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第10話 仁義なき料理とゲーム対決

久しぶりにお茶に誘われ、一馬とカフェに来た。

夏の暑さが和らぎ、木々が色づき始めた心地よい秋の昼下がりだ。


「秋のツーリング最高だろうなー。キャンプもしたいけど、道具ってかさばるよな。皐月が車で運んでくれるって言ってくれたけど…違うんだ!俺は皐月とツーリングしたいんだ!」

まあ、そんなさりげない気遣いを見せる皐月は女神だ。ついのろけになっている一馬。

なんだかんだで一馬も幸せそうでよかった。


「ねえ、二人が良ければだけど…僕と澪さんの車にキャンプ道具を積んで四人で行かない? 二人はバイクで来ればいいし。」

一馬は目を潤ませて言った。

「直人ー、心の友よー!! じゃあさ、前日はうちがごちそうふるまうよ! で、ゲーム大会もやろう!」


次の週、澪さんも皐月さんに会えるのが嬉しいようで目を輝かせる。

「皐月ちゃんは料理も得意なんだよね。うちで振る舞ってくれたの楽しかったな」

「皐月さんは豪快そうだし、一馬は昔のバイト先がイタリアンだから料理好きになったんだね」

「二人とも料理上手で尊敬だな。私も今度は爆発させないように勉強しなきゃ…」

まずはどうしたら爆発してしまうかを調べるところからだな…。


家に到着すると二人が出迎えてくれた。

「ちょうど仕上げのところだから、すぐできるよ。くつろいでて」

僕たちはご招待のお礼に飲み物を渡す。キッチンは美味しそうな匂いで満たされていた。

和風と洋風、それぞれの主張がはっきりしている!


皐月さんが持ってきた大皿の煮物がドンと置かれた瞬間、一馬も負けじとローストビーフを高々と掲げて運んでくる。

「おいおい皐月、渋い和風で固めるのは卑怯だろ。俺だって肉の暴力で勝負するぞ!」

「勝負じゃねえ。食うやつが喜べばいいだけだ」

皐月さんはぶっきらぼうに答え、今度は湯気の立つ味噌汁を並べる。


テーブルは瞬く間にカオス状態。

煮物の横にラザニア、だし巻き卵の後ろにシーザーサラダ、さらにティラミスまで鎮座し、まるでホテルのビュッフェだ。


「すごい……これは“食の異種格闘技戦”ですね!」

澪さんはお箸を握りしめ、目を輝かせる。

「お好きなものをお好きなだけ、ですね。匂いからもう絶対美味しい!」


一馬は皐月さんの煮物を箸でつまみ、口に放り込む。

「……うわ、やっぱうまいな。悔しいけど酒が欲しくなる味だわ」

「そっちの肉も悪くねえ」

皐月さんもローストビーフを噛みしめ、短く感想を述べる。


「じゃ、いただきます! 腹ごしらえしたら、次は本番のゲーム大会ですからね!」

澪さんの声に、テーブルの空気がさらに盛り上がった。


「腹ごなしにゲームしよ! まずはカート系かな!」

一馬はワイワイやるのが好きで、ウキウキしている。

ゲームのセッティングをお願いしている間、僕と澪さんは率先して食器洗いを申し出た。


「そういえば澪さん、ゲームやったことある?」

「複数でやるのは初めてかも。小説の参考でRPGを少し」

「楽しかったらうちでも買おうか!」

「いいな、直人くんとの楽しみがまた一つ増えたな」

今日も安定して澪さんが愛おしい。思わずお皿を落としそうになる。


「まず1戦目はマリオカート! 甲羅投げ、バナナ、妨害は何でもありだぜ!」

しかしカートレースのぶっちぎり1位は皐月さん。

「素人泣かせのコースだけど、爆走姫君・皐月様には問題なし!」

「出た! 皐月ちゃんの昔の名前!!かっこいい!」

自分で黒歴史を言ってしまったが、意外と大丈夫だった。


一馬は必殺みどり甲羅を放つも自爆。「あれー!」

澪は虹色のロードで足を止める。

「ここ、落ちたら黄泉行きかもしれないから…」

「大丈夫、ゲームだから!」と笑いながら誘導するが、二人揃ってバナナに滑って落下。

「いやいや、仲良しかよ!」一馬と皐月さん夫婦のツッコミの声が揃った。


次は格闘ゲーム。

「今日こそ紅蓮皐月に勝つぞ!」

「ふふ、喧嘩で私に勝とうなんて百年早い!」

皐月さんと一馬は熾烈な戦いを展開し、やはり皐月さんが圧勝。

でも一馬は不思議と悔しそうじゃない。

「見た?見た?このキャラKOすると脱衣KOなんだよ!いやーありがたやありがたや。」

「…一馬、後で話しようか?」

リアルラウンドが開催されてしまった。


澪と僕の番。澪が中々攻撃を出さない。

「…この子、孤児でかわいそうで殴れない。説明書見たら生まれた国の悪政のせいで幼いころから奴隷にされて、売られてしまう妹を助けるためにこの大会に出てるなんて。妹さんを救ってほしい。」

「いやいや、ゲームだから!」

僕が指導して戦うがパンチボタンと間違えて挑発ボタンが連続で出て操作ミスで自爆、僕が勝利。

盛り上がったところで、明日は早いため各自就寝。


布団を整えながら一馬が言った。

「直人の上司・斎藤さんと話したけど、テレワーク導入を考えてるみたいだ。モデルでお願いするのもありかもって」

「ありがとう、一馬! 聞いてみるよ」

「いやいや、直人の普段の頑張りの結果だよ。そこまで信頼を得るのはすごいことだ」

「一馬…友達でよかった。明日のキャンプも楽しもうな!」

そう思いながらぐっすり眠れた。


一方、澪と皐月。

「いやーゲーム楽しかった! 皐月ちゃん、ありがとう。またやろうね」

「こちらこそ、澪。高校生の頃、初めて家族で食卓を囲んだ夜を思い出して楽しかった」

「深夜徘徊してた私を家に誘ってくれたの、皐月ちゃんだよね」

「そう、あの時の温かい家庭の味が良い思い出になった。だから和食も勉強した」

「じゃあ、私が徘徊してよかったってことだね!」

「今でも危ないから、一人で歩くなよ!直人さんも絶対連れて」

「うん、明日が楽しみだな、皐月ちゃん…」

澪は安心して眠りにつき、皐月は愛を噛み締めながら微笑んだ。




switchの格闘ゲームで調べたらダウンロードで餓狼伝説も見えてちょっとわくわくしました。

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