表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
さあ美味しいモノを食べようか  作者: 青ぶどう
12/91

12.初ダンジョン  

 やっと念願の初ダンジョンです。


 ヨリとロジ、両方の視点でどうぞ。

 ********************************************

 12、初ダンジョン。



「あれがそう?」


 塩ダンジョンの入り口が見えてきた。

 入り口が、テレビで見た王家の墓の入り口のようだ。


「そうだ」


 隣で2本めの焼き芋の、最後のひと口を放り込んでモグモグしながらロジ少年が答える。


 ロジ少年とは少し前に出会い、焼き芋を食べながらここまで歩いてきた。

 市場での出会いを話すと、苦い顔をして「自分のせいだ」とこぼした。

 ポルカにやってくれたことへの礼がしたいと言うので、ダンジョンの案内をしてもらうことにしたので一緒に居る。

 護衛は必要無いが、ダンジョンが初めてだということは伝えてある。危なければ即時撤退すると約束もした。


 そして塩ダンジョンの事を少しだが教えてもらった。「少し」というのは、知っているうちの「少し」という意味ではなく、上層で塩しか集めない彼では、そもそも少ししか知っていることが無いのだそうな。


 ロジ少年に教えてもらったことは。

 上層のモンスターは塩と何かを落とすこと。肉屋の連中も来ること。

 中層のモンスターは何を落とすか知らないが、ポルカの大人が獲りに行っていること。

 下層は上位冒険者くらいしか行かないと教えられたこと。


 であった。

 彼ら子供が一人で潜る理由は、パーティーの人数を増やすとモンスターが湧くのが多くなり、対処できなくなるからだそうだ。だからソロで潜り、コツコツと狩りをするのだとか。

 モンスターは必ず塩を落とすわけではなく、何かよく判らないものも時には落とすらしい。


 その何かが欲しいんだって!




 ロジ少年が準備をしてくると言ったので、私は入り口周辺を見て回ることにした。

 観光地ではないので、店など無い。人気ひとけも無い。

 ポルカの大人たちは、ここに住んでるわけでは無さそうだ。

「探索」をして、この周辺の人数を探る。

 ん? 人が8人くらい集まっている場所がある。建物の中だろうか。

 そのうちの一人がまた動き出した。

 こちらに向かってくるからロジ少年かな。

 そちらを見て待っていたら、茂みを掻き分けてロジ少年が戻ってきた。

 小さい袋を背負って、短剣を腰に差していた。


「飯は、あんたでいいんだよな」


 それは私が提案したことなので、頷く。


「もう行ける?」

「ああ」


 いよいよダンジョンである。

 めっちゃ興奮しちゃってるよ私!



 初ダンジョンである。

 前にはロジ少年が歩いている。

 案内人の仕事を頑張ってやろうという気迫が微笑ましい。


 ダンジョンに入ってわりとすぐ、1メートルくらいのげっ歯類なモンスターに遭遇した。

 その部屋には2匹いたが、近くに1匹、かなり奥に1匹だった。まずは見本ということで、近くの1匹をロジ少年がやって見せてくれることに。


 ロジ少年が短剣を構えてげっ歯類に突っ込んでいく。

 げっ歯類の目が光った! ロジ少年に跳びかかる! ロジ少年が短剣で叩き落す! げっ歯類、地面に叩きつけられた! ロジ少年振りかぶる! げっ歯類逃げる! ロジ少年追いついて薙ぎ払う! げっ歯類、倒されたーーー!

