家族の優しさを胸に、夜の街でわたくしは歩み続けますの。
午後の陽光が、屋敷の書斎から庭へ柔らかく差し込む。
セシリア・フォン・アルバーンは、アメリア姉様に誘われ、久しぶりに庭で茶を楽しむことになりました。
「セシリア、少し肩の力を抜いてお話ししましょう?」
姉は微笑みながら、優雅にティーカップを手に取る。
「はい、姉様。お付き合いいたしますわ。」
わたくしは紅茶を口に含み、香りと共に心を落ち着けます。
庭では、花壇の白薔薇が月光を待つかのように静かに揺れ、風がささやく。
昼の顔での会話の中、アメリアはふと真剣な目をセシリアに向けました。
「最近、家族会議での兄弟たちの様子、気にならない?」
「えぇ……少し、ルーカスが感情的になっているようですわね。」
「そう……でも、あなたがいるから大丈夫よ、セシリア。」
姉の言葉に、わたくしは小さく微笑みます。
昼の時間は、柔らかくも確かな家族の温かさに満ちておりますわ。
けれど、心の奥底では夜の白薔薇の君としての覚悟が静かに芽吹いております。
夜、庭の白薔薇の影が揺れる頃、セシリアは屋敷を抜け出しました。
街の闇が静かに広がり、月光が石畳を銀色に染めます。
「夜は、別の顔の時間ですの……」
心の中で囁き、白薔薇の君として孤児院や王都の裏通りを見守ります。
昼に見た家族の優しさと、夜の冷たく美しい決意が、胸の中で揺れ動く。
——家族には知られぬまま、わたくしは守るべきものを守り抜く。
そして、いつか訪れるかもしれぬ、家族の亀裂や葛藤の予感も、静かに見つめておかねばなりませんわ。
月光に照らされた白薔薇が、夜の静寂に淡く影を落とす。
昼の温かさと夜の冷たさが交錯するこの世界で、セシリア・フォン・アルバーンは今日もまた、優雅に、そして確実に歩み続けるのですわ。




