん草、レタス、サニーレタス、チンゲン菜、小松菜、水菜。

 レタス2種と水菜はサラダにそのまま使えるし、他のは茹でてお浸しにしたい。

 お! 白ごまあるじゃん! また獲りに行かなきゃ、すぐ無くなっちゃうよ。


 さて一度落ち着こう。塩ダンジョンとこのダンジョンで出そろった食材たち。

 かなりいろいろ作れるようになったな。頭にメニューを思い浮かべて並べる。

 お腹が空いてきた。

 今日はここまでにして、ご飯にしよう。時計を見た。時間は10時になっていた。


 この時間に食べるってやばそうだなと思いながらも、せっかく手に入れたアレだけは食べておきたい。そして食べさせてあげたい。まあ簡単にできるしいいよね。

 私はこの部屋にも鳥居を設置した。異空間部屋のドアを出して入る。

 さて、焼くぞーーーーー!





 もちろん入ると台所であった。

 入って荷物を降ろして準備に入る。


 まずはフライパン2つをコンロに設置。加熱開始。中火~強火くらいで加熱する。フライパンが温まるまでにアレを切るのだ。異空間収納からアレ、霜降り肉を出した。

 でかいかたまりを、まずは横半分に切る。20センチほどになったそれを1.5センチくらいにスライスしていく。

 4枚切れたところで2枚ずつフライパンに載せていく。中火にする。

 肉から脂がにじみ出てきた。

 堪らない匂いを嗅ぎつつ、今切っていた残りを加速を使ってささっと切った。それを冷却しておき、切っていない半分は異空間収納へ。

 そこからは肉に張り付き焼き加減を見る。

 外はしっかり、中は少し赤いままで仕上げたい。片面をしっかり焦げ目が付くまで焼く。

 ひっくり返して塩と粗びきにしたコショウをまんべんなくかけた。そのタイミングで。


「ニルヴァス様、できますよ~~」


 と声をかける。ニルヴァス様、現る。すでにテーブルに座っている姿で現れるのが通例となりつつあるような。

 テーブルにナイフとフォークをセットする。そしてフライパンから肉を皿に移し、ニルヴァス様と自分の前に置く。とりあえずニルヴァス様と自分の分を一枚ずつだ。

 もう1つのフライパンの方には「時間停止」をかけてあるので大丈夫だ。まずは目の前の1枚を堪能しようではないか。


 肉の両面にはしっかりと焦げ目が付いている。なのに肉の繊維の隙間からは赤い肉汁がしみ出てきている。

 うむ、こだわりの焼き具合である。


 切る。苦もなく切れた。パクリ。


 ああ、これだ…噛むと歯が肉に入り込んで行くのが良く解る。

 表面は肉自身の脂で、揚げられたかのようにカリカリだ。噛むとサクッと感じる。

 溢れ出た肉汁が、塩と粗びきコショウと混ざり合い完璧な味となる。

 上あごと舌が、それをより味わおうと肉を押し絞る。無意識でそうしてしまうのである。

 この塩コショウと肉汁の完璧なるハーモニーを味わえるのは、霜降りを置いて他に無い。そう思わしめる美味さが霜降りにはあると言わざるを得ない。

 うむ、美味いな。


「ぬうううううううううんっ!!」


 浸っていたらニルヴァス様の声に割って入られた。

 目を閉じて3切れ目を堪能していた私は、ニルヴァス様のお皿を見て気が付いた。なんとすでに無い。

 ニルヴァス様の顔を見ると、目が合った。そこでまたニルヴァス様が。


「ぬうううううううううんっ!!!」


 どうやら催促のようである。

 普通に「欲しい」と言ってくれていいのにね。

 もちろん焼いてあるのは、そのためのものだ。皿にまた1枚載せてあげた。

 別に残りの2枚とも、ニルヴァス様が食べていいと思っている。だが切りにくいだろうから1枚ずつしか載せない。


 今度はニルヴァス様が食べているところを観察した。

 1切れがでかい。それでは5口で終わってしまう。早かった理由を知った。

 目を閉じて斜め上を見て噛みだした。顔が陶酔入ってしまっている。

 良かった。すごく美味しそうだ。


「おかわり、って言ってくれれば、また差し上げますからね」


 声をかけて私が自分のを食べ始めると、ニルヴァス様はパッと目を開けて。


「残りはヨリのであろう?」


 と言った。この神様はこんなに食べるのが大好きなのに、こういうことを素で言う。出来た神様だと思う。


「食べたければ言ってくれていいんです。ニルヴァス様のおかげで私も食べれているんですから」


「いくらでも焼きますよ!」と強く頷いて言ってやる。

 ニルヴァス様は「うむ! ではもっと食べたいぞ!」と希望して破顔した。


 焼いたよ、さっきのかたまり全部。全部で15枚、ニルヴァス様は食べた。

 私もあと1枚食べたが、さすがに3枚目にはいけなかった。

 食後にいろいろ訊きたいことがある私は、ニルヴァス様が食べ終わるのを片付けをしながら待った。

 あー美味かった!


