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さあ美味しいモノを食べようか  作者: 青ぶどう
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1.異世界へ (1日目)

22話までムーンで投稿していましたが、こちらに引っ越しました。

テキスト投稿なので、23話から表示の仕方が変わります。

よろしくお願いします!


主人公が一度死にます。不快な方は飛ばしてください。

 美味しいものが食べたい神様が頑張ります。その頑張りに主人公がほだされます。


 初投稿です。読んでいただけたら嬉しいです。

 ********************************************

 1.異世界へ



  35歳独身、旦那も彼氏も友人も無しの地味顔ガリガリ女。


 食べ歩きと、好きなものを作って食べることが趣味。大喰らい。



 ある日、自称神を名乗るマッチョ男が現れ、


「我のために料理を作って欲しい」


 とお願いされた。

 ご飯中、自分とテレビの間にいきなり現れた半裸の男は、非現実的すぎるマッチョ具合に、みなぎる神々しさで有無を言わせず神様だった。

 どうぞ、とちょうど食べていたご飯の余りをよそおうとしたら、自分の世界の物しか食べられないのだと、太い眉毛を悲しそうに下げた。

 とりあえず椅子を勧めて、ご飯をまずは食べさせてもらうことにしたのだが、コレはなんだ、ソレはどういう味なのか、と並々ならぬ熱心さで聞いてくるので、解説しながらのご飯となってしまった。


 食後。

「お待たせしました。では事情をお願いします」


「うむ。我の名はニルヴァス。おぬしには、わが世界に来てもらい、我のために料理を作って欲しいのだ」


「それまたなぜ?」


「わが世界は去年でめでたく2万年の節目を迎えた。しかしだ、いっこうに飯が美味くならん」


「……」


「食材はあるのだ。こちらの世界の神に色々な種を譲ってもらい生やしたのでな。しかしだ、でるか焼くかしか調理法が発展せず、調味料のたぐいもいまだに塩コショウのみ。…我は待ったのだ。新しい品種がこちらで出来れば融通してもらい、こっそり植えながらな」


 数々の努力を思い出しているのか、遠い目をしている。

 こそこそと苗を山の斜面に植えてるニルヴァス様の姿を思い浮かべてしまった。


「えっと…、ニルヴァス様、そちらの世界の人に、私のように話したりはしないのですか?」


「原初には我の声を聞く者が多かったのだが、昨今はまったくでな。それはこちらでも同じと聞いたぞ。ゆえに、神の声が聞こえるように、おぬしの魂には手を加えなければならん」


「それは神の声に逆らえなくなるということでしょうか」


「そういうことも出来ようが、我が求めているのは料理のみであるのでな。我と会話ができるように、我の力を少々、存在に練りこむ程度である」


 粘土のようだ。それともパン生地だろうか。


「私のすることは、そちらの世界に行って、こちらのような料理をニルヴァス様に作ること、ですか? 世界全体の食文化の向上はいいんですか?」


「うむ、世界全体の向上を待っていたら、我がいつまでたっても美食にありつけんのでな。わが世界の者達は、我ほど美食を求めてはおるまいし、おぬしは我のためだけに頑張ってくれればよい」


 自分だけでいいとか、すごいこと言ってるな神様。努力しただけに失望が絶望にって感じだろうか。すごい清々しい笑顔で切り捨て台詞吐いてるし。



 どうせ、10年ほど前から家族や会社の人達の憐れみの目にイライラする毎日だ。今の時代、珍しくもないだろうにウザいことこの上ないのである。

 恋愛や結婚にあこがれる気持ちもあったが、まあ自分には奇跡が起きたとしても、会社の後輩男子に落ちたモノを拾ってもらうぐらいだろうと思う。

 うん、未練は無いな。

 てことで私は「融通きかせるだけきかせてくれたらいいですよ」とお返事申し上げたのだった。



 まず、元の世界にはもう戻れないということなので、退職と身辺整理をした。

 こよなく愛した腐った物達に古本屋で別れを告げたり、登録していた情報サイトなどの解約や、売れそうな物を売って現金化した。

 親孝行できずに行く私なので、両親の老後の足しに少しでもなって欲しいと願って。

 そしてその間に、異世界での私の設定を神様とすり合わせた。


「年齢はどうしたいのだ?」


「女の一人旅が黙認される年齢は?」


「ふむ、25歳になれば完全な嫁き遅れで、外聞の悪い親が娘を追い出すこともある」


「それいいですね。見た目はこのままでいいでしょう? 美人だグラマーだとかだと、襲われそうだし」


「おぬしなら、ローブをかぶれば男に間違われそうであるな」


「それ初期装備に追加お願いしますね」


 こっちの身体ではあちらの世界には行けないとのことで、この身体は死ぬそうだ。

 家族や知人たちには何も伝えない。こちらの私が死ぬ事に変わりがないし、話したところで「頭がおかしくなった」と思われて終わりになりそうだからだ。

 せめて使えるモノは使ってもらおうと思って臓器提供登録をして、死因は神様に丸投げした。

 結果、死因は歩道橋の階段からの転落死となり、私は死ぬために、めったに登らない歩道橋の階段をヒイヒイ言いながら登った。とっておきのピンヒールを履いて。

 そして足元がガクッとなって後ろに倒れて、浮遊感の後に頭に激痛を感じて暗転。



 そして今、普通に立ってる視野で、広がる景色を見ている。

 ああ不思議。コンクリートジャングルからの、いきなりの大自然。

 異世界…なんだろうな。私は大きく息を吸い込んだ。





 ************************************************

 異世界に行く前に、痛い思いをしましたが、のど元過ぎればなんとやら。

 本人はまったく気にしません。


 次話、神様の本気を感じます。




1日目です。自分でも分からなくなってきたので、題名にこそっと入れさせてください。


この話、あまり日数が進んでないのですが、話数だけはあるのでメモしてみました。

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