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鳥籠の花嫁  作者: 寝子
幼少編
13/22

第10話 あなたは誰?

だから攻略キャラに魔力なし(ゼロ)はいないから攻略キャラではな・・・あれ。魔力なし(ゼロ)いたかも?



やっぱりゲーム知識がないといたいなぁと考えながら、そう言えばと私は顔を上げた。



「ここどこ?」



そしてあなたは誰?



私の質問に、お兄さんは少し考え込むような顔をした。



「ここは最初であり、最後の森」



俺は・・・。



そう言ったところで、お兄さんは足を止めた。



「?おおおおお!」



前を向くと、回りの木より倍の大きさの木が目の前にそびえ立っていた。その木は大きさは違うけど、ユリアーナの家にあった木と似ていて、太い木の根が一面に這っていた。



口を開けて木を見ていると、お兄さんは腰を落とし、地面を蹴って木の根に飛び上がった。


お兄さんの足は軽やかで、着地した時にふわりふわりといった音がしそう。そしてあっという間に穴が空いているところにきた。



私はここから来たのかな?



するとお兄さんが穴に手を伸ばそうと穴に近づいた。




――その瞬間だった。




ゾクリとした悪寒が背中を走り抜け、冷や汗をかき、歯がガチガチと鳴るのを止められない。まるで穴に近づくなと本能がそう訴えているかのようだった。



ぽっかりと開いている穴は何も見えない深い闇。




怖い怖い怖い・・・!!



私の中が恐怖に溢れ、あまりの寒気にまるで雪の中にいるようだった。



その時。




――ぽんぽん。




恐怖に震える私を、お兄さんが安心させるような手つきで撫でて、あやすように体を揺すってくれる。私は自然と体の力が抜けて、お兄さんにもたれ掛かった。



・・・あったかいなぁ・・・。



目が覚めてから、人の冷たい視線や態度に私はだいぶ参っていたらしく、お兄さんの優しさや体温に泣きそうになる。



・・・よし!お兄さんがいれば大丈夫!怖くない!!



バッチコイ!とお兄さんの首にしがみつく。・・・いや、だっていれば大丈夫つっても怖いんだもん。



お兄さんは私がしがみついたのを確認すると穴に手を入れて、かき混ぜるように手を動かした。



「ふむ・・・これはまた遠くから来たな」



「!わかるんですか?」



かき混ぜただけなのに?



「こことお前の国は正反対の位置にある」



「マジか」



ブラジルと日本みたいな感じ?この木、そんな遠くの距離を一瞬で移動させたのか・・・。



調べ終わったのか、お兄さんは穴から手を出した。



「!?ちょ・・・手!」



「?ああ・・・すぐに再生する」



「いや、再生するって・・・」



お兄さんの手は焼けただれていて、煙まで出ていた。絶対痛いはずなのに、お兄さんの表情はピクリとも動かない。



ちょ、なんか傷押さえるものは!?とあわあわしながらポケットを探るが何も出てこない。



どうしようどうしよう!?



更に慌てる私にお兄さんは首を振った。



「気にするな。自業自得だ・・・俺はこの木の中に入れないからな」



?私は入れたのに?



どういうことだろうと考えている私をよそに、お兄さんは軽く手を振った。




「え・・・」



一瞬で傷が治った!?



信じられない気持ちでお兄さんの手を掴み、まじまじと見たけど、傷ひとつない綺麗な手だった。




もしかして、このお兄さんは・・・。




私に手を掴ませたまま、お兄さんは木から飛び降りた。これまた着地は衝撃がない。やっぱり・・・。




やっぱり、お兄さんって妖精さんなの!!!???




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。



と、冗談はさておき・・・。んー・・・というか、この世界(ゲーム)に妖精っていたっけ・・・?



そんなことを思いつつ、前を向くとお兄さんが向かう先に黒い椅子とテーブルがあった。でも、1つずつしかないので私はお兄さんの膝の上に座る形で乗せられた。



「お前の・・・」



「?」



「お前の話が聞きたい」



お兄さんが指パッチンをすると、一瞬で湯気がたつお茶と美味しそうなお菓子が出た。



「どっから出した!?」



「?魔法だ」



「わぁ~お兄さんが言うと可愛い・・・じゃない!そんな魔法あった!?」



私がお兄さんに掴みかかる勢いで聞くと、お兄さんはちょっと考え込んでから私の唇に人差し指を当て・・・。



「それは秘密、だ。なぁに秘密ってのは女だけの特権じゃないんだぜ?・・・それとも、秘密のある男は嫌いか?」





―――――――――――――――。




ボン!!と音が鳴りそうな勢いで頬が熱くなる。たぶん、今私の顔は真っ赤だろう。



なんだんだ。この色気は!?薔薇でたよ!薔薇!!

このお兄さんぶわって薔薇背負ったよ!!



そんな私を見て「ふむ。あれの真似だったが・・・使えるな」と満足げに私の頭を撫でてきた。



ほっ、本家がいるの!?まさかお兄さんより上って事はないよね?・・・ね!?



戦々恐々としていると、お兄さんは不思議そうに首を傾げた。


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