第9話 忍法・こそっとかご入れの術
今日僕と澪さんは近くのスーパーで買い物中。
澪さんは最近僕の持っていた柳川俊彦巨匠の『忍法水影伝』を読んでから忍者ブームに火が付いた。
その影響は小説、漫画、アニメなど幅広く没頭していた。
「直人くん!忍者めし!買ってくれ!!」
「今日はラーメンが食べたい気分だ。」
「忍法・こそっとかご入れの術!」
「…忍者ハマりまくってるな。」
忍者に対する発想がまるで子供だ。
でも、忍者にここまでハマったきっかけが自分の父の小説って…
お父さんに話すと大喜びどころか涙流しそうだな。
そのとき、黒っぽい服の男がスッと通り抜ける。
BGMが聞こえたかのような俊敏さだった。
「直人くん…忍者は今も実在しているんだな。」
澪さんは感動の再会のように感激しているが…
「いや、あれはおそらく万引きGメンだよ。」
ごめんね、サンタさんを信じる子どもにいないよというくらいの罪悪感を感じた。
しかし、小説家モードの澪さんの表情だ。
妄想をものすごい勢いでアウトプットしているのか早口でぶつぶつ言っている。
「いやいや、あの足さばきは“伊賀流”だ!もしやこのスーパーに何か悪の組織が動いていて、集められた末裔が陰謀阻止のために尾行から始まり…」
そして、澪さんは閃いたように
「直人くん!私たちも尾行しよう!」
言うと思った。でも、確かに万引きGメンの動きは気になる。
邪魔にならないようになら良いかな。
後ろから見ていたけど、あの男性は本当にプロかもしれない。
油断したら見失うほど周りに馴染んでいて動きが自然だ。
曲がり角のところをついていったはずだが、いつの間にか見失ってしまった。
「変わり身の術…ウォーリーを探せより難しい。」
「いや、さすがにスーパーで変わり身の術はしないでしょ!」
辺りを見回していると、突然背後から声がした。
「尾行は甘いな」
咄嗟に澪さんをかばい、背後に身を隠させた。
「ほう、護りの型はなかなか…」と男性は感心する。
「直人くん!今の…王子様っぽいぞ!」
澪さんは目をキラキラさせていた。
「突然失礼いたしました。私、こういうものです。」
男性は自分の名刺を渡してくれた。
名刺には「防犯アドバイザー/伊賀流忍術二十七代目」と書かれている。
名前は書いていない。スパイみたいだな。
「伊賀流忍者…実在していたんだ!」
澪さんはとても嬉しそうだ。
「まさか、本当に悪の組織がスーパーに」
澪さんが小説家モードでたくさんインタビューをしようとする。
「ははは、あなたで2人目です。忍者と聞いてインタビューする人は。」
そんな特異な人がもう一人いるのか…まさかな。
「お仕事の邪魔をして申し訳ございません。いつもスーパーを守ってくれてありがとうございます。」
「いえいえ、自分の能力を活かして町の治安を守れるなんて天職です。」
それでは…ドロン!と男性はサービスをして消え去っていった。
まさか、スーパーで忍者に会うとは思わなかった。
澪さんは名刺を見つめながら
「この名刺、実家でも見た事ある気がする。」
「え、それってまさか…お父さんが会ったことあるという事?」
という事は、インタビューしたもう一人ってお義父さん?
世間が狭すぎる。
澪がふっと笑って、ポツリとつぶやく。
「そうなるとお父さんの『忍法水影伝』のモデルはあの男性だったのかも…」
「さすが柳川俊彦先生!スーパーからネタを探し出すなんて。」
また忍法水影伝、読み直してみよう!と2人で笑い合った。
最近私が見た忍者はONEPIECEの雷蔵です。
RPGゲームで大体選ぶ役職はアサシンです