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第5話 蜘蛛のメロスと、はじめての連絡先

大学生時代の澪と直人の出会いです。

お友達が初めて出てきます!

 僕と澪さんが初めて出会ったときはよくあるサークルでの親睦会だ。

 新たに純文学研究サークル『ことのは』ができた。

 僕は読書が好きだが、経済学部の友達である一馬はあまり読書をしているのを見たことがない。

「直人!文学系のサークルだから澪さんいるよな!一緒に行こうぜ!」

「一馬って本読んでるの見たことないけど、本読む人と共通の趣味ってあるのか?」

「本屋さんで漫画買ったときに店員が彼女で一目ぼれしたんだよ!書店女子ってなんであんなに心くすぐられるんだろうな…。」

(り、理由が浅はかだ…。本読んでるの見たことないからボロが出なきゃいいけど…。)


 一方当時の澪はーー

「皐月ちゃん!人間観察の大収穫になりそうだから親睦会に行ってみようと思う。一緒に来てくれないか?」

 彼女は皐月ちゃん。澪の高校からの幼馴染であり親友だ。金髪ストレートロングでカッコいいサバサバ女子だ!

「澪、人見知りなのに思い切ったなあ。分かった!付いてってやるよ。」

「まず何て話しかければ…”ご趣味は読書ですか?”かな?」

「お見合いかよ。」


 20人ほどの人数が参加し、僕と一馬は澪と皐月の向かいに座った。

「はじめまして!俺経済学部の一馬です!こちらは同じ学部で友達の直人。よろしくね!」

「直人です。よろしく。」

「澪です。よろしく!」

「皐月です。澪の付き添いで来ました。(一馬って男は澪狙いで来たと見た。守ってやらねば!)」

「そういえば澪ちゃんって書店で働いてるよね。俺見たことあって小説の話聞きたいなと思って。」

「いいぞ!どんなの読むんだ?」

「最近読書し始めたんだけど、好きなのは芥川龍之介の『蜘蛛のメロス』てやつかな?」

「いや、付け焼刃にもほどがあるよ!蜘蛛の糸と走れメロス混ざってるよ!」

 一馬、前半のコミュ力はさすがなのに、珍解答プレーに転落したよ。

「なんだと!?芥川先生はそんな作品も出されていたのか!?読んでみたい!」

「いや、さすがに私でも分かるぞ!ていうか、澪と付き合いたいならもっと勉強してこい!」

「ご、ごめんなさい!澪さんはどんなの読むの?」

「そうだなあ、どの文学作品ももれなく愛しているんだけど強いて言うなら三島由紀夫先生の『潮騒』とか村上春樹先生の『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』かなあ。

(どうしよう、俺両方まったく分からない…。)

「え、村上春樹さんは俺もその作品が一番好き!さすがだな!他はどんな作者が好き?」

 小説談議に花を咲かせる澪さんと僕。小説で話が合う人も貴重だから嬉しい。

「澪、新しい友達できてよかったな。私が読む小説最近澪のだしな。」

「皐月ちゃんのおかげで今日来れたんだ。ありがとうな。」

「今度は皐月ちゃんの好きそうなツーリングのサークルとかついていこうか?」

「いやいや、澪は私の後ろに乗るもの大変そうだし、危険な男子の多そうなところに連れていけないよ。」

 うーん、確かに澪さんも危ないけどそれは皐月さんも危なそうでは…

「え!?皐月ちゃんツーリングするの!?俺も休みの時かっ飛ばしたりするよ!これ!俺の愛車!」

 何と一馬はこんなアクティブな趣味を持ってたのか!?

「こ、これホンダの限定モデルじゃないか!?よく手に入れられたな!私のはこれだ!」

皐月はスマホを見せる!

「赤やっぱめっちゃかっけー!そして皐月ちゃん似合うわ!それなら俺と一緒に行こうよ!ツーリングの話できるひと嬉しいし、頼りないけど男連れでいるだけましだと思うし。」

「ありがとう。お前、いいやつだな。」

 一馬はキュンとした。(皐月ちゃんってこんな笑顔するんだ…かわいいかも。)


 ちょっとお酒も入ってきて僕の話題になった。

「直人って優しいししっかりしてるのに、平凡だからかな?女っ気なくてさあ。だから女子と関わろうって連れてきたんだよね。」

 平凡…自覚はしているんだけど改めて人から言われるとなんかグサッと来るものはある。

 確かに目立つ方ではないから大体女子は上位男子といい感じになって、余った僕ってなっていた。

「なんで?すごいじゃないか!平凡とか普通になれるのって、万能的にできるってことだろう。」

「それは私にとってはうらやましい才能だ!私は変わってるからか、皐月ちゃんしか友達いないし…」

 澪さん、そんな風に僕の事思ってくれたのか…どうしよう。素直にとっても嬉しい!


「それにこれだけ小説について話せるのはとても嬉しいし、もしよかったら…」

「「連絡先!交換してください!」」

 きれいにハモった!

 まさかの出来事にしっかり目を合わせられない。澪さんを盗み見てみると、澪さんもちょっともじもじしていた。

「「これからよろしくお願いします!」」


「よかったじゃん、澪!」

「しかし直人くん。澪のこと万が一泣かせたら私シメに行くからな。」

 皐月さん、目が座っててマジだ。

「あ、皐月ちゃんは空手の黒帯なんだ。かっこいいよな!」

 まあ強力なセコムさんをお持ちなことで。

一馬くんと皐月さんも良いキャラしてるので私は好きです。

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