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協力者

「それで宛とは?」

「それは行く時のお楽しみです」


(守護隊の人かな)

ゼラも知っていて夢も知っている人物となると数は少ない

それで実力があるのは英雄組か守護隊のメンバー

(副隊長辺りは本当に頼もしい)


「それでいつ行く予定? 合わせるけど」

「ゼラさんの予定が空いてる時で大丈夫です」

「なら4日後、3日後にショーがあるからその次の日」

「分かりました」

「異能も多分4日あれば治ると思う」

「魔物エリアとなれば準備万端にする必要がありますからね」

「そう、偵察とはいえ強い魔物と接敵しないとは限らない。その時に戦えないと不味い」


万全で3級の中ボスにギリギリ勝てる程度

夢が戦った3級のダンジョンの主に比べると弱い

今の状態では相手の異能によっては戦力外になりかねない


「いざとなれば氷の壁を展開して逃げます。結構頑丈なので」

「それは頼もしい」

「まぁその必要はなさそうですが……あっそうだまた茶会しません?」

「暇だから良いよ。前回呼び出されたからね」

「他にも美味しいお菓子あるんですよね」

「それは楽しみ」


特に緊急で呼び出される事もなく雑談を交わし茶会を楽しむ

2時間後、別れてゼラは家に帰る

夢は城壁外に出る

協力者に会う為に


「宛はあると言ったけどダンジョンの中は協定で入れないし普段何処にいるかは知らない。支配下に置いた魔物居ればいいんだけど……あっそうだ」


異能を発動させる

ダンジョンの入口付近に居る魔物の前に氷を発生させる

すると魔物が1体ダンジョンの外に出てくる

夢を見ると首を動かし中に入るように促す

ダンジョンの中に入り歩く


「声は聞こえてる?」


魔物は反応しない

魔物を操っている主には声は聞こえていない

(声は聞こえないか。視界だけ便利だけど会話が出来ないのは不便だなぁ。このダンジョン遠いし)

魔物達は襲ってこない


「寝てる……魔物って寝るんだ」


戦う事もなく暇な魔物達の中には寝転がっている者も居る

そのまま最下層に向かう

最下層の扉の前に行くと魔物は戻っていく

扉を開く


「君が何用かな?」


ルナルールスが大きな玉座に座って待っていた

空気が変わる

協力関係とは言えそれは発言次第では一瞬で瓦解する

緊張が走る


「あの紳士風の魔物、アルセスが何処にいるか分かる?」

「タメ口なんだ、まぁ良いけど……アルセスは今外にいるよ〜、何用?」

「魔物エリアの偵察の協力を」

「魔物エリア?」

「守護隊が見回ってる範囲より外の魔物の数が多いエリア」

「あぁうんあの辺ね〜」


付近を視界共有で見ているルナルールスは分かっている


「すぐ帰ってくる?」

「さぁ?」


アルセスは現在このダンジョンを拠点としているがよく外に出ている

何をしているのかなどはルナルールスは知らない

興味も無く聞いていない


「じゃあ伝言で」

「ほーい、伝えるけど協力するとは限らないよー」

「知ってる。協力の条件は貴女だけ、ただ貴女は人前には出ないって条件があるから」

「そうだねぇ。バレなきゃ外に出ていいなら協力してあげれるけど」


(魔物エリアには殆ど人は立ち入らない。殲滅エリア内だけ姿を気を付ければ……)

アルセスには断られるリスクがある、何せアルセス側にはほぼメリットが無い

ルナルールスはバレたら不味い

だが協力を得れればほぼ確実に安全と言える


「別にこれは規則違反じゃないから……ルナルールス協力して貰える?」

「良いよー、日は浴びないとね」

「身を隠す服はこっちで用意する」

「了解〜、それでいつ?」

「4日後」

「ほーい」

「それじゃ4日後ダンジョンの1階で待ってて」


用事を終えてダンジョンを出る

ダンジョン付近は封鎖している為探索者に会う事は無い

しかし、守護隊が周囲を見回る事がある。バレないように進まないとならない

(周回ルートと通る時間を確認しとかないと)

ダンジョンに出た後、家に帰る


3日後

ゼラは舞台の準備をする


「こっち準備完了でーす」

「こっちも終わりました」

「誰か手空いてるなら来て欲しい」

「向かいます」

「そこの確認はしたか?」

「まだ終わってません」

「もうあんまり時間無いぞ。全員急げ!」

「はい!」


慌ただしくスタッフが舞台の準備をする

手品師の服装をしたゼラが裏で道具の最終チェックをする

(問題なし)


「そろそろ開始時間になります。大丈夫ですか?」

「大丈夫、行ける」

「こっちも大丈夫です」


舞台はゼラの手品だけでは無い、他にも芸人や手品師、役者などが準備をしている

始まる前の緊張が周囲に漂う

一番最初にゼラの手品が行われる

ゼラは幕の閉じた舞台に上がり幕が上がるのを待つ

そして時間になり幕が上がる

帽子や杖、仕込んだトランプで手品を次々と行う

帽子を杖で叩くと中から鳩が飛び出す

杖で地面を軽く叩くと杖の中からトランプが現れる

そしてそのトランプを持ったまま指を鳴らすとトランプが消えて花が手元に現れる

観客は拍手をする


「おぉ」

「腕は衰えていないな」

「ゼラさん凄い」


もう一度指を鳴らすと空中に剣が現れる

異能を使った芸を行う

剣が空中で飛び交いぶつかり切り合う


「おぉ」

「異能だ」

「すげぇ迫力、本物みたい」

「あれはあの剣は本物だぞ」

「かっこいい」


異能は回復し終えた

6本の剣を自在に操る、負荷はあるが6本であればそこまで重くは無い

その上このショーは短時間

(そろそろだな)

指を鳴らすと剣が消滅する

再び指を鳴らすと大量のトランプが宙に舞う

お辞儀をする

幕が下りる

そして大きな拍手が起きる

幕が下りた後、舞台裏に向かう

そしてアナウンスが流れる


『これにてゼラの手品ショーは終わりです。次は……』


「ゼラさんお疲れ様です」


スタッフの1人がゼラにタオルと水を手渡す

受け取り水を飲む


「復帰早速凄いな」

「休んでる間もしっかり練習はしてたからね」

「騎士団でも活躍して手品も仕上げてくるとか相変わらずとんでもないな」

「くっそ、緊張してきたぁ」

「舞台上がるまでに解いときなよ」

「次は俺達か。行くぞ」

「おぉ!」


ゼラはそのまま楽屋へ戻る

楽屋にあるテレビで他の人の舞台を見る

もう出番が終わっていて帰ってもいいがやる事が無い


「明日か」


明日魔物エリアへ偵察に向かう

手品で緊張しなかったのは明日の用事がある事が影響する

何があるか分からない


「勝てたが……僕の力じゃない。戦闘の準備をするか」


楽屋を出て家に帰る

家に置いてある魔道具などを見て明日の準備を行う


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