シンタイソクテイ
お久しぶりです。こんばんは。そしてこんにちは。
作者の代弁者の紫乃宮綺羅々でぇ~す! みんな元気してた!?
アンブレイドバトル~Exsの第二話ができたから投稿しますっ!
ってこのお決まりのフレーズも飽きてきたら次から何か違うあいさつにしようかなと思うけどぉ~何も浮かばないんだよね! あはは!
さてこのまま本編に言ってもいいんだけど、ここでひとつ間宮冬弥の好きな対戦格闘ゲームの話でもしよっかな!
間宮冬弥は電○ファイティングクライマックスにハマっているらしく休日になるとゲーセンに行ってこの格闘ゲームを楽しんでるんだって。で、先日のアップデートでプレイアブルキャラがふたり追加されたからさっそくプレイ。そこでひとこと。
「大○は使いやすいなぁ~」と言ってました!
…まったく! ゲームをしてる暇があったら私を本編に出せっての!
何が「大○は使いやすいなぁ~」よ! 追加された深○は使わないの! まぁ確かに深○はテクニカルキャラで使いにくそうだけども!
ふぅ…取り乱しちゃってごめんね。
では、気を取り直して、第二話『シンタイソクテイ』をお楽しみください。
それではっ!
◆
夜が明けて土曜日のJP妻沼駅。
週末なのか改札に向かう人はまばら。その代わり自動券売機やニューレイズの近くでは待ち合わせなのかスマホを見たりぼぉ〜っと立っているひとが目立つ。
パン屋さんの前で待つわたしもその中のひとり。
「ルウィー・ジ・フランスかぁ。パンおいしそう」
手持ちぶさたになり後ろで営業している、ガラス張りのパン屋の名前を確認してしまう。
そんなルウィー・ジ・フランスの前でそわそわしながら刹那くんを待つ。
外は雲一つ無い、太陽が眩しいくて清々しいくらいの晴天。
絶好の天気。晴れ日和の午前十時十分。
「お姉ちゃんもこれでいいって言ってくれたけど……この服装でよかったのかな……」
青と赤の二色のパーカーに黒と白のギンガムチェック柄のフレアスカート。その下には昨日買ったスパッツも履いている。パーカーの中はパイル地のトレーナーを着てるけど……う〜ん、ボーイッシュとはかけ離れているような気がするぅ……
「なんか、制服の上からパーカーを着てる感じだなぁ……」
昨日、あんなに色々と試して、お姉ちゃんに相談して最終的にこの服装にしたんだけど……う〜ん。
「大丈夫かなぁ? この服装で……カバンもリュックのほうがよかったかなぁ……スニーカーも変じゃないかなぁ?」
白のスニーカーの足下には地面に置いた少し大きめのショルダーバッグとガーメントバッグ。
「髪型も変えてきたほうがよかったかなぁ……」
髪型は『いつものポニーテール』だけど、いちおう髪止めはいつものゴムじゃなくてシュシュをしてるけど……
「う〜ん……」
おしゃれのつもりで『ばなっしー』のヘアピンを付けてるけど……どうだろうこれって……
「このマフラー……着けてこない方がよかったかなぁ……」
首にはバトルで巻いていた赤いマフラー。このマフラーはそんなに傷んでなかったから着けてきたけど……
「マフラー……はずそうかな?」
不安が溢れそうなくらいこみあげてくる。
あ、おしっこも漏れそう。
「刹那くん……どう思うだろう……はぁ〜こんな事ならアイリーンの言うとおりにかわいい服を買っておくんだったなぁ〜」
ため息。そんなため息の後に後悔が荒波のように襲ってきた。
「う〜ん、変じゃないかなぁ?」
前後から自分の服装を見渡す。スパッツは履いてこない方がよかったか? これぇ?
「う〜ん」
「凪紗ちゃん?」
「うあっ! あっ、刹那くん!」
服装にあれこれ疑問と不安が駆け巡るところに真後ろからの刹那くんの声。
振り向くと大きな手提げ袋を持った刹那くん。刹那くんは『踊る大調査線』の赤島みたいなコート。それは昨日着てたものと同じようだけど……よくみるとそんなにすたれてないし……同じものでもバトルの時のモノとは違うのかな? それと、顔のガーゼがバンソウコウに変わってる。わたしも顔にバンソウコウ張ってるから……あ、やった! お揃いだぁ!
「ごめん遅くなっちゃった。待った?」
二番目の言葉が謝罪だなんて……気にしなくてもいいのに。
「ううん、待ってませんよ。それにまだ約束に時間じゃないですから。わたしが早く来てただけですから」
わたしは無駄だと思うけどそう返す。だって刹那くんの返事はきっと……
「うん、そうだけど。やっぱり凪紗ちゃんを待たせちゃったから、ごめん」
思った通りの返答。ホントにやさしいひとだなぁ。
「気にしなくていいですって」
やっぱり……刹那くんはやさしくて真面目で……そんな事で謝らなくてもいいのに。
「あ、そっか、凪紗ちゃん今日は私服なんだよね。なんか制服ってイメージが俺の中で出来てるから新鮮だよ」
「そ、そうですか?」
刹那くんに言われて自分の服装は見渡す。
「うん、だって平日は制服だし、休みの日なんてお互い電車でなんて会わないでしょ?」
「そ、そうですよね……えっと……」
ドキドキしながらわたしの服装について聞いてみる。ううっ……キンチョ〜するぅ……
「うん?」
「その、この服装……に、似合ってますか?」
「服装? うん、かわいいよ。似合ってていいと思うよ」
「そ、そうですか!」
パァっと自分でもわかるくらいに笑顔がこぼれる。さっきまでの不安とか後悔なんてもう一気に吹き飛んだよ!
「でも、そのキャラプリントのヘアピンはないかな?」
「ううっ……」
わたしは、そっと髪の『ばなっしー』ヘアピンをはずしたのだった。
「じゃあ、さっそくだけどキップを買いに行こうか?」
「はい! あっ、でもわたし券売機でPurimoにチャージしますからキップは買いませんよ?」
「あ、そうなの? じゃあチャージしに行こっか」
「はい!」
わたしと刹那くんは改札を通りプラットホームへと向かうのだった。
◆
「キップっていくらなんですか?」
券売機のタッチパネルからチャージのアイコンを押す。
「百五十円だよ」
長方形のおサイフを手に刹那くんにキップ代を聞く。
「百五十円なんですね」
Purimoを券売機に通して、タッチパネルに表示されている四種類のチャージ項目から千円をタッチ。続いて紙幣を一枚投入した。
「あれ? 刹那くんはキップは買わないんですか?」
電子音と共に出てきたpurimoを片手に買う仕草をしない刹那くん。それにPurimoにもチャージする気配がないので言葉をかける。
「俺? 俺は定期があるから」
「定期? あ、なるほどSumicaですね」
そう言って刹那くんはSumicaを見せる。そう言えばバトルのお願いをするときも妻沼の改札から出てきてたっけ。
「じゃあ、ホームに行こうか」
「はい」
ふたりで並びながら歩いて改札を通ってホームに向かうのだった。
刹那くんとおでかけ! 今日はすごく楽しみだ!
