第8話 その声、凶器
きたぁぁぁぁぁぁあ!!。・゜゜(ノД`)
「っ~~~~!」
ゆ・・・め・・・?
流れ落ちる汗を拭い、激しく鳴る心臓に息を吐く。
・・・夢の内容はあまりにも残酷だった。あれが私の未来なんだろうか? と夢でえぐられた目を押さえる。
やっぱり私は死ぬのかな・・・?
王子ルートなら気持ち悪いオッサンと結婚して、玩具にされて崖から落ちて死んで、兄貴ルートなら売られてまた玩具にされて死んで・・・?
【《嫌・・・嫌よ! 様! 様ぁ!!》】
【《死にたくない・・・死にたくない!!》】
【《なんで・・・どうして・・・私はただ・・・》】
【《「幸せになりたかっただけなのに・・・」》】
目頭が熱くなった。そうだよ、ユリアーナはただ幸せになりたかっただけなのに・・・。
愛なんて誰も教えてくれなかった。誰もユリアーナを愛してくれなかった。
愛する仕方がわからなかったユリアーナは、必死になって婚約者に愛を求めた。
でも王子はユリアーナを愛さず、勇者を愛した。
愛される方法がわからなかったから、ユリアーナは父に愛を求めた。
でも父はユリアーナを愛さず、目も向けなかった。
私は・・・私達はどうすればよかったのよ!!
誰か私達を・・・!
頬に熱いものが流れ落ち、ハッとなった。私、今なんて・・・?
混乱していた時、頬に伝う涙をそっとすくいとられた。
「!え・・・」
驚き上を見上げると、そこには紺色の髪と目のお兄さんがいた。
次々にこぼれ落ちる涙をせっせと無表情ですくいとるその人は、兄より美形で、思わずこんな人攻略キャラにいたかと考えるほどだった。
ぼうっと見ていると、お兄さんは首を傾げ、私の頭を撫でる。
その不器用な撫で方は意識がなくなる寸前に撫でてもらった手と一緒だった。
この人が、撫でてくれてたのかな?
「まだ痛いか・・・?」
っ!?!?!?
お兄さんの声に思わず固まった。
低く甘めの声が囁くように言われた為、艶っぽく耳元に響く。
なんなんだこの美声は!?
兄を思いだし、美形と美声はセットなのかと納得しながら、お兄さんの問いに首を横に振った
「そうか」
お兄さんは頷くと私を抱え直した。あれと下を見ると腹回りにお兄さんの手が回っていた。
どうやら私はお兄さんの膝の上で抱っこされていたらしい。
慌てて降りようとしたけど、お兄さんは離してくれず困り果て見上げると「足が汚れる」と呟くように言われた。
その言葉に足を見ると裸足で、いつ靴が脱げたのかいや、最初から履いてなかったようなと唸りながら考えていると、いきなり視界がブレた。
「おおおう!?」
思わずお兄さんの首にしがみつくと、チラリと私を見て歩き出した。
やっと登場しました( ;∀;)
気づくと、お気に入り800件になっていて、嬉しいと同時に何だか泣けてきた作者でした←
本当にありがとうございますm(__)m