「これが――わたくしの、優雅なる死のマナーですわ。」
気付けば最終話です。
そして気づけば語りがお嬢様口調じゃなくなってきてました。
戦場には静寂と漆黒の魔力が支配していた。
致命傷を負ったセシリア・フォン・アルバーンは膝をつき、荒れ果てた大地を見つめる。
目の前には、依然として圧倒的な力を振るう魔王ルシファル。
だが、彼女の胸には一筋の光があった。
それは、クラウスへの思いでございます。
「クラウス……あなたに……全てを託しますの……」
手の中で杖の紅が微かに揺れる。
彼の優しさ、誠実さ、そして共に過ごした時間――そのすべてを想い、微笑む。
「あなたが……そばにいてくださったから、私はここまで来られましたわ……」
思いを胸に、セシリアは深く息を吸う。
全てを終わらせるため、そして、世界を守るため――
禁断の魔法、**「消白」**を発動する決意を固める。
杖を天高く掲げると、紅の光が戦場全体に渦を巻く。
魔王の闇を裂き、暴風のような光の波動が周囲を押し流す。
漆黒の翼を広げる魔王は抵抗するが、紅の渦に力を吸い取られ、次第にその姿が揺らぐ。
「これが……わたくしの全力ですの……!」
光は戦場全体を包み、魔王の絶対悪を断ち切る。
漆黒の闇が裂け、魔王ルシファルは巨大な影となって崩れ落ちる。
――そして、戦場には静寂が戻った。
しかし、禁断の魔法は、セシリア自身の存在をも代償としていた。
膝をつき、杖を握ったまま、彼女の身体は徐々に光に溶けていく。
「お嬢様……!」
どうしてでしょう…ここにいるはずのないクラウスの声が聞こえますわ
紅の光の中でセシリアは微笑むだけでございました。
「ええ、クラウス……わたくし、ずっと探しておりましたの。
“美しく死ぬ方法”を。」
「これが――わたくしの、優雅なる死のマナーですわ。」
最後の言葉を告げると、白薔薇の光とともに、彼女の姿は静かに戦場から消え去った。
荒れ果てた戦場に残ったのは、静寂と希望の光――
世界は救われ、魔王は消え去り、英雄たちの遺志は永遠に刻まれたのでございます。
こうして、白薔薇の君――セシリア・フォン・アルバーンの物語は、優雅に、そして静かに幕を閉じるのでございました。
最後まで御愛読いただきありがとうございました。
一応、番外編なども考えております。




