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X(Twitter)はお題の宝庫です  作者: ゆーく
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#こんなお話いかがですか


ゆーくのお話は

「ずっと貴方を捜していました」で始まり「あんまり綺麗で、目頭が熱くなった」で終わります。

#shindanmaker #こんなお話いかがですか


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「ずっとあなたを探していました」



常に冷静さを携えていた瞳を揺らしながら思い出の中に居た人物が手を伸ばした。


常に冷静さを携えた声音で「お嬢様」と呼んでいた声は記憶よりも幾分低く掠れていて、離れていた年月を厭でも知らしめたものだ。


そんな彼がまた、瞳を揺らしている。




物心ついた時には既に傍に居て、常に冷静さを纏いながら小言を述べていたけれど、どうやら今日はその小言も形を潜めてくれるらしい。


実の父よりも厳しくそして慈しんでくれた人物にありったけの気持ちを込めて笑顔を向ける。

常に皺が寄っていた眉を下げ更に瞳を揺らすから、その珍しい姿に思わず声を出して笑ってしまう。


常ならはしたないと嗜められるはずなのに彼は片手で目元を覆うからそんなに呆れさせたのかと思わずふてくされてしまう。


「なぁに?やっぱり今日もお小言を聞かなくちゃいけないの?」

「いえ、違いますよ。ただ…」


隠した目元から小さな雫が流れ落ちる。


常に冷静さを纏って私を導いてくれた人が微かに震えていた。

その姿に今までの感謝を込めて笑顔で返したが、沸き上がる想いに頬を涙が止めどなく流れてしまった。


ありがとう、そう言おうとした言葉は彼の濡れた瞳と初めてみた笑みにかき消された。



「あんまり綺麗で、目頭が熱くなったのです」



常に冷静さを纏い私を導き支え慈しんでくれた彼は、そう言って皺の増えた目元を和らげた。











没落した令嬢と執事のお話

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