◆
「もしかして船橋に森羅の病院があるんですか?」
「うん、そうだよ」
東京行きの快速電車を待つプラットホームで刹那くんに聞いてみた。
確かにキップの値段も百五十円だし、そんなに遠くはないとは思っていたけど……
「船橋にはよくリフトに行きますけど……森羅の施設なんてありましたっけ?」
「そうだね……あまり目立つ場所ではないかな? 船橋駅前にフェイルって駅ビルがあるよね? その四階から上の階が全部森羅の施設だよ」
「へぇ〜あのビルがそうなんですか」
知らなかったな〜あ、でもあの駅ビルの上階にはあまり行かないから、知らなくても当然かな……
「で、その七階に森羅の医療施設が」
まもなく、東京行きの電車がまいります。
白線の内側まで下がってお待ちください。
「あ、きましたね」
「そうだね」
「で、七階にあるんですか?」
「うん、そう、七階にあるからそこで診てもらおうね」
「はぁい」
こ〜しうてわたしと刹那くんはホームに止まった電車に乗り込んだのだった。
◆
「刹那くん。お菓子食べます?」
電車の中は空いているようで混んでいた。そんな乗車率六十パーセントくらいの中途半端な車内でふたり用席にふたりで並んで座っていた。もちろん、わたしの心臓はドキドキしっぱなしだ。
「お菓子? うん、もらおうかな」
「なにがいいですか? いろいろと持ってきましたよ」
肩掛けバッグから取り出したのはチョコ菓子の『きのこの村』とホワイトクランチチョコの『シルバーサンダー』にチョコスティックの『ポッチー』
それと期間限定キャラメル味の同じくチョコステックの『トッピ』それと刹那くんから教えてもらったコスパ最高の手のひらサイズのお菓子『ボノボル』だ。
「あれ? もしかして凪紗ちゃんってきのこ派なの?」
きのこの村を見て刹那くんがわたしに問いかける。あれっ、てことはもしかして刹那くんは……
「はい……たけのこよりわたしはきのこの方が好きですけど……? 刹那くんはもしかして、たけのこ派ですか?」
「うん、そうだよ。『たけのこ』の方がおいしくない?」
やっぱり! なんでわたしの身近なひとってだいたいたけのこ派なんだろ……お姉ちゃんもそうだし、アイリーンだってたけのこ……それに聞いてないけど悠木さんも昨日たけのこ食べてたし……
「うっ〜、そ、それは違いますよ。きのこの方がおいしいですって。あのクラッカーとチョコの絶妙な配分がいいんじゃないですか?」
反論。お姉ちゃんやアイリーンにはわかってもらえなかったけど、ここはひとつ刹那くんだけでもきのこの村のすばらしさを知ってもらわないと!
「異議あり。それは違うよ凪紗ちゃん。たけのこのクッキーの力強さとチョコの脆弱具合がいいんだって。そんなギャップが噛んだときの奇跡の歯ごたえを生んでるんだって」
「イヤ、それはただチョコが溶けてるだけです。それとたけのこのクッキーの固さは弱点ですね。あと食べる自由がありません」
「食べる自由って?」
いきなりだけどここが正念場かも!
「たけのこは強制的にチョコとクッキーを一緒に食べないといけないじゃないですか? その点、きのこはチョコ部分とクラッカー部分が分かれているので自由な食べ方ができます。チョコの部分を食べるとか、クラッカーの部分を食べるとか。もちろん一緒に食べることだって可能です。自分なりの食べ方ができるのがきのこです。たけのこはそれができません」
これでどうだ! この『食べる自由』理論はたけのこにはない!
「なるほど。確かに凪紗ちゃんの言うとおり、たけのこにはチョコの部分だけを食べるとかクラッカーの部分だけを食べる事はできない。でもそれを言うならきのこだって『チョコ部分とクラッカー部分が一緒に食べられない時』があるよね?」
「一緒に食べられない……あっ!」
しまった……! そこを突いてくるとは……
「クラッカーの初期破砕」
「くっ……!」
流石刹那くん……するどい所を付いてくる……言葉の『紫電』を食らったみたい。
「きのこの村はその形状性からほぼ確実に、買った状態からチョコの部分のクラッカーがはずれて破砕している事が多々ある。それはすなわちきのこのクラッカーが脆い事を意味している。凪紗ちゃんが『食べる自由』を訴えるのならその問題を盛り込んで訴えるべき。クラッカーがなければそれはただのチョコだよ。それにそもそも、『きのこはクラッカー』と『たけのこはクッキー』その違いがあるんだから個人の好き嫌いがでるのは当然じゃない?」
「はぅう……!」
理論が……『疾風』で斬り伏せられたみたい……斬り伏せられていく……
「ううっ……」
たけのこのはその形状性から初期破砕なんて絶対にない……絶対でいて堅牢の安定性。それに引き替えきのこは刹那くんの言うとおりクラッカーの部分が砕けている時がある……それに……クラッカーとクッキーの違い……
「ううっ……」
反論が見当たらない……言葉が出てこない……
「でも、期間限定商品はたけのこよりきのこの方がおいしそうなラインナップが揃ってる。まぁ、この辺はきのこに軍配があがるかな?」
「ううっ……」
た、確かに……期間限定の味ってきのこの方がおいしそうなのが揃ってるかも……
「話を戻すよ。たけのこの安定性はクッキーが砕けないってものあるけどやっぱり食べた感がたけのこの方があるね」
「た、食べた感……」
それって……お腹が満たされる感覚の事か……
「一粒のボリュームが違う。きのこは全部食べてもお腹が満たされる感じがあまりしない。だけどたけのこの満足具合はハンパない。それはなぜか? それは歯ごたえの違いだよ」
「歯ごたえ……! 待った!」
話がボリュームや歯ごたえの話にスライドしてる? ……それって、刹那くんが反論できるだけの要素がないってことじゃないの!?
