絶対悪を裂く紅――白薔薇の君の光ですの。
荒れ果てた大地に、再び静寂が訪れる。
空は血のような赤に染まり、地平線の彼方には、破壊された都市の廃墟が影を落としておりました。
その中心で、魔王〈ルシファル・ノクターナ〉が立つ。
その漆黒の鎧は光を吸い込み、目には冷酷な炎が宿る。
「愚かなる者ども……貴様らは、我が目的すら理解できぬか」
その声は、戦士たちの胸を締め付け、絶望を呼ぶかのようでした。
セシリア・フォン・アルバーンは、紅の光を帯びた杖を構え、仲間たちの前に立つ。
「理解など、させなくても構いませんわ。貴方の暴威は、この光で止めますの」
だが、魔王の力は圧倒的。
一振りの剣が大地を裂き、周囲の戦士たちを吹き飛ばす。
雷と闇の渦が戦場を覆い、光は跳ね返され、炎は吹き消される。
全ての攻撃が、魔王の意志の前では欠片に過ぎぬように見えるのでございます。
その時、魔王が真の力を解き放った。
闇の魔法陣が天を覆い、黒い竜巻が空から大地まで貫く。
「我はルシファル……神も人も滅ぼさん、絶対の存在!」
竜巻の中心から、巨大な魔獣の群れが出現。
その咆哮は、大地を振動させ、戦士たちの意識を揺さぶる。
フェンリル王〈グラズヴァルド〉は、氷の牙を空高く放ち、竜巻の中の魔獣を貫く。
キングオーガ王〈グラハム・レッドハンド〉は炎の拳で竜巻を焼き払い、空間を切り裂く。
しかし、魔王は一歩も揺らがず、漆黒の魔力で二人の力を吸収しようとする。
「お嬢様、お気をつけを!」
クラウスの声も届く。
だが、白薔薇の君は杖を掲げ、紅の光を渦巻かせた。
「大丈夫ですわ。希望を捨てなければ、光は決して消えませんの」
光と闇、炎と氷、雷と風――全てが戦場で交錯する中、セシリアは魔王の心を読み取ろうとする。
「貴方の力は、憎悪と絶望から生まれたのでしょう……しかし、その絶対悪に光を通せば、必ず揺らぎますわ」
その言葉に、魔王は微かに眉を寄せる。
「……揺らぐなど、ありえぬ!」
だが、戦場の荒野で、彼の闇の渦がかすかに揺れる瞬間があったのです。
セシリアはそのわずかな隙を逃さず、紅の光の矢を放つ。
光は魔王の魔力に吸い込まれるが、内部で反発し、微細な振動を生む。
その振動が魔王の意識をわずかに乱し、戦士たちはその隙に攻撃を仕掛ける。
フェンリル王は氷の牙で魔王の足元を凍結し、キングオーガ王は炎の拳でその氷を割り、衝撃波を発生させる。
光と氷、炎の連携は魔王の絶対力に抗する唯一の手段。
しかし、魔王は未だ倒れず、戦いは熾烈を極める。
――そして、魔王の目的が明かされる瞬間が訪れた。
「我が使命は、この世界を焼き尽くし、新たな秩序を築くこと!」
その言葉の背後には、神々をも凌駕する狂気が潜む。
「神も人も、善も悪も……全ては我の意志の前に平等に滅ぶのだ!」
セシリアは深く息をつき、杖を振るう。
「ならば、その秩序を守る光も、私たちが示しますわ!」
光の渦が戦場を貫き、戦士たちの希望を結集する。
絶望の中で、戦士たちは再び立ち上がり、魔王に挑むのでございます。
戦場の中心、白薔薇の紅は、魔王の絶対悪の前に鮮やかに咲き、氷も炎も闇もその光に押されるかのようでございました。




