表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/44

喜びというのは、必ずしも感じれるものではありませんわ。

夜が深まる王都。月光が屋敷の庭に静かに降り注ぐ。

 セシリア・フォン・アルバーンは黒のドレスを脱ぎ、窓辺に座りました。

 忠実なる執事クラウスは、静かに後ろに立ち、見守ります。


 ——今夜は、家族の中の裏切りを未然に防ぐことができましたわ。

 しかし、喜びはありません。

 誰かを止めるということは、必ず孤独を伴うものですの。


 書斎では、次男ルーカスが独り、書簡を握ったまま椅子に座り込んでいます。

 ——昼には温かい笑顔を見せる兄が、夜には歪んだ決意に取り憑かれていた。

 そのギャップは、家族の中に静かに緊張を生む原因となりますわ。


 わたくしは深く息をつき、月光に照らされた白薔薇を見つめます。

 ——誰にも知られぬ夜の顔、白薔薇の君としての責務。

 家族も孤児院も、街も、すべてを守るために。


 クラウスがそっと紅茶を差し出します。

 「お嬢様、今夜も無事に任務を終えられました。

  どうか、お体を休めてくださいませ。」

 「ありがとう、クラウス。えぇ……でも、休めるのはほんのひと時ですわね。」

 わたくしの唇に、微かな微笑みが浮かびます。


 窓の外では、銀色の月が揺れ、庭の白薔薇も静かに風に揺れています。

 ——昼の家族の温もり、夜の決意、そして孤独。

 すべてを胸に抱き、わたくしは静かに決意を新たにするのですわ。


 ——白薔薇の君は、誰にも知られぬまま、夜の影として、守るべきすべてを守り続ける。

 それが、私の選んだ道でございますの。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