「刹那くん。歯ごたえやお腹が満たされるっていいますけど、それって個人の主観や男女の違いとか胃袋の違いだと思うんですけど。それにボリュームで言うならきのこの方が容量は微々たる差ですけど多いです! 第一今は、きのことたけのこの『食べる自由』の事で話してるはずです」
「そ、そうだね……だけど」
くっ、刹那くん……まだ何か……
「容量が少ない分だけ、たけのこの方が微々たるものだけどカロリーが少ない。これは女性のとって大きなアドバンテージじゃないかな?」
「う、そ……」
し、知らなかった。そうなんだ……たけのこの方がカロリー少ないんだ……
「でも、きのこはクラッカーの部分をつかめば手が汚れない利点が……」
「利点? 今は利点の話? 『食べる自由』の話はどこ行ったの? でもそれを言うなら凪紗ちゃん。チョコとクラッカーを別々に食べた場合はどうなるの? 最後にはチョコをつまむよね? その時はチョコが手に付くんじゃない?」
「うっ……」
もう……反論の要素が……
まもなくJP船橋駅に到着いたします。東武矢田線、京連線のお乗り換えのお客様はこちらの駅で下車をお願いします。
「さて、もうすぐ到着だね」
「……そうですね」
結局刹那くんにきのこのすばらしさが伝わらなかった……むしろ、わたしがたけのこはカロリーが少ない事実を知ってしまった。
「この話はここまでにしようか? じゃあ、きのこをひとつもらっていい?」
「ふぇ?」
そう言い刹那くんはひょいっと、きのこの村のパッケージを手に取りそのまま開封した
「あ、開けちゃうけどいいのかな?」
きのこの村のパッケージは刹那くんの手の中だけど、まだ開けられてない。
「いいですけど……でも、刹那くんは『たけのこ派』なんですよね?」
「別にたけのこ派だからってきのこを食べられない訳じゃないでしょ? それとも凪紗ちゃんはきのこしか食べないの?」
「それはないですけど……」
「じゃあ、そう言うことで」
刹那くんはパッケージを開封して、きのこをひとつつまみクラッカーの部分だけを食べる。
「なるほど、確かにこの別々に食べるってのはきのこだけの特権かもね」
そして、残ったチョコの部分を口に放る。
「凪紗ちゃんがきのこの良さを訴えるだけあって意外とこの食べ方はいいかもね」
「刹那くん……」
「それと、食べる自由ってさ、色々な種類のお菓子が食べられるってことでもあるでしょ?」
「はうっ……!」
唐突に頭をポンポンされたぁ……う、嬉しいけど……恥ずかしいよぉ〜
「あ、電車でやる行為じゃなかったね。ごめんね、恥ずかしかったよね? 妹にこれやるとうれしがるから……つい……」
「あっ……」
刹那くんはすばやく頭から手を引いてしまった……
ううっ……恥ずかしいけど……もう少しだけしてほしかったな……
「は、恥ずかしくないです……刹那くんになら……」
ものすごく小さい声。その声は電車の走行音でかき消される。
「えっ?」
「あ、いえ何でもないです!」
恥ずかしさを隠すあまり、開いたきのこの村から三、四個取り出し口いっぱいにほおばるのだった。
◆
「さて、それじゃ受付を済ませようか」
船橋駅から出たわたしと刹那訓は目の前にそびえる駅ビルの『フェイル』のエスカレーターから七階に到着。
そして、受付を済ます為に受付カウンターへと向かう所だ。
「すいませ〜ん」
受付カウンターに付くと刹那くんが若い女性の看護師さんに声をかけ『はい。なんでしょう?』とファイルを見ていた看護師さんが顔を上げる。
「この子にAB検査をお願いしたんですけど?」
「あ、はい、では……あれ? あなたもしかして……」
「はい?」
看護師さんがわたしを見て声をかけた。
「白い雪のプリンセスさんですか!?」
看護師さんは興奮気味に言葉をこぼす。
あうぅ、看護師さん……声が大きいよぉ……
「ううっ……」
その言葉に反応したのか奥にいた看護師さんの視線が一気にわたしに降り注ぐのがわかった。どことなく後ろの患者さんからも視線を感じるような……
「えっと……一応そのようです……」
うつむきながら恥ずかしながら、かなり極小の声で答える。
「やっぱり! お会いできて光栄ですぅ!」
「はぁ……」
「すごかったですね! まさか色付きを生成するなんて! 私、色付きを初めて見ました!」
「えっと、はぁ」
自分の両手を胸の前で組みさらにテンションがあがる看護師さん。
「あの、すいません。検査をお願いしたいんですけど、いいですか?」
刹那くんが看護師さんを言葉で咎める。ううっ、刹那くんがいなかったらずっと話してそうな看護師さんだなぁ……
「あっ、失礼しました。えっと、ではこちらの用紙に記入をお願いします」
「はい」
落ち着きを取り戻した看護師さんから渡された用紙には、名前や生年月日と年齢。それと住所や電話番号の記入欄。その他に薬の服用の有無や、現在服用中の薬の銘柄や種類。それと現在の体調の記載や現在の通院の有無や過去の病歴や手術の有無、来院の目的などの記載欄が並ぶ。
「じゃあ、俺は後ろで待ってるから」
「はい」
刹那くんはわたしに告げて後ろの待合い席のイスへと向かって行った。
「さて、じゃあ」
わたしは用紙に視線を戻し、用紙を記入した。
「プリンセスさん。あのひとってこの前のバトルで一緒に戦ったひとですよね?」
「はぁ、そ、そうですけど」
看護師さんは極小の声でわたしにささやく。
「あのひとは検査しないんですか? 戦いを見る限り結構やられてましたけど?」
「えっ」
そう言えば……一緒におでかけできるって事で浮かれてたけど……刹那くんも戦いで負傷してるんだよね。
「ちょっと待ってくださいね。刹那く〜〜〜ん!!」
わたしはすこし大きめの声で刹那くんを呼んだ。
「ん? どうしたの?」
小走りでこちらに来てくれた刹那くんに呼んだ理由と事情を話した。
◆
「俺は今度の土曜日に知り合いの医師に看てもらうので……」
「ですが、今日ご一緒に受けた方が……」
「ご厚意痛みいりますがすいません。その知り合いも日を空けて待ってもらっているので」
「そうですか」
看護師さんの提案を取り下げ刹那くんは『じゃあ俺は戻るね』と告げ、待合い席へと戻っていった。
「礼儀の正しい方ですね」
「やっぱりそう思います?」
「ええ、とても真面目そうです」
「えへへ」
刹那くんの良い所を誉められるとなんか嬉しくなるなぁ。
「ところでプリンセスさんは『森羅カード』は持ってます?」
「しんらカード? いえ持ってませんけど……」
初めて聞く名前のカードだけど?
「あっちゃ〜森羅カードがないと無料で診察は受けられないんですよね」
「ええっ〜〜〜〜!」
「さっきのお連れの方が持ってればゲスト扱いで受けられますけど? どうでした?」
「ちょっ、待ってください! せ、せつにゃく〜ん!」
若干、焦って噛んじゃったけど刹那くんはまたも小走りでこちらい来てくれた。
「どうしたの?」
こ〜して、わたしは看護師さんから聞かされた森羅カードの事を話したのだった。
◆
「あぁ〜そっか。久しぶりだから忘れてたよ」
わたしの話を聞いた刹那くんは自分の財布から一枚カードを取り出す。
「これでいいですか?」
「はい。ではこちらのパネルにタッチしてください」
カウンターに置いてあるICカードリーダーに森羅カードなるものをタッチする刹那くん。
ピロン、ピロ〜ン
そんな、心が和むような電子音がカードリーダーから鳴った。
「はい、結構です……あ、こちらのカードの有効期限がそろそろ近いですね」
「あ、そうなんですか?」
「はい、もし更新するなら五階に設置してあるサービスカウンターで更新ができますのでご利用ください」
「わかりました」
そうして刹那くんは、『じゃあ俺はまた戻るね』とわたしに告げ待合い席に戻る。
「あ、刹那くん。何度も呼んでごめんね」
待合い席に戻る刹那くんにわたしはそう声をかけた。
「ううん大丈夫だよ。向こうの席で待ってるからね」
「はい」
微笑みながら刹那くんは答えてくれた。
でも、ホントにごめんね。
そして今度こそ刹那くんは席に戻るのだった。
◆
「では、お呼びするまで席でお待ちください」
「あ、はい」
書き終わった用紙を看護師さんに返し、刹那くんの元へと戻る。
「お待たせしました」
「お、終わったね」
「はい」
刹那くんの隣に座り呼ばれるまで待つ。
呼ばれるまで長そうだなぁ〜
「意外と時間がかかったね」
「はい、書く項目が多くて」
「そうだよね」
「お呼びするって言ってましたけど……呼ばれるまで時間が掛かりそうですね」
待合い室から見渡す。今日は土曜日だからか、かなりのひとが受診を待っていそう。待合い席がほとんど埋まりかけてるし……
「う〜ん、そうだねぇ。土曜日だしね。それと今日は五時で終わっちゃうからね」
「あ、そうですね。土曜日ですからね」
なるほどそうか。そう言った理由があるから今日はかなり混んでいるのか。
「検査が終わるまで結構時間がかかるから覚悟してね」
「そんなに掛かるんですか?」
「うん、AB検査はかなり。でもその分しっかりとした検査をしてくれるから」
「はい」
う〜んどのくらいかかるんだろう?
