『クローズド・ノート』 雫井脩介 著
(ネタバレ有り)
作中で謎のノートを見つけることしか事前情報を知らずに読み始めた一冊。どうやら恋愛小説だったらしい。さらに男主人公かと思ってたけど、女主人公だった。
女主人公の恋愛小説はあまり俺の好みじゃないけど、せっかく借りてきたんだし最後まで読むかと思い、少しずつ読んでいった。
隆が誰なのか、伊吹先生がどうなったのかとかは大体予想がついていたし、その予想通りに話が終わったが、それはマイナス要素にはならなかった。
時々、気を衒ってとんでもない方向に物語を向かわせちゃう小説がある中で、この小説は予想通りに話が進んでいき、予想通りのクライマックスを迎えるから意外性はないものの、ストレスなく読むことができた。
万年筆売り場でウンチクを延々と続けるところは、小説読むのが好きじゃない人だったら、ここで挫折するかもしれない。何せノートの内容まだ全然出てこないし、ちょっと退屈だった。
最後に後書きで書かれていたこの小説の秘密には驚いた。まさか元ネタがあったとは。実際に教師をしていた作者の姉が交通事故で亡くなり、死後に残されたノートに書いてあった生徒とのふれあいを元にこの小説を構想したらしい。
それを聞いた後でこの小説を読んでいたらもっと気持ちに変化があったかもしれない。