 ちなみにステーキを食べ終わったニルヴァス様は、私たちがダンジョン内で食べていたコショウのかかった粉ふき芋を所望したが、私は断固拒否した。

「その肉の後に食べられて、がっかりされる粉ふき芋が可哀想です!」と。

 また今度ね。約束させられた。








 いつものように湯冷ましで一服して、私はニルヴァス様に質問した。

 今までに感じた疑問を、解消しておきたかったのだ。まあ質問タイムというやつだ。


「鑑定持ちって王都にしかいないんですか?」


「王都以外にも居るが、自分のその力に気付いていない者がほとんどである」


 まあ私は自分で催促したし、自分を鑑定できるから出来る事が解るだけで、気付かない人だって居るだろう。「才能」として考えれば、元居た世界でも自分の才能に気付いてる人なんて、ほんの一握りだったと思うし。


 次は今日知った食用でない家畜の事を訊く。


「この世界の家畜ってどんなのですか?」


 さつま芋を食べる奴だ。普通に茹でたって、平パンやドロドロスープより美味しいと思うので、幸せな家畜だと思う。


「パーナルといって、貴族が移動するための馬車を曳くのがおる。姿は街におるので見たほうが早かろう。魔生物であるので、走るのが速いぞ」


 ……貴族か。あのおじさんに「家畜も買うつもり~」とかなんとか言ってしまった。変に思われたかもしれん。

 しかし魔生物とはファンタジーな。まあダンジョンからしてファンタジーなのだが。

 それは置いておいて、次だ。


「付与術師ってたくさん居るんですか?」


「付与術師は冒険者になるか貴族に雇われる者が多いが、死ぬまで気付かずにいる者も珍しくないだけで、かなりおるぞ」


 付与術は生活にも密着してるし、戦闘にも非常に使えるから冒険者にうってつけだし、貴族に雇われるのも納得の能力なんだよね。

 でも今日会った彼らにも驚かれたし、本当にニルヴァス様が言うほど居るのかって気になったのだ。


 ニルヴァス様の認識では「付与術師はかなり居る」、ロジ少年や肉屋たちの認識では「珍しい」。

 う~ん、「冒険者の中では珍しくない」と考えた方が妥当かな?

 次の質問にも掛かってきそうな問題だ。


「私が持ってる能力って、この世界の人たちも持っているんですか?」


 今更だが、これが判らないと人前で使っていいものと悪いものが区別できなくて使い辛い。

 付与も魔法も人前で使っちゃっているが、かなり驚かれた。

 今のところ「冒険者だから」で通しているが、今後もダンジョンに潜るならば絶対にそのうち冒険者に遭遇するだろう。その時のために知っておきたい。


 ニルヴァス様は腕を組んで、うむうむ頷いて教えてくれた。


「魔力が多い者であれば、使おうと思えば使えるはずであるぞ? 身体強化なぞは、強くなりたい、素早くなりたいと強く願うことが重要であるな。魔法であればイメージである。付与や鑑定、探索、治癒などは個人差であろう。おぬしにも言ったように、使えば使うほど身体に馴染み、できることは多くなってゆく。魔力も増えよう。ヨリもすでに少しではあるが増えておるぞ。」


 ほう、そうなのか。使う時に何か動いてるなと感じることはあったが、増えてるとかまでは分からない。さすが神様だ。


「身体強化の調節が、スムーズにできるようになったと思います」


 発動とか加減が、わりと自然にできるようになってきたような。


「おぬしの場合は食材を集めるのに苦労されては困るので、最初からかなりの魔力を身体強化に割り当てておいたのである。普通の人間であれば魔法か身体強化、どちらかに割り振らねばなるまい。」


 普通の人は、魔法寄りか身体強化寄りか選ぶのか。なんかゲームキャラの育成のようだな。


「魔力は誰にでもあると?」


「ダンジョンだけでなく、世界は我の魔力で満ちておるでな。それに加え、ダンジョンに潜りダンジョンのものを食べておれば、魔力はおのずと高くなるであろう。魔力の増加量は個人差であるが、冒険者の中には突出した能力を持つ者もいるのである」


 ほうほう。


「つまり私が何をしても魔力が多いで済むんですね?」


「うむ」


 よしよし。面倒な事にはならなさそうで一安心だ。

 さて次は。


「冒険者はこの世界では、どういう扱いですか?」


 市場でもダンジョンでも冒険者を見ていないので、この世界の人の冒険者に対する考えがよく分からない。

 ロジ少年や肉屋たちからは、歓迎も憧れも感じなかった。ってことは、英雄的な存在ではないんだろうし、憧れるような職業でもないということだ。

 私が読んできた冒険者モノだと、もっと自由に楽しい感じだったのだが。


「冒険者とは旅人であろうな。定住する街を持たず、街から街へと住処すみかを変える。職にあぶれた次男以下が農業を嫌がり、ダンジョンで得る物を売って生計を立てておるのだ。あまり好まれてはいないであろう」


「普通は次男以下は農業という決まりが?」


「職が無ければ20歳になると嫁をもらい、街から少し離れた場所に住み農業をするのである。仲が良い者たちが集まって住み、農村となることもある。その者たちが作物を街の市場で売るのである」