「刹那くんも今度の土曜日に受診するんですよね?」
「うん、そうだよ」
「なんか、すいません。わたしの受診を付き合わせちゃって」
「いいって、凪紗ちゃんが謝る事ないよ」
「でも……」
「そんなに気を落とさないでいいって」
「はい……」
刹那くんは笑みを浮かべて言ったくれた……わたしに何かできることないかぁ……刹那くんにはホントに迷惑かけっぱなしだし……
「なんか、迷惑かけっぱなしの刹那くんにお礼とかしないといけないですね」
「お礼? いいよいらないよ」
刹那くんはなんか照れくさそうに手を大げさに横に振る。
「でも」
「なら、しっかりと検査してケガを直してね。それを俺へのお礼ってことで」
「でも……」
それじゃあ、わたしの気が収まらない。
「雪見さ〜ん。雪見凪紗さ〜ん。窓口までお越しくださぁ〜い」
「呼び出し来たね」
わたしを呼ぶ看護師さんの声。
「刹那くんでも、それじゃあ……」
「お礼はそれでいいから」
「でも……はい、わかりました……じゃあ行ってきます」
「うん」
刹那くんが……それでいいなら、今は治療に専念しよう。そしてケガが直ったらわたしからなんかお礼をしよう。刹那くんは受け取ってくれないかもしれないけど無理矢理にでも渡そう!
「あ、刹那くん……あの、すみませんけど、荷物お願いします」
「大丈夫だよ。しっかりと見てるから」
ううっ……決意を固めたのに……ホントになにからなにまで……ごめんね。
「じゃあ、行ってきます」
「あ、凪紗ちゃん。マフラー置いていった方がいいよ」
「あっ、そ、そうですね」
マフラーをはずし、刹那くんに預け窓口へと向かったのだった。
◆
「では、まず尿検査なんですけど、今でそうですか?」
「尿検査ですか? はいちょうど出そうです」
朝、家で一発出してから行ってないし。そろそろトイレに行こうと思ってたからちょうどいいかも。
「そうですか。ではこちらの用紙に尿をかけてください。この用紙ですがこの透明な袋に入れてトイレを出た左側に小さな窓があります。そこにこちらの用紙を提出してください。その後にレントゲンと撮りますので八階にあるレントゲン室へと向かってください。よろしいでしょうか?」
「レントゲンですか……わかりました」
小さい紙袋を受け取る。たぶん尿検査に使うものだろう。でも、刹那くんの言うとおり……これは結構かかりそうだな……
◆
「はい、ありがとうございました。これでレントゲン撮影は終了です。次ですが、脳の状態を確かめるので隣のCTスキャン室へお願いします」
「はぁ……」
看護師さんは事務的な言葉でわたしを促した。
AB検査……これは、もしかしたら刹那くんが言う通りガチの長丁場になるなぁ〜
◆
「お疲れさまでした。これで終了です。こちらの封筒を持って七階の窓口へ提出をお願いします」
「はぁ……」
ふぅ〜、やっと刹那くんの所に戻れるぅ……
◆
「お疲れさまでした。ではお呼びするまで席でお待ちください」
「はい」
窓口で大きな封筒をさっきの看護師さんに渡し刹那くんの元へと戻る。
「お疲れ。どう?」
待合席では刹那くんが小説を読んでいて時間を潰していた。
「ふぅ〜刹那くんの言うよりかなり長くなりそうです……」
疲れ混じりのため息を吐いて刹那くんの隣の席に腰をかける。
「まだまだ序の口だからホントに覚悟してね」
「マジですか……」
そんな不吉な事を示唆されてホントに不安になる。
どんな検査をされるんだろう……
「雪見さぁ〜ん。雪見凪紗さぁ〜ん。窓口へお越しください」
耳に入る看護師さんの高い声。
「じゃあ、行ってきます」
「うん、がんばってね」
「はい」
立ち上がり、三度目の窓口へと向かうのだった。
「来ましたね、プリンセスさん」
再び最初に対応した看護婦さん。どうやらこのひとがわたしの担当になったっぽいな。
「では、こちらの用紙をお渡しします。この用紙の通りの受診になります」
「おふぅ……多いな……」
紙には内科や眼科、皮膚科や外科、脳外科などの名前がずらりと並んでいた。
「これって……何時間くらいかかりますか?」
「あ、それ聞いちゃいます? 結構衝撃的な数字ですけど聞きますか?」
「えっと……遠慮しておきます」
ううっ……刹那くん……ごめん、戻るのもしかしたら午後になるかも……
と、心の中で刹那くんに謝罪したのだった。
◆
「はい、これで完了です。次は眼科ですのでそのまま外でお待ちください」
「はい」
診察室を出て席に座り待つ。
待つ。
待つ。
待つ。
◆
「な、長い……」
待つこと二十分。どこの病院もそうだったけど、待ち時間が長い……そのくせ診察はあっと言う間に終わることが多い……
「雪見凪紗さぁ〜ん。眼科へお入りくださいぁ〜い」
「やっとかぁ〜」
名前を呼ばれ言われるがまま診察室へと吸い込まれるように入っていった。
◆
「お疲れさまです。これで完了となります。では次は外科になりますのでそのまま外でお待ちください」
「わかりました……」
その後、整形外科、脳外科、皮膚科、耳鼻科、神経内科、歯科、精神科、心臓外科、脳神経外科、呼吸器科などを回り、最後はなぜか身体検査を行った。
「ううっ……背が伸びてない……」
去年と身長は変わっていなかった……ううっ、身長伸びないかなぁ……
「では、この身体検査をもってすべての診察は完了となります。診察結果を告げますので七階にあるカウンセリングルームへ向かってください」
「その、カウンセリングルームって七階のどの辺にありますか?」
「ナースステーションの近くですね」
「ナースステーションの近くですね。わかりました」
ふぅ……これで終わりかぁ……やっとって感じだぁ。
柱に掛けれられている丸時計を見る。
時刻は午後二時十分。ここに来たのが午前十一時くらいだから……三時間くらいかかったのか……長かった……
◆
「刹那くん、ただいまですぅ〜」
「あ、お帰り。どうだった?」
刹那くんは小説を読んでいた。文庫カバーがさっきと違うから別の小説かな?
