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「どういうこと?」

「人の髪や目、皮膚とか、とにかくそう言うものに色が有るのは遺伝子に組み込まれた色素情報でなりっ立っていてそれが無くなると色が抜ける。基本的には黒い瞳黒い髪も色素を抜けば赤い瞳と白い髪になる。」

「赤い瞳?」

「そう。色素が無ければ眼球は赤く見えるんだって。」

「そうなの?」

「詳しくは知らないよ。」

都芭璃はまた肩をすぼめ

「先に進んでいい?」

首を傾げる。

「ええ。」

「色素が抜けたなら赤と白、だけどボクは金と翠、おかしいよね?いろいろ検査はしたんだ。細胞組織とか遺伝子とか脳とか、でも異常は見当たらなかった。」

「じゃあその髪は自前なんだねぇ。」

羅瑠が頷きながら都芭璃の髪をすくう様に持ち上げた。

「綺麗だよね。」

「嬉しい事を言ってくれるじゃないか友よ。」

「あはは。大袈裟だよぉ。」

「ねぇ。」

羅瑠と都芭璃が話していると由宇李が割って入るように

「都芭璃の話はひとまず置いておいて。先生はどこかしら?」

「龍ちゃん?」

都芭璃が『龍ちゃん』と呼ぶのはこの研究室の主といってもいいほどのいわば『教授』という奴である。『教授』と言ってもあまり講義をすることは無く、基本的には研究室の一番奥、入り口から100m程離れた所にある木製の扉の中で寝ている。だが、泊まっているわけでは無いので毎朝10時、つまりは都芭璃達が研究室に来てからの登場なので朝から逢わない等と言う事は皆無だった。『教授』には当然名前がある。魅神龍司〈ミカミ リュウジ〉。日がな一日中自室にこもってアニメと妖怪と怪異と都市伝説についてブツブツと考えている為、学校中の学生から『変人教授』と呼ばれているが、じゃっかん30歳にして教授になったと言う都芭璃達三人を上回る神っぷりを発揮している人物だ。ボサボサの頭に年中眠そうな目、ヨレヨレの白衣にサンダル姿で『変人』とまで呼ばれてしまうのだからもちろん彼女など居ない。実際はかなりのイケメンなのだがその真実を知るのは研究室の人間だけだ。

「龍司センセ今日来てないのかな?」

「そんな事ないとは思うけど、さっき図書館に行った時も見かけなかったし、どこ行ったのかしらね。」

「龍ちゃんどこ行ったんかなぁ?」

都芭璃は首を傾げる。都芭璃は魅神を『教授』でも『先生』でもなく『龍ちゃん』と呼んでいた。

「あの変態なら食堂に居たぜ。」

「あっツッ君だ。」

都芭璃がそういって振り向いた先には研究室にの扉にもたれ掛かっている魅永海都覇鎖〈ミナミ ツバサ〉がいた。彼…もとい彼女は見た目こそ少年のようだがれっきとした女性で天才的頭脳は持っているものの研究室内では一番の常識人だった。

「食堂?先生が食堂にいるなんて珍しいわね。」

由宇李は首を傾げる。いくら『変人』でも『変態』でもお腹がすけば食堂ぐらい行く。それが一般的な研究室で過ごす研究員たちの在るべき姿だったしかしながら、この研究室の住人にとって『一般的』と言う言葉が既に有って無きが如き言葉なのである。お腹がすいたら都覇鎖に言って作ってもらう。それがこの研究室での日々の過ごし方だった。


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