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#新刊書き出しお題
ゆーくの新刊は『 彼が光なら私は陰だ。 』から始まります。
#shindanmaker
shindanmaker.com/685954
彼が光なら、私は陰だ。
冷徹、無慈悲といわれるこの人は無駄を嫌う。
長々とした口上は一刀に斬り伏せ、労を担う報告には簡潔にまとめなければその視界にも耳にも入らず、労いの言葉などない。
そんな人が、私には「よくやった」と、一言の言葉をくれる。
無駄を嫌うこの人がくれる一言は、他の誰の言葉よりも深く自分に染み渡る。
だから私は、その言葉を胸に今日も刃を構える。
私を見つけ出してくれたこの人のために
無駄を嫌うこの人の視界に入るために
ただ一言、その言葉をいただくために
彼が光なら、私は陰だ。
手を伸ばすことすら烏滸がましく思うこの距離も、彼の眩しさに目が眩む私には丁度良い。
私は陰だ。
彼の光を翳らせる者を排除する陰。
陰はいつでも光と共にある。
それでいい。
胸に灯る想いを抱き、私は今日も彼の傍にいられるのだから。




