第6話 黒と赤
やっと・・・!!
木の中は自分が上か下かもわからない暗闇だった。ただわかるのは肌に感じる風。
私、どこに行くんだろ・・・。
不安に思っていると光が見え、顔を向けた瞬間勢いよくそこに吸い込まれた。
ポンッ!
「え・・・?」
見えたのは一面の青空。つまり・・・。
空 中 に 放 り だ さ れ た!!
「嘘嘘嘘!?」
死ぬ!!と目をつぶると地面に叩きつけられ、そのまま転がり何かに衝突して止まった。
「ぐはっ」
い、痛い・・・。
全身の激しい痛みに涙が出てきて、とりあえず頭を擦っていた。
擦りながら周りを見ると、どうやらここは森の中のようで大きな木と大きな花があった。花は私の背より大きいだろう。
木々の間から日の光差しがとても心地よい。
思わず頭を擦るのを忘れ、目を瞑ると・・・。
さわさわ・・・。
!!!!!
私は驚き目を開いた。
誰かに頭を撫でられたのだ。その人物は撫でるのに慣れていないのか、まるで壊れ物を触るみたいに撫でてくる。
――その撫で方が少しくすぐったい。
下を見ると私の左右には長い足があった。どうやら誰かの足の間にいるようだ。
あの転がりを受け止めるとかまずくない・・・?すごい音したよね!?
やべぇ!!と慌てて上を見上げると、黒と赤が見えた。
――闇のように暗い漆黒に、血のように光輝く赤――
私の意識はそこでなくなった。