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いつ書いたか忘れたけど深夜の衝動だったことは確か



歌うのが好きだ



幼子に聞かせるように優しく歌うのも

哀しみに打たれたかのように切なく歌うのも

弾みをつけてわざと調子外れに歌うのも



そこに音階があり声を乗せられるなら

どんなものでも好きだ



けれど


やっぱり




お腹にグッと力を込めて

口を大きく開けて

声が通るように喉を開いて



この目の前に広がる海の彼方まで届くように

どこまでも広がる青い青い空に響き渡るように




大きな声で自分の声をのせて

その日のお気に入りの曲を歌うことが


何より1番

大好きだ



だってそれは、やっぱり



「気持ち良い〜〜〜〜っっっっっっっ」




辺り一面に響き渡った声に応えるように太陽の光を反射した波がキラキラと光った






***





人間が嫌いだ



腹の中では別のことを考えているのも

外面ばかり気にしているのも

不平不満を嫌うのに己を棚上げするのも



心底めんどくさい



集団になったら更に最悪だ


類似意見が複数溜まったら鬼の首を取ったかのように別意見を見下す

得意げに正義感を振り回しコレ以外に正解は無いのだと類似意見を持たないものを容赦なく弾劾する


己の世界がこの世の全てと言わんばかりの視野の狭さを持つ者の多さにうんざりする

なんならいっそ憐れみを感じるほどだ


だが飯を食うためにはそんな奴らとも付き合い労働に勤しまなければならない



その場限りの会話をし

くだらない自己報告にテキトーに返し

偽善者に足を掬われないように下手に手を抜けない業務



飯を食うために癪に触る奴にも自分を殺す



馬鹿が

くだらねぇ



だが、


その死ぬほどくだらねぇことをしねぇと飯は食えないし煙草も酒も手に入らない




「ままならねぇよなぁー…」



煙草の隙間から吐いてでたものは波音に飲まれた


太陽の光を反射させながらキラキラと光る波は男の鬱々とした雰囲気に比べるとひどく場違いだった



「だりぃーーーー……」



一服しながら疲弊した身体と脳を労わる

一時凌ぎにしかならないが他にこの疲弊を落ち着かせるものがない


深く煙を吐き出す男の耳に微かな声が届いたのはそんな鬱蒼とした気分の時だった




慟哭戦慄の続きみたいな、同じ世界観みたいな。

このネタでも長編書いてみたいんだよなぁ

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