表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

前編

 むかしむかし、あるところにネズミが歩きながらたびをつづけています。ネズミは、歩くのをとちゅうで止めるとあたりをキョロキョロと見回しています。


 そんな時、草むらからシマネコがいきなりネズミにとびかかってきました。


「うまそうなネズミを見つけたぞ。大きな口に入れて食べちゃおうかなあ」

「う、うわっ!」


 ネズミは、いそぎ足でひっしににげようと走りつづけています。シマネコのほうも、ネズミをつかまえようと後ろからおいかけています。


 そこへ通りかかったのは、どこかのんびりとしたふんいきの大きな牛です。ネズミは、すぐさまその牛の毛の中にもぐりこみました。


「あのネズミ、どこへかくれやがった」


 とつぜんすがたをけしたネズミをさがそうと、シマネコは大きな牛に話しかけました。


「おい! ここらへんを走っていたネズミはどこにいるんだ!」

「う~ん、そんなのは知らないなあ」


 のんびりとした大きな牛の口ぶりに、シマネコはいかりをにじませながらもほかのところへ行きました。シマネコがいなくなったことをたしかめると、ネズミは大きな牛の毛の中から顔を出しました。


「おやおや、どうしてわしの毛の中にネズミがいるんだい」

「牛さん、ごめんごめん。シマネコがぼくを食べようといきなりおそいかかってきたんだ」


 ネズミがこれまでのいきさつを話すと、大きな牛はのんびりとそれを聞きながらすぐにうなずきました。


「ところで、ネズミはどうしてこの道を歩いていたんだい」

「ぼくはねえ、ウサギさんのおもちが食べたくてさがしているけど……。どこに行けばいいのか分からなくて」


 大きな牛は、ネズミのねがいを聞いてすぐにあの場所のことを思い出しました。


「それなら、わしがそのおもちを食べるところまでつれていってあげようか」

「わあ~っ! 牛さん、ありがとう!」


 ネズミは、大きな牛にのってウサギのおもちが食べられるところへ行くことになりました。けれども、草むらからそのようすをのぞいていたシマネコは自分のえものを見のがしません。


「へっへっへ、あんなのろまな牛といっしょなら、すぐに大きな口でネズミをのみこむことができるぜ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