表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/50

7 傲慢




 「んぅ……。ふぁ、ぁ?」

 「あ、起こしちゃったかな」


 目を擦りながら起き上がる。

 目の前には、血塗れの蓮弥君が。


 ……。

 いや、怖。

 一瞬思考停止したよ。

 でも、声を出さなかった私、さすがっ!

 何でこうなった?


 ……あー、思い出した。

 いや、意識が鮮明になって来たって言った方がいいかな。

 伸びをしながら見回すと、そこら中血まみれだった。


 ……え?

 魔物10体分はあると思うんだけど、この量。

 戦闘があったとしたら、私危機感なさすぎじゃない!?

 ぐっすりだったんだけど。

 逆に凄いな。

 それだけ疲れてた……ってことなのかなぁ。


 「あー、おはよう。どのくらい寝てた?」

 「おはよう。大体7時間くらいだね」

 「そんなに? ごめん、それとありがとう」


 隣を見ると、鈴音さんが可愛らしい寝息を立てながら体を丸めて寝ている。

 起きなかったのは私だけじゃなかったみたい。

 ……でもまぁ、鈴音さんの場合は見てわかるほど消耗してたし仕方ないかな。


 ……あ、そうだ。

 なんとなく膝枕してみる。

 昨日のお返しで。


 「気にしないでいいよ、寝れる時に寝ておいた方がいい」


 ……会話が途切れた。

 ……んー、やれることがないなー。

 鈴音さんは出来れば休ませてあげたいし、起こすつもりはない。


 「あ、蓮弥君も寝たほうがいいんじゃない? 疲れてるよね?」

 「僕はいいよ。睡眠無効のおかげか眠気はないしね。体調にも変化はないから」

 「……そう? でも、無理はしないで」


 そう言っても、蓮弥君は微笑むだけ。

 睡眠無効って言うけど、睡眠は精神的にも重要だと思うんだけどな。


 ……そう言えば、SP。

 触ってなかった。

 折角だし、見てみようかな。

 これ、どうすればいいんだろ?

 SPのところ触れば良いのかな。


『残りSP:100

 取得可能

 〈魔力操作Lv1〉〈話術Lv1〉〈睡眠耐性Lv1〉〈速記Lv1〉〈苦痛耐性Lv1〉〈集中Lv1〉〈統率Lv1〉〈解体Lv1〉〈気絶耐性Lv1〉〈傲慢〉〈演技Lv1〉〈予測Lv1〉』


 正解だったみたい。

 出てきたのは、12個のスキル。

 その中で、明らかに他のスキルと毛色違う、〈傲慢〉。

 蓮弥君の持ってた〈怠惰〉と同列だと思われる、七大罪の一つ。

 ……悩む。


 今のところ、取るなら傲慢か魔力操作の二択。

 理由としては、システムの核となるスキルが弱いわけないって思考。

 でも、七大罪の名を冠するスキルとか、デメリットとかがあってもおかしくなさそう。

 厨二心はくすぐられる。

 ……そして、こんな私にお似合いだよね。


 もう一つの魔力操作だけど、就職で貰った〈精神攻撃魔法〉がこれ単体だと意味ないんだよね。


『精神攻撃魔法:精神に対して攻撃する魔法。Lv1 空白』


 この空白はかけた相手の思考に一瞬、ほんの一瞬の空白を作るって魔法。

 精神攻撃耐性を持ってる相手には多分ほぼ効かないじゃないかなー?

 Lv1だし。


 で、これを使う為に必要なのが魔力操作だと思うんだよね。

 だから、この二択。

 話術は今いらないと思うし、速記も同じく。

 解体は解析内の分解があるし、演技も今のところ必要性を感じない。

 予測はよくわからないけど、そこまで惹かれなかった。

 統率は統率するものがないし、集中も……相対的にあんまり。

 耐性系はありっちゃありだけどねー。


 ……決めた。

 〈傲慢〉。


 「っ」


 傲慢を選んだ瞬間、脳を直接揺らされるような不快感が襲ってきた。

 歯を食いしばって耐えていると、その揺れは数秒で治っていく。


 ……〈表示〉


『名前:柊 魔華

 職業:催眠術師 Lv1/20

 MP:7/7

 SP:0

 【ギフト】

 〈解析〉〈記憶〉〈隠密〉

 【コアスキル】

 〈傲慢〉

 【スキル】

 〈精神攻撃魔法Lv1〉〈精神攻撃無効〉

 【称号】

 〈傲慢の支配者〉』


 ……精神攻撃耐性が無効になってる。

 でも、まずは解析。

 蓮弥君のは無理だったけど、自分のスキルなら解析不能じゃないかも。


『傲慢:支配者スキル。大罪の一つ。他者からの鑑定を自動妨害。神へと至る資格を得る。自身のスキル熟練度上昇に極大+補正』


『傲慢の支配者:入手条件/〈傲慢〉の獲得 効果/システム由来の精神攻撃時、システム内サポートを得る。傲慢の支配領域を解放。システムの支配権を一部取得。〈精神攻撃無効〉を取得。魂魄領域を拡大』


 …………。

 よくわからないことが増えた。

 神へと至る資格に、傲慢の支配領域。

 解析はうんともすんとも言わないし、これ以上詳しくは調べられない。


 一応、わかったこともある。

 七大罪スキルは、鈴音さんの〈雷帝〉とかよりも上位のスキルらしいこと。

 鈴音さんのは準支配者スキルだったけど、こちらは支配者スキル。

 あと多分、七美徳も大罪と同格かな。


 他には鑑定妨害が支配者スキルの仕業らしいこともわかったね。

 解除は出来ないみたいだけど。


 この辺は今のところ考えても無駄かなー。

 情報が足りなそう。


 私は解析があるから良いけど、他の人たちはどうしてるんだろうね?

 食料とかも私たちは蓮弥君がいるからなんとかなってるけど、他の人たちはそうも行かなそうだけど。


 「ん……んん……ぉぁよぉ……」


 そんなことを考えていると、鈴音さんが起きた。

 ひどく寝ぼけるらしく、呂律も回ってないけど。

 天才って言われてて、会う機会もほとんどないから心の中でどこか避けてたけど、こうしてみればただの女の子だねー。

 かわいい。


 ……あ、落ち着くまで視界塞がないと。

 今の不安定な鈴音さんに、寝起きでこの光景はかなりキツいだろうし……。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