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対霧独立防衛空戦隊 ARMA  ~宇宙とかくソラの舞~  作者: たこ爺
1-1 まずは頭の中に

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8/30

第6話 Mist

2026/2/15 第06話「Mist」にて物語の根幹にかかわる重要な設定を追加

「さ、授業始めよか」


 昨日は空揚げに脳が溶かされた後、少し急ぎ気味で数千人が住む基地を一周した。

 会議室、講堂だけで大小数十あり正直怪しい部分もあるが、そのうち慣れるだろう。

 そして今、濃い一日が明けて到着三日目。

 息をつく時間は終わったとばかりに、今日から講習が始まる。

 1週間後には講習で叩き込まれた内容を元にした実力テストが行われる。

 落第すれば、配属取り消しだ。


 講師は、例の大尉。これまでを考えると、非常に気まずい。

 しかし当の大尉本人は気にする素振りもなく、授業を始めた。

 講義のタイトルはグリフォン関連でもARMAのことでもない。


 (Mist)に関することだった。


「みんなーしってのとおり、西暦3188年、いきなり土星州の人工衛星都市をぶっ壊して、各衛星の採掘施設も攻撃し占領した謎の機械攻撃文明、これが『(Mist)』や。これの対応策として地球連邦政府は、地球連邦防衛海軍を主戦力として反抗を開始した」


 独特のイントネーションで語る講師が一つ、息をつく。

 

「そんなかでARMAの主任務となっていったんが、敵残党をアステロイド内で殲滅し、絶対防衛圏を死守することや。なぜかは未だわからんのやけど霧の連中は撤退っちゅう言葉をしらない。そうなると海軍が戦闘中どうしても取り逃がしてしまったり、防衛網を抜けてくる小規模な部隊があったりする。そういうんを仕留めるのが今のところワイらARMAの仕事や」


 そこまで話して講師は水を取り、口に含んだ。


「さて、こっからが本題や。さっきも言ったけど、ワイらが霧の連中を取り逃すことは絶対に許されん。将来鷹になってもらう君たちにゃ効率的な狩りをしてもらう。そのために必要なんが……敵をよく知ることや」


 そういうと大尉殿はニカリと笑い、教卓の下から分厚い冊子をその上へ放り投げた。重量級の物体が、大きな音とともに机を揺らす。

 どうやら、この講義で我々が覚えなければならない内容らしい。



 霧に関する講義、第1章は用いる兵器の特徴から始まった。


 大前提として、現在判明している霧の特徴はただ一つ。



 彼らの主力は機械である。



 交戦宙域に残されてた霧の残骸を分析しても、出てくるのは金属元素ばかり。

 有機物はほとんどなく、細胞片なども発見されていない。

 しかし、通信機器らしき部品も発見されていることから、なにかとの意思疎通をしていることは明白。通信機器の先にいるのが完全機械化した体を持つ意志体なのか、それとも細胞などで構成された有機生命体なのか。地球の学者たちの間でも派閥が分かれ、今も議論が続けられている。

 

 とにかく、重要なのは彼らが機械ということであり、尋問もできなければ、対話もできない。当然ながら、対話の道は開かれていない。先の見えない、まさに霧に包まれた戦況というわけだ。


 ……我々には、彼らと戦う道しかない。

 それも、効率的に。さもなければ、力の限りの見えない文明に食いつぶされてしまう。よって、我々は多くはないかもしれないが、彼らの戦い方に関してわかっているところはすべて頭の中に叩き込まなければならない。


 敵を知り己を知れば百戦殆からず


 裏を返せば、敵を、霧のやつらのことを知らなければ、負ける。


 


 さて


 霧の全艦艇に共通する点として、恒星間航行をする文明の割には薄い物理装甲しか保有していない。さらに地球側艦艇に標準装備されているシールド装甲がないため、地球の現有火力を用いれば十分に貫徹、撃破できる。

 砲火力もそう高いわけではなく、戦艦クラスの砲撃でも当たりどころにもよるが一撃程度なら駆逐艦でも耐えられる。

 まあ、グリフォンは流石に無理だが……対空砲火くらいなら数発程度は無傷だ。


 ここまでなら、霧はさほど脅威ではない。

 そんな霧を本気の地球が未だ押し返せていない所以、それは……数の暴力である。

 恒星間文明というは伊達ではないらしく、毎度毎度こちらの総兵力の数倍の数で侵攻をかけてきており、スパンも月に1回以上と短い。

 敵司令部の頭がおつむなのかはわからないが戦力を逐次投入してくれているから戦線が保っているようなもの。もし霧が半年分以上の兵力を以て一気に攻めてくれば地球は落ちる。そんな戦争を15年も続けているのだから霧の生産力は計り知れない。


 そんな霧が現在生産し、前線で戦闘していることが確認されている兵器は主に9つ。

 

 NT級戦艦

 NV級航空母艦

 NB級重巡洋艦

 NC級軽巡洋艦

 ND級防空駆逐艦

 NM級艦隊駆逐艦

 NP級フリゲート

 AF型艦上戦闘機

 AG型艦上攻撃機


 NTからNCクラスは確実に聯合艦隊が仕留めているらしく、ARMAが交戦する機会は殆どない。

 主に相手取るのはAF,AG,NPの3クラス。

 まず前者2つ。NV級から発艦した艦上機たちは、前線に航空機を展開していない聯合艦隊にとって最も取り逃がしやすい機種。

 それがわかっているにもかかわらず、聯合艦隊が空母を保有しないのにはそれなりの理由がある。数で圧倒してくる霧に対して無防備になりやすい航空母艦が展開するのは自殺行為に近いのだ。

 航空母艦というものがこの世に誕生してこの方、基本的に彼らは他の艦艇に守られねばならない存在なのだ。装甲も薄ければ砲火力もない。

 

 ちなみにの艦載機の違いとしてAF型は非常に高機動であり戦闘機としては火力も十分、先代のAA07ヘラクレスをもってしても、1vs1のドックファイトでは苦戦することが多かった。

 しかし、海軍の前線に航空戦力がいないからか制空戦闘専門のAF型はAG型に比べて数は少ないというところが、我々にとっての唯一の救いだ。

 

 そして、ARMAが最も交戦するの敵、それがAG型。

 25m程度の比較的中型機に155mm無反動砲とも言うべき使い捨て対艦兵器を搭載しており、これは一個小隊分の門数があれば駆逐艦程度は容易に沈められる。

 AG型はそんな代物を地球や衛星に叩き込もうと最低大隊単位で突っ込んでくるからたまったものではない。

 機動力が低く多連装ミサイルで仕留められるから戦線が維持できているようなものだ。


 また、最近ARMA内で交戦回数の激増が確認されているのがNP型フリゲート。100メートル弱の船体に6門の90ミリ陽電子砲を備え、多数の対空火器と4門の重力子魚雷発射管を備える高火力な艦艇。装甲こそ薄いものの対艦ミサイルが容易に迎撃されてしまうため今も対応に苦戦しているという。今回、AA08グリフォンに固定火砲が装備されたのには、迎撃されず、一撃で対空火器を粉砕できる兵装がほしいという背景があったからだろう。


 こうして、これらの他に我々の対応することがほとんどない敵艦に対しても兵装、機動性、戦術、弱点など様々な点から説明を受けたところで1コマ目は終わった。休憩は15分、対する授業時間は140分にも及んでいた。

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