第六話
二週間後
「ステータスオープン」
遊馬 凛 LV5
ベーススキル【シンデレラ(U)】
ツリースキル【魔力操作・C】
初めて解放したスキルを眺め、思わず口元が緩む。
LV5で一スキルしかないって聞いたら、普通の人は冒険者をやめろっていうだろう。
だが俺はやめない。
あの日、俺はチュートリアルであるCランクダンジョン一階をクリアした。
スキルがなくてめちゃくちゃ大変だったけど、無事にケガもなかった。
そしてチュートリアルが終わったことにより、俺はスキルツリーを見ることができるようになった。
————全てのスキルツリーを。
[0時~12時までの間、全てのスキルツリーを閲覧可能・習得可能になる。また、12時~0時までの間、全てのツリースキルランクを二段階上昇する状態に変身をする]
チュートリアル後に開いたスキルの説明には、こんな文が追加されていた。
つまりは男の間はすべてのスキルを習得することができて、女になると習得したスキルがめちゃくちゃ強くなるってことだ。
このことが分かってから、俺は午前中ダンジョンに潜ってレベルを上げた。
ただ、普通の人はレベルが三上がるごとにスキルポイントがもらえることに対し、俺は五レベルも必要らしかった。
俺は強くなる。
もっと高いランクのダンジョンを攻略して、お金を稼いで紬さんに恩返しをするためだ。
そのためにも、もっとダンジョンに潜りたいところだがもう十一時だ。
D級ダンジョンの4階層を出て、受付に向かう。
いつもと同じ、一番右の窓口。
そこは紬さんの担当窓口だ。
「凛君おつかれー」
「紬さんもお疲れ様です」
あの日以降、一人でダンジョンに潜る時は紬さんの担当窓口を使っている。
「聞いてください!ついに魔力操作を習得しました!」
「おー!よかったじゃん!スキルポイントも無事ゲットできたんだね」
「なんか俺だけレベル5でもらえました」
「へぇ、レベル5なんだ。ユニークスキルだからかな」
なんにしろ、スキルツリーを解放できることが分かったのでひとまずは安心だ。
「今日の夕飯は何食べたいですか?」
「んー、ハンバーグとか?」
「いいですね、じゃあ今日はハンバーグにしましょう」
前はあんな奴に料理を毎日作っていたが、今は紬さんに料理を出している。
嫌いだった料理も今では趣味になりつつある。
話に夢中になってると、いつのまにか三十分を過ぎていた。
外で返信するのはまずいので紬さんとも別れてギルドをでた。
めちゃくちゃ幸せだ。
あのときは明日が来るなと思っていたのに、今ではこの生活を終わらせたくないと思っている。
終わらせないために、俺は強くなる。
お金を稼いで、周りからの脅威から守れるように。
———俺のシンデレラストーリーはまだ始まったばかりだ。
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