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俺、神社を継ぐことになりました。  作者: 真田らき


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7/7

第7話:俺、神社の魅力に気づきました。


 俺がこの神社を継いでよかったと思う理由は、色々あるんだけど、最近特に思うことは、神社のそのものの良さに気づけたってことかな。神社って、なんか特別な空気があるんだよな。


 うちの北乃坂神社は、江戸時代からの古い社で、周りを木々が囲んでる。杉やヒノキ、桜の古木が何本も生えてて、まるで小さな森みたいになってる。

 鳥居をくぐると長い階段があって、その両端に背が高い木々が生えてるんだけど、そこを通ってると別世界にいくような錯覚に陥る。階段を上ると境内に着く。陽光が木漏れ日になって境内を優しく照らしてる。


 夏は葉っぱの緑が濃くて、風が吹くとサワサワサワ~って音がして涼しい。

 秋は落ち葉が絨毯みたいに積もって、赤や橙の色が綺麗だ。

 冬は枝が裸になって、たま~に降る雪が積もると静寂が深まって神秘的な感じがする。

 春は桜が満開で、花びらが舞う光景は絵本みたいだ。


 俺は子供の頃からこの森みたいな神社で遊んでたけど、宮司になってから、改めてその良さがわかった。


 この神社の空気感が、俺は大好きだ。マイナスイオンがいっぱい出てるのか、科学的なことはわからないけど、なんか特別なんだ。息を吸うと、胸の奥まで澄んだ空気が入ってきて、体が軽くなる感じがする。

 土の匂い、木々の香り、遠くから聞こえる鳥のさえずり…。都会の空気とは全然違う。子どもの頃は気づかなかったけど、今はここにいるだけで、心が洗われる。

 嫌なことがあった日、例えば会社で上司に叱られて落ち込んだ時とか、予算会のプレッシャーで眠れなかった夜とか、そんな時は用事なくても神社に来ちゃうんだよな。


 境内を歩くだけでもいいけど、一番いいのは社殿の階段に座ってるとき。石段の冷たさが心地よくて、背中を預けて空を見上げる。木々の間から青い空が見えて、雲がゆっくり流れるのが見える。風が顔を撫でて、木の葉が揺れる音がBGMみたいに聞こえる。何も考えず、ただぼーっとしてるといつの間にか気持ちがすっきりする。悩みが小さく見えてきて、「まあ、なんとかなるか」って思えるんだ。


 父の死後、最初は神社に来るのが辛かったけど、今はここが俺のオアシスだ。


 最近は、会社に行く前の朝早く神社に来るのが日課になった。朝5時半くらいに起きて神社へ行く。

 まだ暗い空が少しずつ明るくなって、朝霧が境内を覆ってる。鳥居をくぐると、朝露で濡れた石の階段がキラキラ光って、


 「おはよー」


 って言われてるみたいで、誰もいないのに、俺も


 「おはよう」


 って言ってる。

 社殿の前で軽く手を合わせて、境内を一周する。朝の神社は、昼とは全然違う。静かで、空気が美味しい。霧が晴れて朝日が差し込む瞬間、木々の葉が金色に輝いて、俺の心も元気が出る。『今日もがんばろう』って、思える。この朝のルーティンがあるから、1日を前向きにスタートできる。

 父も毎朝ここで掃除してたんだろうから、この良さを独り占めしてたはずだ。今は父の分まで、この空気を味わってる。


 夜の神社も実は好きだ。

 みんな「夜の神社は怖い」って言うけど、全然怖くない。会社から遅く帰って、用事がなくても何故か寄っちゃう。境内は暗いけど、社殿の電気をつけるとうっすら境内を照らして、木々が影を作る。それがまた神秘的なんだよな。

 社殿の階段に寝転がって、空を見上げると、昼間とは違う光景が目の前にある。木々の枝の間から夜空が見えて、星がチラチラ輝く。田舎だから星が良く見える、満天の星空だ。流れ星が見えることもあって、ついつい願い事しちゃうよね。

 風が涼しくて、虫の声が響いて、俺の心の雑音が消えていく。なんか宇宙と繋がってる感じがする。父の死後は、夜にここに来て泣いたこともあったけど、今は癒しの時間だ。


 お参りするだけじゃないんだよな。神社って祈る場所でもあるけど、ただ来るだけでも良い場所なんだ。


 俺は、この神社の魅力をみんなにもっと知ってほしいと思う。お参りだけじゃなくて、こんな楽しみ方もいいんじゃないかな。木々の間を散歩したり、階段に座ってぼーっとしたり、夜空を見上げたり。この特別な空気は、きっと誰の心も癒すはずだ。この良さをもっとみんなに知ってもらうことが、俺の使命かもな。って最近思う。


まぁとにかく、明日も朝早くここに来よう。



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