3話
「あーあーあーあーあーあーあーあーあーあー」
1人残されたサイトはふてくされていた
「なんだよ、なんでもしてくれるって言ってたくせにさ、セルのおじちゃんだって安全だって言ってたのに……」
ビセキルムはなんでしてやるとは言っていないがそこは自分の都合の良い方に解釈するという子供の特権を使っているので言っていることになっている
「おや、あなたは行かなかったのですか?」
そこに通りかかったセルテンが問いかける
「そーなんだよ‼︎酷くない?連れてってくれるって言ってたのに〜」
「(チッ)そうですか、ですが今日はもう家に帰りなさいあなたもう3時間は同じことを言ってここにとどまっているようじゃないですが、受付のティルや厨房のライも心配してましたよ」
ティル(28・男)やライ(33・男)は留守番の時にサイトが会館に来てはよく世話をしてくれる会館の職員の中でも特に仲の良い2人である。その2人が心配そうにサイトの方を見ていた
「うん……そっか、そうだねもう帰るね、みんなばいばーい」
そう言って肩を落としサイトが帰路につく直前セルテンが声をかけた
「もしどうしても森へ行きたいというのなら明日またここに来なさい」
「それって連れて行ってくれるってこと⁉︎」
「なんでそうなるんですか?まぁとりあえず行くならば明日は早いうちに来なさい」
セルテンの声かけに対しサイトが目を輝せて返事をするとセルテンは面倒くさそうに返事をした
「セルおじちゃんまた明日ね‼︎バイバイ」
さっきと違い元気いっぱいに家に帰って行くサイトであった
時間経過
「おはよー‼︎」
昨日の帰りと同じかそれ以上のテンションで会館に入ってきたサイトは待ちきれないといった様子で辺りを見回しセルテンの姿を探す。しばらくそうしているとセルテンが副ギルド長室からでて来たのでそれを見て堪えきれないようで更にテンションが上がりセルテンに声をかけた
「セルおじちゃん今日はどうやって行くの?いつ行くの?ほんとに大丈夫?」
「同時にいくつも質問しないでください、一つずつお教えしますので、まずどうやって行くかですが空を飛びます、いつ出発するかですが今からです。大丈夫とはなにを心配しているのかは知りませんが戦力的問題を心配しているのなら一切心配いりません。私高位魔導師兼白金級冒険者ですので」
興奮して次々と繰り出される質問にしっかりと答えていくセルテンであった
「ではそろそろ行きましょうか」
セルテンはそう言うと杖を構えた
【いと清らかなる風の乙女の疾風よ今一度我らを彼方へと導く風の加護を授けたまえ[飛翔]】
セルテンが呪文を唱え始めると周りが淡く緑色に輝いたかと思うと風が吹き始め体を包み込んだ、そしてすぐさま体が浮かび森の方へと2人を運んでいった
「うわっ⁉︎お、おおぉおぉぉぉぉおぉお」
「サイト君慣れなさい、ある程度成長すれば安定した空中移動はできて当然ですよ、将来なにになるとしてもこの感覚に慣れておきなさい」
空中での体勢の取り方に慣れていないサイトは上下左右安定せずにぐるぐると回っていたらセルテンが声をかける。この言葉によりサイトはバランスをとろうと集中する、すると5分の内3秒程度ではあるがバランスがとれるようになった。始めての空中移動にしては中々の成果である
そうこうしているうちに2人は氷龍の森上空に到着した
数少ない読者の皆様更新が遅くなり申し訳ありませんでした。明日からはまた毎日投稿します(予定)