Ⅰ女神様は怒る
クラウディア・ペルチェ・ミラ・デニス・ケレア・スペルレイアとはこの世界の中心の人物、女神である。
そんな人物がなぜ一般の令嬢に扮したのかは謎だが怒っているのは明確である。
彼女が宣言した瞬間に煌びやかだったはずのパーティー会場はまるで処刑場化した。
ここにいる誰しもが処刑されると皆悟った。
一方彼女は―
はぁ人間は真に愚かね。
私が令嬢に変装したのは初代王―
いや、この元婚約破棄した王子の祖先の願いね。
昔私に唯一人間でありながら会いに来た人物だからご褒美として聞いたらまさかの子孫を守ってほしいとかなんちゃらかんちゃら言うから変装してあげたのに。
でも殺すのは可哀そうよね...
そうだ、初代王の為に免除するけどその代わり隣に居る茶髪頭は良いわよね?
別にこの茶髪は私を陰で嘲笑っていたのだから。
うふふふふ、どんな表情を見せてくれるかしら?
ではまずはこの馬鹿王子の刑は愛する者を目の前で殺される事、決定!
意義は無いですか―って私誰に聞いているのかしら?
じゃあ最初の刑の執行は茶髪頭だから...
あら?そうだわ?
刑はとにかく残酷にしなきゃ、ふふふ。
んん?今気づいたわ。
私って今令嬢のドレスじゃない。
ちゃんと女神の正装に着替えましょう。
クラウディアはパチンと指を鳴らしそれまで茶色だった地味なドレスがみるみるうちに如何にも神聖と言うような服装になった。
クラウディアは満足そうに笑って王子の横に居る男爵令嬢へ近づいていく。
その様子に慌てた王子は抗議するように口を開いた。
「女神、待て!ジゼルは殺すな!ジゼルを殺したらお前を八つ裂きにするぞ?」
その言葉にピクリと女神が反応した。
直後腹黒い笑みを浮かべて王子を見下すように見た。
「誰に命令しているの?雑魚共が、笑わせてくれる。分かったわ、お望み通り皆処刑ね。良かったわね、望みがかなって。」