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第二話

side 紬


私は三浦みうら つむぎ

二十歳、公務員だ。


今日は平日の朝なのになんで散歩なんかしてるのかって?

最近A級ダンジョンブレイクがあったから九連勤してきたんだよ。

本当に勘弁してほしい。


ぎゅるるるる

盛大にお腹が鳴った。

何か食べよう。

そう思い、顔を上げた時のことだった。


ばたっ

突然、道路の反対を歩いていた少年が倒れた。

あの倒れ方は転んだとかじゃない、助けないと。

瞬時にそう判断し、道路を急いで渡る。


「大丈夫!?」


大声で耳元に呼びかけるが返事はない。


「診察」


久しぶりにその言葉を口に出す。

目の前に現れた半透明なウィンドウには少年の状態が書かれていた。


「栄養失調に睡眠不足...」


今すぐに、というわけではなさそうなので一回呼吸を整えておちつく。

とりあえず近くの公園にあるベンチに運び、横に寝かせた。


「診察」


もう一度その言葉を唱える。

そしてウィンドウの【栄養失調】という部分を指でタッチした。

すると隣に少し小さいウィンドウが出てきた。

そこには【中度の栄養失調、ビタミン、エネルギー不足】と書かれている。

中度なら少ししたら目を覚ますだろう。

少年が寝てる隣に座り、様子を見ながらメッセージを返して待つ。

10分くらいたった時、少年の手が少し動いたのを感じた。


「ん、おきた?」


頭を起こし、周りをきょろきょろと見渡す少年。

私のことに気づくと、体をびくっと跳ねさせた後私に恐る恐る声をかけた。


「.....こ..こんにちは」


少年の声はカスカスで消え入りそうだった。


「体調はどう?」

「...体..調は........大丈夫です」

「嘘はダメ。元気でないでしょ」

「......はい」

「とりあえず水飲んで」


そういって自分のバックにあった小さい水筒を渡した。


「あ...ありがとうございます」

「気にしないで。私は紬、君の名前は?」

「俺は遊馬ゆうま りんです。」

「凛君だね。凛君は栄養ドリンクとか栄養ゼリーって苦手?」

「多...分大丈夫です」


向こうにコンビニがあるから、そこで買ってくれば少しはましになるだろう。


「じゃあちょっとまってて、そこのコンビニで買ってくるから」


そういって私は早歩きでコンビニへ向かった。





「おまたせ。これ飲んで」


そういって買ってきたものを渡す。

目は髪で隠れて見えないが、最初の怯えた感じはなくなった気がする。


「どう?体調は?」

「.....少し元気になった気がします」

「よかった。今って少し歩ける?」

「歩....けると思います」

「じゃあついてきて」


そういってベンチから立つ。


「いける?」


うまく立ち上がれるように、と手を差し出した。

だが凛君は手を取ろうとしなかった。


「大丈夫?立てない?」

「い、いや...立てます」


心配したが、意外とすんなりベンチを立った。


「私のこと嫌い?」

「そ、そんなことないです!助けてくれて感謝してます」

「じゃあなんで手を避けたの?」

「そ...れは.....俺、汚いから」


確かに、髪はぼさぼさで服も綺麗とは言えない。


「そんなの気にしないよ」

「でも、俺が嫌なんです。紬さんのことは嫌いじゃないですけど汚い手で触るのは...」


そう言われたら断れない。


「...じゃあ分かった。今は触らないね」

「ありがとうございます」

「じゃあ行こう」


倒れそうになっても支えられるように隣で気にしながらゆっくりと歩きだす。

こんな優しい子がなんでこんなにボロボロなんだろう。

今すぐ事情を聴きたかったが我慢する。


とりあえず家に着くまでは。


ここまで読んでいただきありがとうございます!

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