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「じゃあそんな所にいなければいいじゃない。」

と由宇李が言う。こんなやり取りを二人は朝から4~5時間繰り返していた。一応一般学生と同じ9時登校をしているのでほぼ一日をこの部屋で過ごす。

「なーあ~ちゃんどこ行ったん?」

都芭璃が首を持ち上げつつ傾げるという難易度メガMAXな荒業を繰り出しつつ呟く。都芭璃の言う『あ~ちゃん』とはやはり神がかった頭脳を持つ少女で都芭璃達の親友兼癒しのパワースポット神宮寺羅瑠〈ジングウジ アミル〉だ。日本人形の様なサラサラ黒髪ストレートを靡かせる少女で羅瑠は目立つ事を嫌いあまり都芭璃から離れる事をしない。だが、 

「そう言えばいないわね。どこ行ったのかしら?」

朝は一緒に登校してきたはずの羅瑠の姿が研究室に無い。二人が首を傾げているとギギィという不可思議な音と共に研究室の扉が開く。

「あぢーよー。」

「ぎゃーユーレー!」

ではなく羅瑠だった。羅瑠は室内に入ってくると談話用のテーブルに何やら荷物を置きながら

「いやぁ。今日は暑いねぇ。暑すぎてアイス買いに行っちゃったよ。てか、都芭璃ちゃん酷いよ、確かに汗で髪の毛デローンってなってそれっぽいかもしれないけど。」

「だって。」

「いや、それよりもそこで何してるの?」

「光合成。」

「植物かよ!ダメだよーせっかくの白いお肌が日に焼けちゃうよー。」

「日焼けなんか怖くない。」

「ダメよぅ。若いときの日焼けは年取るとシミになるんだから。」

「お前誰だよ。」

「近所のおばさん。」

そんなバカげたやり取りをする羅瑠と都芭璃を前に由宇李は溜息をついて息を吸い込むと

「ちょっといいかしら?」

部屋の窓ガラス(強化ガラス)がミシミシと音を立てるほどの大声を出した。二人がピタリと話をやめる。由宇李はそれを見届けるとゆっくりとソファーに座りなおし

「そのアイス、早く食べないと溶けるわよ?食べないなら冷蔵庫にしまいなさいな。」

静かに諭すように言う。

「おーアイス!食べる食べる♪」

嬉しそうに駆け寄る都芭璃を見ながら羅瑠は言う。

「都芭璃ちゃんそんなに暑かったの?」

「お~暑かったぜぇ~い。」

「その割には汗かいてないよね?」

「おー。トバちゃんは汗掻かない性質なんだぜぇ~い。ワイルドだろぉう?」

「そおなんだぁ。てかその喋り方何?」

「ワイル・・・「暑苦しい。」」

都芭璃の自分主張は由宇李の冷たさMAXの一言により一掃された。羅瑠はクスクスと笑いながら

「都芭璃ちゃん。アイス溶けちゃうから食べよう?」

「おぉ・・・ふ。」

振り向いた都芭璃はなぜか涙目でちょっと情けない顔をしながら返事をする。


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