 うむ実況してみた。

 倒されたモンスターは砂になって、その砂からロジ少年が壺を拾い上げる。


「こっちが襲うまでは襲ってこねえ。だからソロでもできんだよ」


 言いながら壺を背中の袋に入れる。


「それは塩?」


 訊いた。どうやって塩だと判断してるんだろう。


「この黒い壺は塩、他のは雑魚だ」


 中身見てから決めたんだろうか。まあいい、その雑魚に早く会いたい。


 奥に進んで二匹めを、今度は私がやってみる。

 黒剣のデビューである。

 ローブの下から抜き身の黒剣を出し、左足を前に半身で構える。黒剣を持った右手を曲げて、腰を落として顔の下に来るように水平に構えた。某有名漫画に出てくる、突きの名手の構えである。…剣の構えなぞ漫画でしか見たことがない。

 息をゆっくりして、吐いて止めるんだったか。止めた瞬間足に力を入れ、前に跳んだ。


 …えっと。一瞬で近づいて刺してました。剣が壁に刺さるくらいズブッと。   あー、びっくりした。


 砂から拾ったのはまたしても黒い壺。塩も使うからポシェットにしまう。

 ロジ少年の方に振り返ると、目を見張っていた。どうやら身体強化は少しにしておいたほうがいいみたい?

 次は少しの強化でやってみたら、ちょうど良かった。いきなり全開だと、自分の意識が付いていかないね。うん、徐々に慣らしていこう。



 げっ歯類は一度に2匹しか出てこなかった。

 塩は2人で20個は集めたが、いっこうに「何か」が出てこない。

 これはあれか、やはり例の「何か」はレアドロップなのか。

 昔やっていたインターネットゲームで狩りをしていた時も、レアドロップはなかなか出なかった。


「幸運確率上昇」を黒剣に付与した。「レアドロップ確率上昇10倍」と欲をこいて念じたときは弾かれた感じがしたので、そちらにしたのだ。さすがに全部が楽にはいかないのだろう。そらそうだ。

 黒剣に付与できたので、服、靴にもつける。さあこれで、果たして確率が上がるのか…。


 見つけたのを瞬殺しながらどんどん奥へ行く。なにせ湧きが少ないので、先に進むのが早い。


「こんなんじゃ、すぐ中層に行っちまうな」


 ロジ少年が、先ほど私が仕留めたのから壺を拾いつつ言う。すでに塩は必要ないので、ロジ少年に拾ってもらっているのだ。


「もっと人数がいればモンスターがたくさん狩れるんだけどね」


 こう、一気に10とか20に遭遇したいなーと思いながら先に進んだ。







 +    +    +






 俺はロジ。今はこのヨリという女の案内人なんかをしている。

 女が「ダンジョンは初めてだ」なんて言うので、どんなに手間を食わされるのかと思っていたが。

 抜き身の黒い剣を出した女は、中腰に構えたと思ったら、目の前から消えた。

 でかい音にそっちを見たら、壁にめり込んだ剣をこともなげに抜いていた。

 その足元には砂の小山が…ネラは即死したようだ。


 その後も、ネラを見つけた瞬間飛び出して、気が付いたら片付いてる有様だ。

 ある程度集めたら、塩をこちらに寄越すようになった。そんで、どんどん奥に向かって行く。

 5階層降りた。もうすでに俺が知っている階層じゃないんだが。


 う~ん。俺なんかより断然強い。たぶん中層でも行けるかも。

 でも俺はなー。めっちゃ怖いんだけど。

 なにせ行ったことがない。どんな所かも知らない。

 まあ、この女次第だろうけど。







 +    +    +







 上層の終わりまで来た。相変わらず例の「何か」は出ない。

 むーん…やはり人数連れて、湧きを良くするしか方法が無さそうだ。

 じゃあ今日のところは諦めて、中層へ行くべし。ついレアドロップに夢中になってしまったが、まず確実にあるものからゲットすべきだと反省した。

 とりあえず中層への境目を前に、休憩と御飯を食べよう。


「ロジ、休憩してご飯にしよう」


 ロジ少年に声をかけて、小石を拾う。「対物障壁」「壁外雷撃攻撃」をかけて足元に置く。それから「接着」もかけた。これで休憩中は襲われることがない。


 付与する時に範囲をイメージしてみたら上手くいった。壁から気付かず出てしまわないように、目に見えるように「水色半透明」を付与してみると、期待した通りに半透明の水色になってくれた。よしよし。

