表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/9

帰還


「無限の魔力は魔王様にお返ししますわ」

「その方が利口だ」

 世のためにも、人のためにも、魔族のためにも……つまり、世界平和のために直ぐに返しなさい!

「必要になればまたいつでも貸すぞよ」

「――それだけは、絶対っにおやめください! ガチで!」


 パーッと安っぽい光が女神から魔王様へと移ると、魔王様は再び魔力バリアーに包まれた。見えないけれど。

 女神の翼がシュシュっと引っ込む姿に安堵する。服の背中に穴が開いているのは内緒だ。

「あーあ、見せブラだからいいのよ。気にしないで」

 ……黙ってて。


「なにはともあれ、これで元通りですね」

 一時はどうなることかと思ったぞ。今回だけは……本当にヤバかった。最終回になるかと思った。

「心配をかけたな。デュラハンよ」

「御意」

「まあ、あんまり活躍してないけどな」

 ずっと見ていた他の四天王が口を挟む。いたのかお前達。存在感がイケメン勇者よりも少なかったぞ、とは言わない。

「……ああ」

 たしかにそうだ。私は活躍などしていない。最後に美味しいところをソーサラモナーに持っていかれた感は拭えない。でも、サイクロプトロールは何もしていない。サッキュバスも。

「ハッハッハ」

 いや、笑って誤魔化すなと言いたいぞ。

「ハッハッハ」

「……フフフ」

 釣られてみんな笑うんじゃない。なんか、笑われているみたいで恥ずかしいじゃないか。イケメン勇者も笑っている。

 魔族と人間が共に笑い合う……世界には再び平和が戻ったのだ。



「それでは女勇者よ、色々と世話になった。ありがとう」

「……ううん。またね、デュラハン」

「ああ」

 女勇者が袖で涙を拭き元気な顔をして見せる。

「たくさん女を泣かせて、罪な男ねデュラハン」

「たくさんって言うな――誤解を招くから――」

 そんなに泣かせた覚えはない。

「そうかしら?」

「グヌヌヌヌ」

 サッキュバスよ、それ以上は勘弁してくれ。私は魔王様一途なのだから――。


「では魔王城に帰るぞよ。瞬間移動(テレポーテーション)――」

「アディオス!」

「……なぜにスペイン語」

 人間の国王の城から、見慣れた魔王城玉座の間へと周りの風景が変わると、安心してどっと疲れが出た。大理石の床は座るとひんやり冷たくて気持ちいい。

 今日は久しぶりに魔王城の男子風呂にゆっくり浸かろう……。


「あー、やっぱり魔王城が一番落ち着くぞよ」

 旅行帰りの名言なのだが、あえて突っ込まない。こればっかりは魔王様とまったく同意見だ。

「ほんとねー」

 ……。

「あんたは石になっていただけなのだから、玉座の間はそんなに落ち着かないだろ」

 女神だけ人間界に置き去りにすればよかったのです。そうしたら、大好きなホストクラブに入り浸れたでしょ。

「チッチッチ、無限の魔力が無かったら、わたし文無しよ」

「文無しって……」

 つまり、無限の魔力でお金を偽造したのか……冷や汗が出る。お金の偽造は犯罪ですから――!

「済んだことだから、よいぞよ」

 さすが魔王様、寛大ですね。

「前に魔王様もやらかしましたからね、無限の魔力で偽金作り」

「偽金って言わないで~」

 皆にクスクスと笑われた。もっと笑ってやってください。魔警察に突き出してください。……二人共。


「そうそう、デュラハンがいないあいだ、男子浴場は誰も掃除していないから垢だらけだぞ」

「……それをいま、聞きたくはなかった」

 風呂の底に土や泥が溜まっていそうで……嫌だなあ。たまにあるんだけれど、今回は桁違いだろうなあ。

 風呂が沼になっていそうで怖い。箸が立つコッテリラーメンの汁のようになっていそうで怖い。

「さらには洗濯物の山よ」

「……」

 まあ、想像はしていたのだが。

「魔王様、無限の魔力で風呂掃除や洗濯とかって、なんとか出来ないでしょうか」

 女神は無限の魔力を使えば掃除洗濯思いのまま、チョチョイのチョイっスと言っておりました。

「それがあなたの仕事でしょ」

「……」

 仁王立ちで指差してウインクするなっつーの。腹立つわー、最初から最後まで!


「明日くらいに、メデューサに魔王城へ来てもらうとしよう」

 頼みたいことがあるから。

「いやーん、冗談よ冗談」


 いやーんとか可愛く言っても……駄目だ!


最後まで読んでいただきありがとうございました!!


ブクマ、お星様ポチっと、いいね!、などなどよろしくお願いしま~す!

面白かったら感想やレビューなどもお待ちしております!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
よろしければ魔王様シリーズを読んでみてください!
『魔王様シリーズ』
 
― 新着の感想 ―
[良い点] 予想以上に壮大なお話でした! 魔王様のキャラ、総出演で賑やかで楽しかったです。大団円ですね。 壮大なお話の最後が……。いかにもデュラハンらしい終わり方だと思います!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