「はい、全部終わりました」
「お疲れさま、疲れたでしょ?」
刹那くんのとなりの席に腰を下ろし。ひとつ息を吐く。
「はい、特に待つ時間が」
「はは、やっぱりそれが一番疲れるよね」
「もう待つ時間長くて」
「まぁ、病院だからね。それはしょうがないよ」
「そうなんですどねぇ〜やっぱり長いですよ。待つ時間」
「でもこれで終わりでしょ?」
「はい。あ、そうだ! カウンセリングルームに行くんだった!」
降ろした腰を急いで上げ、刹那くんに『ちょっと行ってきます!』と告げ、カウンセリングルームへと向かおうとした時に『ちょっと待って』と刹那くんに呼び止められた。
「なんですか?」
「凪紗ちゃん。最後に医師のひとが『ひとつ質問』をされると思うからしっかりと認識して答えてね」
「質問……ですか?」
なんだろ……刹那くん結構真剣な顔してる……
「えっと……ちなみにどんな質問なんですか?」
「そうだね……じゃあ……」
刹那くんは指をアゴに当てて考え出した。
「今いるここはどこ?」
「えっ? それが質問ですか?」
今いるここって……
「そうだね。例題ってとこかな?」
「はあ……えっと、よく質問の意味がわからないんですけど……」
『今いるここはどこ』っていう質問はそれしか答えようがない。
「思ったまま言っていいよ」
「はあ、えっとじゃあ、ここは森羅の病院です……で、いいですか?」
「うんそう、そんな感じで答えてね」
「はい……」
う〜ん、刹那くんの質問の意図がわからない。
そんな腑に落ちない感情のままわたしはカウンセリングルームへと向かうのだった。
◆
「ここかなぁ?」
『カウンセリングルームらしき部屋』はナースステーションの少し先にあった。
だけど、ホントにここが『カウンセリングルーム』なのか確証が持てなかった。なぜかと言うとそのルームにはカウンセリングルームとは書かれていないからだ。
なので恐る恐るそっと、引き戸を少し開けて顔だけを室内に入れる。
「あの〜」
「ん?」
声をかえる。かけた先には机に向かい何かを見ていた白衣を纏った長い髪を束ねた女性がひとり居た。
「えっと、カウンセリングルームに行ってくださいって言われて来たんですけどぉ? ここですか?」
「あ、もしかして雪見凪紗さん?」
こちらを見た二十代くらいの女医さんがそう尋ねた。
「はい」
「ここがカウンセリングルームですよ。では中へどうぞ」
「はい、失礼します」
中に入り後ろ手で引き戸を閉める。よかったぁ〜
「そちらに座って少々お待ちください」
「はい」
女医さんに促された席に座る。女医さんは何かを書くためにイスを回転させて机に向かう。
その後ろには白く発光するボードがあり、そのボードにはたぶんわたしのであろうレントゲンが張り出されていた。
「お待たせしました」
机に向かっていた女医さんのイスが回転して、わたしと対峙する。
ううっ、『入院です』とか言われたらどうしよう
「まず結果から申し上げます」
「はい」
緊張の一瞬。自分では健康と思ってるけどいざお医者さんと向き合うとキンチョ〜するなぁ。
「診断結果等を見ても特に異常はみられません。健康そのものです」
「ホントですか!」
よかったぁ〜ホントによかった!
「背中に大きな打撲の後が見れますが大丈夫でしょう。あと傷跡や痛みが残っていると思いますが、これは数日で消えるはずです。ただ」
「ただ……なんですか?」
ううっ……な、なんだろう
「額に何度も集中的に殴打された後があります。血が出た形跡もありますね」
「額に……あ!」
あの時のヤツかぁ……自分を鼓舞するって言うのかな? とりあえず気合いを入れるためにガラスに何度も叩きつけたあれか。
「な、なにか……も、問題でもあるんですか?」
ううっ〜〜〜〜〜違う意味でドキドキする。
「そうですね、CTスキャンでも特に問題はみれません。逆に聞きますけど雪見さん的には何か頭に違和感や記憶の障害はありますか?」
違和感かぁ……う〜ん。
「触ると痛いくらいで特に記憶傷害や違和感などは感じませんね
「うん、じゃあ大丈夫ですね。その痛みも数日で消えるはずです」
「ふぅ〜よかった」
とりあえず入院とかは無さそう。
「それぞれの科も異常なしとの報告なので通院の必要もないですね」
「そうですか」
「レントゲンを見ても骨や臓器には異常はないのでこちらも大丈夫です」
「はい」
「ん〜後は……特に……」
女医さんはファイルや何かを見て、何かを考えている。
「うん、大丈夫でしょう。では雪見さんから何か聞きたいことや、気になることがありますか?」
「あ、えっと、そうですねぇ〜」
う〜ん、いきなり聞かれてもなぁ〜思いつかないよ。
「えっと……わたしの身長ってまだ伸びますか?」
「そうですね……雪見さんは今、中学生ですか?」
「高校二年です……」
「……そうなんですか」
なにか返答にすこし、間があったような……
「高校二年生ならまだあと二、三センチは伸びると思いますよ」
「二、三センチですか……」
ううっ……それじゃ、百六十センチ台には届かないよ……
「他に何か質問等はありますか?」
「そうですね、わたしからは特に……あっ!」
わたしは金曜日にスノバで言われた刹那くんの言葉を思い出した。
「あ、あの、わたしこの前の初めてのアンブレイドバトルで『色付き』って言われるプレートを使ってその、髪とか目の色が変わったんですけど……その、『色付き』プレートやアンブレイドバトルの後遺症とかってあるんですか?」
アンブレイドバトルの後遺症があるかもしれないし
刹那くんの言葉が頭のなかで繰り返される。
「イヤ害の方は特にありませんよ」
「ふぇ?」
あれ、意外とあっさりした答えだなぁ
「色付きプレートもそうですけど、マテリアルプレートを使用した後の害はありません」
「そうなんですか?」
「ええ」
「えっと、なんでですか?」
「鏡の中には『マナ粒子』がありますから。身体能力の向上の他に免疫力や人体が持つもともとも治癒力などが飛躍的に上がりますので。後遺症などの心配はありません」
「マナ……」
マナか……ホントに不思議で不可解な粒子だな。
「もし、色付きを使ってなにかの後遺症がでているのならノーマルプレートでも症状がでてないとおかしいことになります。ですが、今のところ特にそういう事例は報告されていません」
「はい……わかりました」
って言ったけど……わかったような、わからないような……
「ところで雪見さん。ここからは私の興味で聞きたいんですけどいいですか?」
女医さんは机からリンゴのロゴが入ったタブレット端末を手に取り指で画面をスライドさせ始めた。
「はい、なんですか?」
興味か。なんの興味だろう?
「私の知り合いに『生意気な天才科学者』がいるんだけどね、その天才が言うには色付きプレートは所持者をプレート自身が選ぶって言んだけどね」
「はぁ……」
色付きプレートが自分で所有者を選ぶ……
「そこで雪見さん。色付きプレートが生成される前に、別の空間で色付きプレート使用後の『自分と会って』ますか?」
「はい?」
『別の空間で色付きプレート使用後の自分と会う』? どういうこと?
