Ⅲ女神様のサンドバック
クラウディアはパーティー会場を見渡し王子と目が合いピタリと動きを止め嬉しそうに笑った。
そうだわ、王子は殺さなければいいのよね?
殺さなければ、って言うことは―
痛めつけるのはOKね。
じゃあ肉片にならない程度にしなければ...
あらそうだわ、目玉をくりぬくってのはどうかしら?
確か初代王の霊はまだ彷徨っていたわよね?
20年位前に見たわ。
あとでお土産として目玉を瓶の中に入れてあげようかしら?
名案ね、我ながら凄いと思うわ。
クラウディアは王子の目の前に来て言った。
「貴方は初代王との約束があるから殺さないであげる。あっでも勘違いしないでね―」
「では私は殺されないのだな?もう帰っていいか?」
クラウディアも流石に王子の発言にピクリとくる。
私の言葉を遮った?
しかも愛するものを失ってもこんな嬉々としているの?
この王子、人間かしら?
もしかしてニワトリかも?
あり得るわね...
ニワトリって三歩歩いたら考えていることを忘れちゃうもの。
クラウディアはもっと笑みを深めた。
「でもね、痛めつけないとは言ってないのよ?誰が帰っていいと言ったのかしら?」
「なっ―」
王子の言葉を遮りクラウディアは王子の顔面に拳で殴った。
クラウディアは静かに笑う。
「サンドバックは殴るために存在しているのよ?こんなんじゃサンドバックではないわ。もっと私を楽しませて頂戴。」