 あのおじさんは、そういう人だったのだろう。

 でも就職できなきゃ農業か。それを嫌がって家出て冒険者って、ゴロツキのイメージしか湧かないな。


「貴族ではない人が就ける職って、この世界では何があるんですか?」


「うむ。男であれば貴族の使用人、下働き、兵士の宿舎の掃除、家畜の世話、商売、料理人、鍛冶、製紙、木工、大工、石工、金工、荷運び、汚物集め。女であれば貴族の侍女、召使、糸紡ぎ、布織り、服縫い、料理人、皿洗い、皿拭き、洗濯、託児、街中の清掃、娼館勤めといったところであろう」


「汚物集めとは?」


「便器の物を集めるのだ。賃金をもらい、汚物を回収するのである。それを農家に売るのだ。肥料としてな。」


 トイレの謎が解けた。だが金を払えないポルカの汚物は誰が集めるのだろうか。今度ロジ少年に訊いてみよう。


 とりあえず一般常識であろう事が聞けて、だいぶ疑問が解決した。

 一般常識を肉屋やロジ少年たちには訊いたりすれば「異世界から来た」と言うか「記憶喪失」と言うしかなくなるが、あんだけしゃべって「記憶喪失」は無いだろうし、異世界~は絶対引かれるだろうし。


 肉屋たちに料理を教える時にボロが出そうだったから、今訊けて良かった良かった。





「話は変わってダンジョンのことなのですが」


「む。」


「どうして調味料ダンジョンのボスドロップが氷砂糖だったんでしょう?」


 うん、これも訊こうと思っていたのだ。


「ふむ。こちらに連れて来るにあたって、しばらくおぬしを見ておったが、梅酒が美味い、梅酒が美味いと飲むたびに申しておったのでな。ならば作ってもらわねばと昨年追加したのである。」


 そうだったのか。まあ事前調査は当然だろう。崖っぷちだからな。


「それまでは何がドロップしてたんですか?」


「唐辛子の大壺である」


「…不評だったんじゃないですか?」


「うぬ、その通りである」


 使い方が解らなければそうだと思う。唐辛子をそのまま食べる人は少ないが、それは「辛いモノ」だと知っているからだ。

 こっちの世界の人がもしガブリとやってしまったのだとしたら…まあ2度と獲りには来なさそうだ。


「では食材ダンジョンのボスは、何でアレなんですか?」


 ダンジョンの話にしたのは、実はこの話をしたかったからだ。絶対に答えが聞きたい。


「うぬ。譲り受ける時にだな、おぬしの世界の神に言われたのである。これはこの虫にドロップさせるようにとな」


 どうやらニルヴァス様の様子からして、アレがあっちの世界で嫌われているモノだということは知らないらしい。

 …元の世界の神様、性格悪かったのか。いたいけなニルヴァス様に何させてんだか。


「でも何でボスはあんなに大きいんですか。他のモンスターもあんなに強くすることは無かったんじゃないですか? あれではほとんどの人が食材獲れませんよ?」


 これにはニルヴァス様が思案顔。


「元々ダンジョンは食材が腐らぬよう保存しておくために創ったのである。モンスターはブレーキといったところであるな。そもそも我にダンジョンの創り方を教えた魔神は、こう言っておった。物を積み上げておいただけでは、人は奪い合うものだと。であるから、モンスターを倒せば手に入るとしておけば、覚悟の無い者は諦め、ある物だけで我慢するであろうとな」


 言われてなるほどと感心した。

 確かにモノが倉庫いっぱい積まれてて、「タダですよ」と言われたら我先にと殺到して、奪い合いになりそうだ。食料難なら殺し合いにまでなるだろう。

 そこにでかい狂犬が長い鎖で繋がれていて、「そこを突破しないと手に入らないよ」と言われたら、半数ぐらいは諦めるか協力し合うだろう。

 その魔神様は人間がよく判っていらっしゃるようだ。


 しかし疑問が残る。


「下層から下へは行けていない人が多いみたいですよ?」


 下層には砂糖も牛乳もチーズもある。獲れればすぐに食べられるから、放っておいても広まりそうなのに。


「それはここが大陸の端の田舎で、冒険者が集まらぬがゆえであるな。内陸から西であれば冒険者が集まり、下層やボス部屋まで普通に行っておるぞ。この辺りの下層から下は、おぬしのために10年ほどで追加した物が多いゆえに、上位冒険者に存在を知られていないことも大きかろうがな」


「10年前ですか?」


「うむ、おぬしが使っていた物を増やしていったのである。無ければ料理ができなかろう?」


 えっと…ニルヴァス様、ストーカー疑惑浮上?!

 いや崖っぷちだしそれぐらいするか? 神様だし?



 ************************************************

 食材ダンジョンはスーパーでした。

 霜降り肉はステーキに。…私が食べたかっただけですハイ。

 いろいろな疑問をぶつけていくヨリ。

 ついでに何かが発覚してしまいました。


設定を詰めていくに従って、書ける事が増えました。

かなり加筆&修正しました。(3月26日)


付与術師がどうのの辺りを少し修正しました(5月1日)

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