「んと……別の空間とかってどういう事ですか?」
「そのままの意味で理解して」
そのままの意味か。
「じゃあ、今の言葉で例をあげると銀髪で蒼目のわたしとどこかで会っているって事でいいですか?」
「ええ、それでいいわ。で、どう?」
「どういって言われても……現実的には無理だと思うんですけど? もし会ったら会ったで『同一のわたしが同じ場所でふたり存在する事になりますよね?』」
「雪見さん。タイムパラドクス理論やドッペルゲンガー説等はこの際考えなくていいわ。それと先入観に捕らわれないで。別に現実じゃなくても現実じゃない場所であれば可能じゃないかな?」
「タイムパラドクス理論?……現実じゃない場所?」
「そう、現実場所じゃない幻想空間とか。例えば『夢の中』」
「夢……」
夢…… 夢かぁ……
「う〜ん……夢……夢……? 待って……」
夢? 確か……
「たぶんですけど……バトルで気絶したときに」
わたしはそう前置きをする。そう言わないと今から話す事は自分でもよく理解していなのだから。
「寒くて……暗くて雪が降る場所で……」
そう、わたしが気絶してる時に……
「顔はハッキリと見てないんですけど……わたしと同じ制服で同じ髪型の女の子と会ったような……髪は……」
頭の中の記憶を辿る。わたしはあの暗くて雪の降る場所で女の子に会ってる。
「髪は……銀色」
うん。髪は銀色の髪だった。
「ホントに!? それで!」
少し興奮気味の女医さんを無視してさらに深く思い出す為に頭の中の記憶をかき回す。
「何か言ってたような……」
「なんて!?」
「えっと……」
思い出せない。暗くて寒い雪の降る場所で『わたしと同じ制服で同じ髪型で銀髪の女の子』に会った事は覚えてるし思い出している……けど……
「う〜ん……なんだろう」
何か喋ってたんだと思うけどダメだ! 思い出せない。
「すいません……これ以上は」
「そう……わかったわ」
女医さんは至極残念そうにがっくりと肩を落とした。
「綺羅々。あんたの言ったことはすこしだけ信憑性を帯びたかな?」
「きらら?」
女医さんは極小さい声で『きらら』と言ったがそれ以上はわたしの耳は女医さんの声を認識できなかった。
「あ、ううんなんでもない。ひとり言」
「はぁ」
「じゃあ、これも覚えてたら、または思い出したらで、いいんだけど」
「はい……」
リンゴのロゴが入ったタブレット端末を操作してわたしと話す。
「その銀髪の女の子に会った時に……『身体の一部分に触れた』かしら?」
「はぁ?!」
トンデモ質問に声のトーンがあがるわたし。
「えっと……触れるってわたしの身体にですか?」
「うんそう。どこかに触れた? または銀髪の子が触ってきた?」
「え〜……う〜ん」
正直思い出せないなぁ……女の子に会ったって事は覚えてるけど……
「すいません。やっぱりあれ以上は思い出せません」
「そっかぁ……うん。ありがとう」
そう言い女医さんはタブレット端末を机に置いた。
「じゃあ、特に聞きたい事や質問がなければこれで質問は終わりにしますがどうですか? 質問はありますか?」
「そうですね……」
考えるけど……後遺症の事が一番の懸念材料だったし……後遺症はないって言うし……
「そうですね。特にありません」
うん。特に質問はないな。
「わかりました。では最後にこちらから質問をひとつさせていただきます。この質問に関しては質問返しは認めません。速やかに答えてください」
「質問……」
これかな? 刹那くんが言った最後にひとつの質問って。
「雪見さん。『今のあなたは何処にいますか?』」
「どこに……いるって……」
「あの……」
「質問の返答以外の言葉は認めません」
女医さんの顔が強ばる……ううっ……
刹那くんの例題にように思ったことを言えばいいのかなぁ?
「……えっと、わたしは今、船橋の森羅カンパニーの病院にいます……」
緊張と自信がない答えで言葉のしっぽがかすれるくらい小さい声になっちゃったなぁ……
「結構です」
「はぁ」
刹那くんの質問もそうだけど……この質問の意図ってなんなんだろう……
「あの……」
「はい?」
「今の質問ってなんか意味とかあるんですか?」
「……雪見さん。これが最後です。これから言うことをよく聞いてください」
「あ、はい」
ううっ、お医者さん……なんかすごい真剣な顔してるよぉ
「雪見さん。鏡の中の感覚は鏡の外まで引きずらないでください。ここが鏡の外だと常に認識して」
「はい?」
鏡の中の感覚を引きずる? う〜ん、医学の言い回しって難しいなぁ〜
「えっとぉ〜」
「噛み砕いて説明しますね」
わたしが理解してない事を察したのか女医さんがわかりやすく説明してくれるらしい。
「雪見さんが鏡の中で体験した異常的な身体能力の飛躍はマナ粒子があってのことです。驚異的なジャンプ力や腕力。そして治癒速度。それらはすべてマナ粒子の恩恵です。ですが鏡の外にはマナがありません」
「はぁ……」
それはわかってるけど……
「鏡の中の感覚を鏡の外まで引きずるって言うことは鏡の外で鏡の中と同じ行動を起こすこと。つまり異常な身体能力が無効の状態でジャンプしたり走ったりする事です」
「はぁ……」
う〜ん、ムズかしいなぁ……
「……まだあまり理解してない様子ですね?」
「すいません。なにが言いたいのかよくわからないんですが」
「……はぁぁあぁぁあ~~〜綺羅々の言ったブレイダーは偏差値が低いってのは本当なのかしら」
ううっ……ものすごく大きくて深いタメ息されたなぁ……
「ううっ……すいません」
そうですよ……わたしは偏差値が低いですぅ! テストだっていつも赤点ギリギリですよぉ!
「あ、ごめんなさい。別に雪見さんの事じゃないですからね!」
「いいんです……本当に偏差値低いですから」
ううっ……わたしもアンブレイドバトルをしたからブレイダーってのになっちゃったんだよね……
「分かりやすくて簡単に言うと『死んじゃう』って事です」
「ふぇ!?」
簡単に言い過ぎの感もあるけど……これは分かりやすいぞ!
「し、死んじゃうんですか?」
「ええ、そうです。考えてみてください。鏡の中はマナによって異常的な身体能力の向上を得ています。その恩恵で人知を越えた人外の行動が起こせました。そして驚異的な治癒力のおかげで高いところから落ちたり殴られたり、致死量の血を流しても生きてます。現に雪見さんは生きていますよね? それはひとえにマナのおかげです。もしマナ粒子がなければ雪見さんは確実に死んでます」
「そ、そう言われると」
確かにそうだ。現にわたしはバトル中にかなり高い所からたたき落とされて死ぬって思うほどの痛みに襲われた。
「ですが、同じ事をして鏡の中では生きている事ができても鏡の外では生きていられません。時にブレイダーはその事を忘れ、行動を起こしてしまいます。曇りの日や、特に雨の日に。違うわね天候は関係ないか、『傘を持っている時か』傘を持っているときほど『鏡の中』と錯覚を起こしてしまいます」
「こ、怖いですね」
「そうですね。私たちはこの行為を『マナ中毒』による中毒症状と踏んでいます。ですから雪見さん。鏡の外にいるときは常に『ここは鏡の外』って認識して。その認識がはずれたときは雪見さんは死ぬかもしれません」
「ううっ……」
気をつけよう! 絶対に気をつけよう! 死にたくないよぉ!
