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慟哭旋律

通勤中にふと思い浮かんだ衝動突貫工事もの



「ーーーっ!」


それは意味を成さない叫びだった。

異界からきた少女は荒野に向けて力の限り叫ぶと思い出したかのようにその言葉に旋律を乗せ始めるが小さな身体から溢れ出しているかのような叫びは変わらない。

耳慣れない旋律と時折り形に成る言葉を只々聴いていることしかできない己のなんと無力なことか。


叫ぶ。

喉を張り裂けそうなほど。

しかし、それは慟哭ではない。


ただ、少女は叫ぶのだ。

自分の中にある想いを押し出すかのように。

時折り旋律をのせて、歌に変えて。


そして、叫ぶことをやめた少女は肩で息を切らせながら暫し茫然とする。

その姿にすら気安く声をかけることが憚れた。


只々彼女の姿を見つめていれば、少女はゆっくりとこちらに振り返って、


「…はは。すごい、きもちよかった」


そう笑う彼女が美しくて、息を呑む。

胸を詰まらせた私は情けないことにやはり言葉を紡ぐことができなかった。





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