 それから地面に毛布を敷いた。どうせ休憩するなら、固くて冷たい地面よりこっちがいい。その上に載って準備をする。

 ポシェットから水筒と皿とスプーンと粉ふき芋の瓶とレーズンもどきとさつま芋を出して盛り付けた。ちなみに今回は大人だけなので、量は比べるべくもない。

 ロジ少年がじっとそれを見ていた。




 +    +    +





「ポルカの子たちと同じごはんだよ」


 俺を座らせて、カップに水を注いで渡す。何気ない風を装ってカップを受け取ったが、実は早く食べたい。だが見得を張る。がっつくとこなんて女には見せられない。


「あいつらがうまいって言ってたよ」


 女がわずかに顔をゆるめた。


「やっぱり声は出せるんだね。良かったよ」


 子供らは女の前でしゃべらなかった? まあそうかもしれない。どこから来たのか、何が目的かも判らない女。人はいきなり怒り出すこともある。あいつらは自分を守っただけだ。

 だけど、子供らは笑って女のことを話していた。たぶんかなり好きにはなってんだろう。好きでしゃべらないわけじゃない事を教えたくて言った。


「しゃべれるけど、でかい声でしゃべると殴りに来るやつらがいるんだよ。子供は言っといてもすぐに忘れちまうからな。だから身内以外とはしゃべらないようにって言われんだよ」


 子供らがしゃべらないワケを聞いた女が、話してる俺の顔をじっと見ていた。そのあと頷いて。


「だからだったんだね」


 言って食べ始めた。


「食べる順番があるんだろ?」


 確か子供らが言っていた。白いののあとに、あまい芋で、その後にあまい小さいのだと。白いのはポルカで食べたやつで、あまい芋は来るときにもらったやつだ。じゃあこの粒々があまい小さいのか。

 子供らのと違って、全部が皿に載っている。

「ああ」と女が微かに笑う。


「あれはね、一度に食べるとお腹が痛くなっちゃうだろうなと思ったから、そう言ったんだ。しばらくそうして、元気になったら好きな物から食べられるよ」


 びっくりした。そこまで考えてのことだったのだ。

 子供らの笑顔を思い出して、涙がこみ上げてしまう。自分はこんなに涙もろくは無かったはずなのに。

 根性で涙をこぼさずに手でこすり、けれど顔は上げられず。


「ありがとな」


 子供らには悪いが、俺は飯をお代わりして食べた。美味うますぎたからだ。

 白いのを「うまいうまい」と言った俺に、それはジャガイモで、塩と葉っぱで味付けしたんだよと女が言ったのには本当に驚いた。ジャガイモなんて、ここじゃ茹でるだけだったから。

 全部売ってしまう塩を、初めて惜しいと感じた。





 +    +    +





 ロジ少年が美味しそうに食べているのを、微笑ましく見る。

 見ながら決めた。上層のモンスターがあれだけ脆いなら、中層のもいけると思われた。

 うん、行けるとこまで行くべしだな。とりあえずレアドロップは考えないで、一気に下まで行ってみよう。いざとなれば隠し祭壇で戻ればいい。


 ロジ少年には申し訳ないが、一緒に行ってもらいたい。湧きが1人分でも減るのは痛いのだ。

 後は…私がロジ少年を気に入り始めてしまったのもある。食べてる時の顔もイイしね!






 ************************************************

 上層は本当に塩のみでした。ヨリはレアドロップが何か、非常に気になりますが次に行きます。


 ロジ少年は可哀想なことに、ダンジョンを攻略するまで帰してもらえそうにありません。

修正と加筆を少ししました。


ご助言で、視点が変わる所を判りやすくしてみました。

また何かありましたら教えてください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