「それと、あまり長い時間『鏡の中』にはいないでください」
「わ、わかりました」
「よろしくお願いします」
「あの……」
「はい?」
「ちなみになんで『長い時間鏡の中にいちゃいけない』んですか?」
「雪見さんはなぜだと思いますか?」
「えっ?」
なぜって……う〜ん……なんでだろ?
「この前初めて入りましたけど、特に危険って感じはしないんですけど……それに鏡の中から外にはなにも持ってこれないんですよね?」
「……その考えは間違っていますね。危険と感じないからこそ危険なんです。それに持ってこれないのは外的要素だけです」
「ふぇ?」
危険と感じないからこそ危険……? 外的要素?」
「危険が見えないから自覚がない。これはかなり危険な事ですよ。先ほど『マナ中毒』って言いましたけど、このマナ中毒の発症原因は『鏡の中の長時間の滞在。すなわち高濃度・高密度のマナ粒子による身体感染』です」
「汚染……」
「この高密度・高濃度のマナ粒子って通常では見えません。この見えないマナ粒子を長時間浴び続けると体の中にマナが定着して身体汚染になります。それがマナの中毒を起こして鏡の外でも鏡の中と同じ感覚に陥って、そして行動を起こして……最悪死にます」
「な、何で死ぬんですか……」
亡くなるからにはなんらかの要因があるはず……その理由って……
「感覚と身体能力の差と錯覚。思ったほどジャンプできない。思ったほど早く走れない。思ったほど重いものを持てない。言ったらキリがないですね」
差と錯覚……
「……ひとつ例を挙げると、信号無視ですかね」
「信号無視……ですか」
「中毒者は乗り物にひかれて亡くなる事が多いんですよ。車は手で止められる。車は飛び越えられる。ジャンプして向こう岸まで飛ぶ」
「……ホントですか」
ホントに……ホントにそんな事が……
「これらの行為は『鏡の中では可能』ですが『鏡の外では不可能』です。もちろん鏡の外では車は手で止められないし車を飛び越えるのは不可能。向こう岸にジャンプなんてもってのほかです」
「……でも、鏡の中って痛覚もアップして痛さが倍増するんですよね? その事をわかってればそんな行動は起こさないと思うんですけど? 車を手で受け止めたら痛いし……」
鏡の中であんなに死にそうなくらい痛いのに鏡の外でそれをやるの……
「痛みを我慢する。痛みは数分」
「えっ?」
「マナ中毒者は痛みに耐えてるって言いますけど、私は違うと思います。彼ら、彼女らは痛みに耐えてるんじゃなくて『痛みに慣れて』しまっている」
「慣れる……」
「ええ、アンブレイドバトルによって痛みの感覚に慣れてしまって『痛いという感覚が鈍る』よって、鏡の外でもマナによる感覚の向上の『痛覚』のシグナルをないがしろにする。そして車に立ち向かう……その後はわかりますね?」
「はい……」
そして……最悪……死ぬ。
「医者の立場で言わせてもらうとアンブレイドバトルなんて危険な戦いは無くなってしまえばいいんですけど……それは森羅は許さないでしょう。だからなるべく『鏡の中には長時間の滞在。特に六時間を越えないようにしてください』と雪見さんにこの言葉を贈ります」
「はい……」
六時間か……
「でも最近では六時間になるとジャッチメントビットから警告音が鳴るから……もしバトルが長引いたらそれを目安にして。それに六時間と言ってもほぼ毎日鏡の中で六時間過ごすことを前提にしていますから。そんなに重く考えないでください」
「はい……」
六時間もバトルしたり過ごしたり、なんて事はないよね……アンブレイドバトルってものすごく痛いし……もうあんな経験はしたくないよ。
「では、先ほどの雪見さんの質問の返答ですが、質問の意味は現状の理解度をはかる為です。もし、雪見さんが私の質問に対して『鏡の中』とか数分考え込むようなら『マナ
中毒』の疑いがあるので緊急入院です。
「入院……」
「ええ、ですが雪見さんは大丈夫です。私の質問にしっかりと答えて現状を把握しています。中毒症状はゼロと言っても差しつかえないでしょう」
「ホントですかぁ!」
よかった。ホントによかった。
「安心してください。ですが私の言ったことをしっかりと理解して注意してください。もし、何か違和感や気になる事があったらすぐにこちらに来てください」
「はい……」
「では、これで終了です。ナースステーションで診断結果表を受け取ってご帰宅ください」
「はい、じゃあありがとうございました。失礼します」
「お大事に」
よく聞くテンプレートワードを耳に流し、女医さん頭を下げてカウンセリングルームを出たのだった。
◆
「刹那くん……ただいま」
待合い席で小説を読んでいる刹那くんに声をかけた。
「おっ、お帰り……うん神妙な面もちだね。どうやら『聞いた』みたいだね」
「はい……」
小説から顔を上げた刹那くんの第一声はこれだった。
……わたし……そんなに神妙な顔してるのか……
そして刹那くんの思う『聞いた』って言うのはきっと『マナ中毒』の事だよね。
「刹那くんは知ってたんですね?」
「うん」
「あの質問の意味も意図も分かってたんですね?」
「うん。教えてほしかった?」
「いいえ。でもきっと刹那くんはわたしが教えてと言っても教えてくれないですから」
「うん。これは教えられない。あの時の俺ができるのは例題を出すだけ。もしあの質問で中毒症状の兆候が見られたら、俺は凪紗ちゃんを無理矢理にでも入院させて完治させなるよ」
「わかってます。ありがとう」
そうだよね。刹那くんは教えてくれない。もし、わたしが『マナ中毒』だった時の事を考えての措置。やさしい刹那くんだからわたしには教えてくれない。
「そんな深刻な顔しないで。凪紗ちゃんは毎日六時間も鏡の中にはいないでしょ?」
「はい、それはそうですけど……」
「検査の結果はどうなの?」
「特に異常はないそうです」
「そっか。ならお昼も過ぎてるし、おなかも空いたし何か食べに行こうか?」
「そうですね。何か食べましょう!」
刹那くんはわたしを元気付けてくれてるんだ! ならわたしは精一杯の笑顔で答える!
せっかく刹那くんとのおでかけなんだから、楽しまないと! 今回は身体検査の結果が異常がないって事を喜ばないと! なるかわからない『マナ中毒』の事なんて考えてたら今日は損する!
