第1話
とある世界のとある国の田舎の塀に囲まれた町で1人の少年が走っている
年は6才くらいであろう
「ハッハッハッハッ……」
少年は走る、追手から逃げる為に息は上がり手足もだんだん力が抜けていく
「どこだ、どこに隠れた‼︎」
大声をだして自分を探している大人の声がする
けれど止まれない理由がある諦めず一歩また一歩と足を前へと進める
「もうすぐ、あとちょっと、あと少しで大通りにでるそしたら会館はすぐそこだ‼︎」
少年は自分に言い聞かせて走る
だが現実は非情であった……
「見つけたぞぉぉぉ‼︎」
その男は少年を見つけるなりすぐさまそのがっしりとした腕で少年を捕まえ持ち上げてぐるぐると回し
少年を抱きしめて叫んだ
「捕まえたぞ俺の愛しい息子よ!」
男は少年の父であり名前をビセキルムといった。職業は現役冒険者の中でも中堅どころ(冒険者には等級があり活躍に応じて上下する)に位置する剣士であったそんな相手に子供が逃げ切るのははっきり言って絶対に無理である
「う……」
少年が呻き少年の父は首を傾げる
「うぉぉおえぇぇぇ!」
少年は吐いた。それはもう思いっきり
まぁ走り回ったすぐ後に急に持ち上げられたらそりゃ吐くよね
閑話休題
少年の全力の逃走を終えて2人は冒険者ギルド会館に併設されている酒場で休憩していた
「ビム君はそのすぐはしゃいじまう癖なおしなよ、はいこれ」
そう言って水を差し出してくれたのはビセキルムの冒険者仲間の1人で共にパーティーを組んでおり少年の名付け親でもあるホムラであった
ホムラは活動的な雰囲気を出しているビセキルムとは反対の落ち着いた風な雰囲気を出していた
ビセキルムとホムラは共に金級の冒険者であり小規模なダンジョンなどであれば2人だけで制圧が可能なほどの実力を持っている
ホムラはビセキルムに問いかける、その問いかけには謎の威圧感があったと後にビセキルムは語る
「今日はまたどうしたんだい?いつもならサイトは留守番させてるのに今日は連れてきて」
ビセキルムは少したじろぎ答えた
「あ、あぁ今日はギルド長の呼び出しがあったろ?でも今日は久々に親子の時間が取れる貴重な日だ、そこで俺は思ったわけだ家からここまで俺に捕まらずに来れたら親子の交流を一日中楽しむ、俺が捕まえられたら親子の交流はまた今度っていう条件で勝負をしたら解決するのでは?と。あぁ、もちろんハンデありでだぞ」
ホムラはそれを聞いていくに連れなんとも言えないといった様子になっていった
「あのねぇビル仮にも金級冒険者の追跡を5才の子供が振り切れるわけないじゃないか、それに目的地も分かってるとか君に有利すぎると思うよ」
「むぅそれを言われると返す言葉も無い」
ビセキルムは罰が悪そうにそろ言うとサイトの頭をわしゃわしゃと少し荒っぽく撫でてこう言った
「すまんかったな、サイト。詫びと言ってはなんだが何かして欲しいことはないか?」
言われたサイトは少し考えこんでから口を開いた
「……じゃあ僕は氷龍の森の中に入ってみたい‼︎普段父さんがダメって言うけれど今日はホムラさんも居るしいいよね?」
それは町から少し離れたところにある森のことで名前の由来は遥か昔に氷龍が住んでいたと言う伝承があることであるまぁ眉唾ものではあるし、今は貴重な薬草から豊富なきのみや動物が暮らす豊かな森である
そう言われ複雑そうな顔をして悩んでいるビセキルムに声をかけてくる者がいた
「まぁいいんじゃないですかね、あなたたちこれからそこへ行くことになるんですし。それにあなたたちが居れば子供1人守りながらでも戦えるでしょう?」
「まぁそうなんだが……って、え?」
ビセキルムとホムラが後ろを振り向くとそこには1人の男が立っていた
『げ……くそジジイなんでここに?』
2人はあからさまに嫌そうな顔をしたがそれを無視して
「あなたたち今何か失礼なこと言いませんでした?まぁそれはそれとして今日来てもらったのは君たちに依頼があるからでしてね、簡単に言うと薬草採取です氷龍の森に行って〈龍涙草〉を採ってきて欲しいんですよ。それと私がここにいる理由はギルド長が先程冒険者ギルド本部からの呼び出しをくらい伝言を私が承ったので伝えに来ました」
薬草採取それは駆け出しの冒険者である鉄級が主にする仕事であり本来なら金級冒険者の2人が請け負う仕事ではない2人が疑問を持つと副ギルド長のセルテンは言葉を続けた
「本来あなたたちに頼む仕事では無いんですが少々異常がありましてね、〈火炎猪〉が数匹確認されているんです。その討伐可能で有れば並びに原因の調査も行っていただきたいのです、報酬には色をつけておくのでよろしくお願いしますよ」
と言ってセルテンは去っていった
火炎猪自体はそこまで戦闘能力が高くもなく鉄級の1つ上の銅級冒険者がきちんと対策をしていれば難なく倒せるのでビセキルムかホムラどちらが居れば何十頭いようと討伐できるだろう
だが問題は別にある。普通モンスターは自身のナワバリから移動することはほとんどないあるとすれば著しく飢餓状態にあるか外からやってきた別のモンスターに襲われた時が大半である
氷龍の森には生息していないモンスターである火炎猪が氷龍の森にいるということはそのどちらかの可能性が高い。前者であるならば少しの間警戒していればいいが後者である場合は生態系や地形が大きく変動しないうちにしっかりと調査した後迅速にそのモンスターを討伐すべきである
ビセキルムがそう思案している中ふとサイトの方を見てみると
サイトは目を輝かせて興奮した様子であった
だがしかしビセキルムはサイトに向かって釘を刺した
「サイト今回はお前を連れて行かないからな」
「……え?なんで⁉︎さっきセルのおじちゃんも父さんたちがいるなら安全だって言ってたのに」
「よく聞いてくれ、今回はモンスターがたくさんいるって言ってだだろ、何かあってからじゃ遅いから今回は留守番しててくれ!な、頼むよ取り返しがつかなくなってからじゃあ遅いんだ」
ビセキルムはサイトを森へ行かせない為になんとか言い聞かせてみる、だがしかしいつもビセキルムに留守番をやらされているサイトは学んでいた
「お願い父さん、僕父さんの活躍を近くで見てみたいんだ」
上目遣いで必死におねだりする様は幼い容姿と相まって反則的かわいさを生み出していたそれはもう親バカであるビセキルムが連れて行かないという主張を変えてしまうほどには
「しょうがないなぁ今回だkeeee」
横からそのやりとりを見ていたホムラは流石に止めようと(さっきまでの子供を守るためにたとえ嫌われようと意思を貫いていてカッコいいと思ったら即手のひら返ししたので好感の意を返せという若干の八つ当たり含む)パンチを繰り出した
「なにしやがる‼︎」
「しっかりせんか‼︎きちんと子供を守るのは親の勤めであろう、絆されとる場合か?」
その言葉で元の主張を思い出したビセキルムはサイトにどうにか留守番を承諾してもらいホムラと共に森へ向かった
読んでいだだきありがとうございます。おはこんばんございますわこノユです‼︎今回人生で初めて小説を書いています、これからも応援していだだければ幸いです。
この小説が面白いと思ったり続き読みたいと思ったらぜひ少し下にある星を5つ、微妙だったなと思えば星1つを押して評価とブックマーク登録をお願いします。