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そんな風に騒がしく研究室で一日を過ごす彼女たちは若干二十歳前後だが皆それぞれ仕事をしている。本業は全員『准教授』だが、都芭璃はその他に小説家、歌手、モデル、声優とかなり沢山の副業をしていて、沙耶も声優として活躍している。都覇鎖は調理師と栄養士の資格を持っているし、羅瑠と由宇李は二人ともモデルだ。そんな風に沢山の仕事を抱える五人を同い年の一般生徒たちは尊敬の目で見るが、実際は
「都芭璃、今日撮影じゃなかったの?」
「ん~、体調不良って事になった。」
「なったて…アンタ仕事なくなるわよ。」
「ん?あぁそれについては心配いらないよ。モデル業がおじゃんになっても特に困らないしね。」
と、副業に関してのみで言うならやる気の欠片も無いうえ
「都芭璃ちゃん、由宇李ちゃん、アイス買ってきたよ!」
「おお!アイス~。」
と、毎日のようにアイスを食べていた。それでグダグダしているのだから太りそうなものだが都芭璃も羅瑠も由宇李も太るどころかナイスなボディラインを維持している。都芭璃のソレは体質と言うのもあるがほかの二人がナイスなボディな理由は都芭鎖が作るバランスのとれた食事のおかげなのだ。
「お前らアイスばっか食ってるなよ。もうすぐ昼飯だからな!」
と、都芭鎖から声がかかる。
「はぁ~い。」
「やったー!お昼、お昼!」
調理師免許を持った都芭鎖の作る料理はバランスだけではなくとても美味しいので研究室の六人だけでなく時たまやって来る学生たちにも人気だ。
「はいよ。都芭璃の分な。」
そう言って都覇鎖が都芭璃の前に置いたお皿にはゆうに三人分を超える量のチャーハンとこれまた三人分を超えるわかめスープが置かれた。
「都芭璃、よくそんなに食べられるわね。」
「んあ?」
由宇李がため息をつきつつ言った時にはもう半分以上が都芭璃の胃の中に入っていた。
「どこに入るんだろうねぇ。都芭璃ちゃん小っちゃいのにね。」
都芭璃の身長は143cmと小柄だ。そんな都芭璃のどこにそんな大量の食物が入るのかと、研究室の面々は不思議がっており魅神に至っては隙あらば都芭璃を研究しようと手を出すので毎日都覇鎖にフォークで刺されていた。
「都芭璃…すごい。」
沙耶がポツリと漏らすと
「あにが?」
と、都芭璃が首を傾げる。
「そんな量のチャーハンとスープがどこに入るのかってことよ。」
由宇李がため息まじりに言うと
「胃じゃない?」
都芭璃は首を傾げながら言う。
「都芭璃ちゃんの胃は宇宙と繋がってるのかな?」
羅瑠が冗談交じりに言うと。
「宇宙には繋がってないよ。」
都芭璃は真面目な顔で答え