6 支配者、それと1日の終わり
『名前:風雪 鈴音
職業:剣士 Lv1/20
MP:120/120
SP:100
【ギフト】
〈剣心〉〈雷帝〉〈深奥〉
【スキル】
〈剣術Lv1〉〈魔力操作Lv1〉〈回避Lv1〉〈雷無効〉
【称号】
〈雷の支配者〉〈深奥の支配者〉』
気になるのは、やっぱり称号のところかな。
でも先に、他のところから見ていこう。
名前、職業、SPは特に何もないかな。
でも、魔力操作とか雷無効とか元々持ってたってことだよね?
称号とか私なかったんですけどっ!
『称号:一定条件を達成すると取得。称号毎に決められた効果がある』
……うーん、これはつまり、支配者の二つはそれぞれギフトの〈雷帝〉と〈深奥〉を手に入れたから入手したって事なのかな。
入手条件もわかるかもしれないし、後回しにしよっと。
次はスキル……の前にMP。
多すぎじゃない?
それとも私が少なすぎるのかな。
7だし……可能性はある。
あれ、でも職業ボーナスで5なら、やっぱり多い気がする。
これも現状はわからないか。
『剣心:上位スキルの一つ。剣に関連するスキルの熟練度上昇に大+補正。剣・刀を使用時、システム内サポートを得る』
……強い、のかな。
システム内サポートを得る……って言うのがどんなものなのかがわからないから評価しにくい。
大補正もどのくらいかわからないし。
でもまぁ、そこまで弱くはないと思う。
『雷帝:準支配者スキル。〈雷属性攻撃Lv MAX〉〈雷光魔法Lv MAX〉〈雷術Lv MAX〉を内包する。システム由来の雷属性に対し適性を得る』
……なんか、雷属性専門のアタッカーみたいな感じ。
強い……と思う。
血雷が雷属性になったのは、鈴音さんの血を吸収したからなんじゃないかな?
『深奥:準支配者スキル。〈覚醒〉〈進化〉〈解放〉を内包する。魂魄領域を拡大』
よくわからない内容。
魂魄領域って言うのもよくわからないし、スキル3種もよくわからない。
今はいいかな。
『剣術:剣に関する技術』
『魔力操作:魔力を操作する技術』
『回避:回避行動時+補正』
なんか雑じゃない?
内容が薄すぎてわからないんだけど。
『雷の支配者:入手条件/〈雷帝〉の獲得 効果/システム由来の雷属性使用時、システム内サポートを得る。雷属性の支配権を一部取得。〈雷無効〉〈魔力操作Lv1〉を取得』
入手条件はわかった。
システム内サポートはよくわからないけど取り敢えずいい。
スキル二つもいい。
……『雷属性の支配権を一部取得』?
システムに干渉出来るってこと?
「支配権……って何かわかる?」
「支配権、ですか? ちょっと待ってください!」
鈴音さんに聞いてみると、うんうんと唸り始めた。
これは、知るあてがあるってことかな?
「僕のも一応見る?」
鈴音さんを待っていると、蓮弥君に提案される。
見て損はないと思うし、情報はなるべく集めたい。
「うん、お願い」
「はい、どうぞ」
『名前:風雪 蓮弥
職業:狂戦士 Lv1/15
MP:0/0
SP:200
【ギフト】
〈否定〉〈交換〉〈同期〉
【コアスキル】
〈節制〉〈怠惰〉〈寛容〉〈分別〉〈深淵〉〈勤勉※〉
【ハイスキル】
〈献身〉〈忍耐〉〈謙譲〉
【スキル】
〈暗黒魔法Lv5〉〈治癒魔法Lv5〉〈魔力操作Lv2〉〈破壊攻撃Lv1〉〈狂化Lv1〉〈闇無効〉〈苦痛耐性Lv5〉〈痛覚耐性Lv1〉〈精神攻撃耐性Lv5〉〈気絶無効〉〈睡眠無効〉〈状態異常耐性Lv1〉
【称号】
〈節制の使徒〉〈怠惰の支配者〉〈寛容の使徒〉〈分別の使徒〉〈深淵の支配者〉〈献身の使徒〉〈忍耐の使徒〉〈謙譲の使徒〉』
……ナニコレ?