「じゃあ、わたしナースステーションで診断結果表を受け取ってくるんで待っててください!」
「わかった」
「行ってきます」
わたしは吹っ切れたかのように颯爽とナースステーションへと向かったのだった。
◆
「ここで制服を新品に変えてもらうんですか?」
「そうだよ。まずはサービスカウンターで受付をしてこようね」
「はい」
そう言い刹那くんとわたしはサービスカウンターへと向かう。
ここは五階。診断結果をもらいそのままの足で森羅施設のサービスエリアへとやってきた。そこは、ひとエリアまるまる使っている七階の医療施設と違ってひとはまばらだった。
「ひとが少ないですね?」
「そうだね。たぶん土曜日ってのもあるけど。でもサービスフロアって言うけどここはアンブレイドバトルのアフターサービスぐらいしかおこなってないから、そんなにひとが来るところでもないんだよね」
「へぇ〜」
ひとフロアまるまる使ってこんなに広いのに……なんかもったいない。
「じゃあ、さっそく受付してきますか?」
「うん。でも俺も向こうのカウンターで手続きだから」
そう言って刹那くんはわたしと反対方向を指さす。
「へっ? 同じ受付じゃないんですか?」
「うん。服の交換はプライベート上の理由で男女別々の受付カウンターなんだよ」
「へぇ〜」
そうなんだ。
「じゃあ、俺は行くけど何かあったらさっきみたいに呼んでね」
「はい」
刹那くんは背を向け、反対側に設置してあるカウンターへと向かい歩き出す。
「さて、すいませ〜ん」
制服の入ったガーメントバッグを握りカウンターに声をかけた。
「はい……って、あれ、もしかしてあなたって……白い雪のプリンセスさんですか!?」
森羅の制服を着た二十代くらいの受付嬢のひとは目をキラキラさせてわたしを見つめている……
「……ううっ……」
なんか、さっきの病院のナースさんと同じリアクションの気がするぅ……
「えっと……そういうことになってます……」
「うっそ! 感激です! あ、握手してください!」
「はぁ……」
わたしって……握手を求められるほど有名になったのかなぁ……
「この前の戦いすごかったです! 私、感動しました!」
「はあ……ど、どうも」
ううっ……刹那くぅ〜ん……
わたしはチラッと刹那くんの方へと振り向く。刹那くんはあっと言う間に受付を済ませたのかベンチに座り小説に没頭していた。そんなわたしの状況には気づいてもらえなかった……
「えっとぉ……あの……すみませんけど、今日来たのはこのボロボロの制服を新しいのに交換しに来たんですけどぉ……」
頼りになる刹那くんには頼れない状況なのでわたしはこの状況を打破するための一手を放つ。まずはさりげなく握手をほどき、わたしは目的と用件を告げた。
「あ、す、すいません。では、こちらの用紙にご記入をお願いします。それから書いている間に交換する服は預からせていただきます」
「はい」
渡された用紙と交換で制服が入ったガーメントバッグを渡す。
「あ、あと、森羅カードを拝見してもよろしいですか?」
「しんらかーど……ですか」
ううっ……出たよ。また『森羅カード』だよ……
「そのぉ……わたし森羅カード持ってないんですけど……一緒に来たひとが森羅カード持ってるんですけど……」
「あ、そうなんですか。ではお連れの方のカードを拝見してもよろしいですか?」
「あ、はい。ち、ちょっと待ってくださいね」
わたしは小走りで刹那くんの元へと駆け寄り事情を説明したのだった。
◆
「では、更新料として三百円頂きます」
「更新料ってギルポイントで払えますか?」
「はい。可能です」
「ちなみに今、どれくらいギルってあります?」
「少々お待ちください」
刹那くんと受付嬢さんのやりとりを聞きながらわたしは用紙を記入することにした。
渡された用紙には名前と住所。交換方法と交換する服の種類。それからサイズに破損した服の処分方法の選択などが記載されていた。
「お使いになられるギルは百五十ギルになります。ギルを使用して残りは現金でお支払いになりますか?」
「はい。それでお願いします。それと、カードが少し割れちゃったので新しいのと交換ってできますか?」
「はい可能です」
「じゃあ交換をお願いします」
「かしこまりました。では残りの更新料、百五十円頂きます」
「百五十円っと……」
横からジャラジャラと硬貨が当たる音がする。
「百五十円丁度、お預かりいたします」
森羅カードかぁ……あれってわたしでも作れるのかな……
刹那くんの真新しい森羅カードを見つつ、手の動きが止まった。
「では、こちらが新しい森羅カードとなります」
「どうも。じゃあ凪紗ちゃん。俺はさっきのベンチで待ってるね」
「あ、はい。ありがとうございました」
「いいって、じゃあね」
「はい」
刹那くんは踝を返してさっきのベンチへと戻っていった。
「さて、用紙を記入しないと」
わたしは止めていた手を再稼働させて用紙の記入を再開させる。
「ん? あれ? 服って商品券にも交換できるんですか?」
用紙には『商品券に交換希望』との欄があった。
「はい。可能です。ですがこちらは学校指定の制服になりますので交換のみとなります」
「あ、そうなんですか」
「ええ、商品券との交換は一般服だけですね」
「わかりました」
まぁ、もしできるとしても商品券との交換はしないけどね。したらお父さんに起こられるしぃ。
「えっと……交換服の処分方法?」
用紙には処分方法として『持ち帰る』と『森羅で処分』とで選択できるらしい。
「ボロボロの服って森羅で処分してもらえるんですか?」
「はい。可能です」
「へぇ〜そうなんですか」
なら、ここで処分してもらおうかな? どうせ着れないし捨てるものだし。
「……次はっと……ん? このナノミスリル繊維の織り込みってなんですか?」
用紙の最後には『ナノミスリル繊維の織り込み』を希望する・希望しないの選択が記載されている。
「はい。この『ナノミスリル繊維』は服にナノレベルまで細くしたミスリルファイバーを服に織り込んで、軽くしてさらに服の強度を上げる技術です」
「へぇ〜」
「服が破れにくくなりますよ。それと汚れにくくもなりますのでオススメです。こちらは無料サービスですので、よろしかったらどうぞ」
「そうなんですか。じゃあせっかくなので」
希望するの所にチェックを入れて完了っと。
「はい。では承ります。申し訳ございませんがナノミスリル繊維を織り込んだ服を用意するのに三時間ほどのお時間を頂いております。また服がご用意できない場合は約一週間お待ちいただくことになりますがよろしいでしょうか?」
「三時間かぁ……」
交換は五時くらいかぁ……バイトが六時だから……まぁ大丈夫か。
「はい。大丈夫です」
「かしこまりました。では五時にこちらの用紙を持ってお越しください」
「はい」
用紙を受け取り、わたしは刹那くんの元へと戻ろうとしたとき……
「あ、プリンセスさんすいません。それと処分方法が『森羅で処分』となっていますがこちらは学校指定の制服となっていますのでこちらで処分する場合は、ご自分で処分する形になりますがよろしいですか?」
「ふぇ?」
えっ、森羅で処分してくれんじゃないの?
「えっと、自分で処分って……」
「はい。専用のルームにてご自分で服専用のシュレッダーにかけていただきます」
「シュレッターにですか?」
「ええ、お客様にはご不便をおかけして申し訳ないんですが……」
「わ、わかりました」
「お越しいただいた時にもう一度ご案内いたしますのでよろしくお願いします」
「はい」
こーして、なんか『自分で服を処分する』というなんか不思議な感覚でわたしは刹那くんの元へと戻っていった。
続く。
ど~も、作者の代弁者の紫乃宮綺羅々でぇ~す!
驚いた!? あとがきまで私、参上!
まずは、間宮冬弥の拙い小説を最後まで読んでいただきありがとうございま~す!
さて、間宮冬弥を差し置いてまでここに来たのはほかでもないんです! 読んでくれた人はわかってるけど、なんと私が名前だけだけどついに本編に登場です! おっと本編じゃなくて番外編か!
いや~登場まで長かったな! 長かったよほんとに!
だから、この調子で本編に登場させてねよね! 間宮冬弥!
では、短いですがこの辺で失礼します。アンブレイドのチューンナップとかいろいろと立て込んでてね。ごめんね。
じゃあ次話も読んでね! それではっ!