『マジック・ツリーハウスシリーズ30巻 ロンドンのゴースト』 メアリー・ポープ・オズボーン 著
(ネタバレ有り)
ついに30巻。
今回の冒険では、ジャックとアニーはヴィクトリア朝時代のロンドンへ行き、作家のチャールズ・ディケンズを助けに行く。
ディケンズが何をした人なのか。名前はどこかで聞いたことがあるのだが、何の作品を残した人なのかまでは分からなかった。「ゴースト」と題名にあるからもしかしたらホラーものを書いた人なのかなと思ったけど、全然違った。すごい人格者の作家さんだった。
ヴィクトリア朝の時代と聞いてもしかしたら『宇宙戦争』と同じ時代ではないかと調べたが、ヴィクトリア朝時代の期間は長くてこの本では1843 年に行くが、『宇宙戦争』は1898年刊行されているから、50年近く時期は離れているようだ。
ディケンズの家を知っている一般通過おばさんは何者だよとツッコミを入れたくなったが、一昔前は日本でも有名人の実家なんかを雑誌が載せていた時代があったからこの時代だと割とそこは緩かったのかもしれない。
後半の群衆に泥棒と間違われて追われるシーンは唐突に思えた。
普通泥棒が出たからといってこんなに大勢の人が追いかけてくるものなのかと。まあ、児童文学だしちょっとのご都合主義は目を瞑るとして、ディケンズがいなかったら牢屋送りされていたな。それまでなんかコミカルな頼りない感じの人の印象があったから、突然の人格者ムーブに驚いた。
追われるシーンはどうやらディケンズの小説の一つからとっているらしい。
ヴィクトリア朝時代は産業革命の真っ只中。
たくさんの人がロンドンに集まったのはいいけれど、そこで貧富の差が拡大して貧しい人もたくさんいた。そんな人に寄り添って小説を書いたのがディケンズ。
この本の中にも貧困層の苦しみや差別が書かれていて、可哀想だった。借金が払えなかったら牢屋に入れられるのはこの本で初めて知った。学校ができて幼い子供がお金のために働かなくて済むようになった現在でも、全ては解決していない。それでも世界はより良い方向に進んでいると俺は信じたい。
あと、アニーの帽子がどんな構造になっているのか気になった。表紙でも分かるように髪が帽子の上にちょこんと乗っている。それが妙に面白かった。