episode.1 独裁者
遥か宇宙に 煌めく星よ その輝きは 僕の揺らぎか 天の技か
A long time ago.
The story of a certain galaxy……
「閣下、処刑は滞りなく行われました」
閣下と呼ばれた男は、僅かばかり目を閉じて盟友だった者達の死を悼んだ。
政敵は葬られた。
「反逆」の罪で。
ありもしないつくられた罪。
そうと知るのは最早自分自身だけ。
( これが国の為。これが人々が求めたもの俺は選ばれた。天にも、民衆にも)
男はそう信じて疑わない。
他星系からの圧力、疲弊した経済、伝染病の流行など国家的危機に際し、この男は綺羅星のように政界に登場した。
既存の政治家達の慎重な姿勢に反対し、思慮を求める穏健派を弱腰と非難した。
「この国において権限はみなさん民衆にある! あなた方は幸せになる権利かある!」
多くの人々が抱える望みや恐れに応えれば、それらがどの様なものであれ、政治的に勝利することが出来た。
男は、人びとの求める自由を約束し、分別や抑制は悪であると断じ、権力を得た。
男の語る熱情的な演説に酔った民衆たちは、彼の主張に同意して、『敵』となる者たちへの「制裁」や「報復」を発動を支持し、国は結束し強くなっていった。…… ように見えた。
「そう、これが国が為」
男の呟きは誰に向けたものだったのだろう。
この星はこれから何処へ向かっていくのだろう。
人びとが求めた「自由」はこの先、『自由』たりえるのだろうか。