おかしくない?
MPが0なのはこの際いい。
SPが多いのもいいよ。うん。
コアスキルって何?
勤勉だけ何故か灰色になってるけど。
『コアスキル:システムの核となるスキル』
わからないよっ!
うーん、やっぱり若干使えないよねー、解析。
『節制:鑑定不能』
え?
『怠惰:鑑定不能』
……鑑定出来ない。
なんでだろ?
でも、名前からして七大罪と七美徳……だよね?
七元徳は愛とか勇気とかだったと思うから、ちょっと違う方。
『献身:鑑定が妨害されました』
え?
思わず顔をあげる。
蓮弥君を見ても、特に何かをしたようには見えない。
…………他のも全部、不能か妨害される。
「なんか、鑑定不能だったり鑑定が妨害されましただったりで見れないや」
「えっ? 何もやってないんだけどな……。……あ、因みにコアスキルとハイスキルってやつはスキルポイントで取ったやつだよ」
……まぁ、出来ないものは仕方ないか。
職業のLv上限は、職業毎に違うのかなってくらい。
「あっ、せんぱいっ! わかりました!」
「本当?」
「はいっ! せんぱいがスズって呼んでくれるなら教えます!」
……え?
そんなに呼んで欲しい……?
「んー、鈴ちゃん、じゃだめ? 流石に呼び捨ては……ちょっと、ね?」
私がそう言うと、鈴音さんは頬を膨らませ『むー』と唸りながら考え込んだ。
呼び捨てはちょっと怖い。
少し待つと、鈴音さんが顔を上げる。
「……わかりました、今回はそれでいいです。せんぱい、もっと仲良くしましょうね! ……それじゃ、わかったことを教えます。えーっと」
鈴音さんに聞いた話によると、簡単に言えば自由度が上がる、らしい。
『システム内の攻撃とか動作は基本的に全部迷路みたいな手順があるんですけど、それがスキルによってその迷路は決まってるんです。でも、支配権があるとその迷路自体も作れて、完成形とか手順とかを変えられる……っぽいですね』と言われた。
迷路は例えらしいから、本来はもっと複雑のようだけど。
要は、普通はゲームのレシピみたいに素材も方法も決まっているけど、権限があると自分で一から工作できる……みたいな。
違うかな?
「……もう夜中だね。流石に疲れてくるだろうし、ここで休もうか」
一通り聞き終わったところで、蓮弥君からそんな提案が来る。
自分のスマホを見ると、既に日付が変わっていた。
……そんなに経ったんだ。
鈴音さんを横目で見る。
表面上は元気に見えるけど、精神的にぼろぼろ。
ただでさえ最初の戦闘で酷かったのに、その後も行き止まりで道を行ったり来たりだとか、色々あった。
休んだ方がいい、かな。
「そうね、流石に休んだ方がいいかも」
「えーっ、まだ行けるよ!」
鈴音さんはそう言ってはいるものの、空元気なのがわかる。
「鈴ちゃん、無理しちゃだめ。休もう?」
「……せんぱいが言うなら……」
物分かりがいいのは助かるけれど。
初日から、色々と不安になる。
このペースだと、いつになったら出れるんだろう。
「じゃあ、僕が見張ってるから二人は寝てていいよ。僕が信用出来ないなら起きてるのを止めはしないけどね」
そう言って、壁に背を預ける蓮弥君。
……。
「じゃ、寝よっか」
鈴音さんと二人でくっついて横になる。
枕は学校の鞄、ないよりは良い。
ダンジョン内は今の所ちょうどいい気温で、暑くも寒くもない快適な温度。
だから、一応毛布とかはなくても問題ない……かな。
それでも緊張からか、若しくは興奮からか。
中々寝られずにいると、蓮弥君が小さめのタオルケットを投げてくれた。
「ありがとう」
「気にしないで。おやすみ」