シュガー奮闘記
みなさん、こんにちはこんばんは。
どうも!ぼくの名前は『シュガー』、ごくごく普通の農民さ!
三男坊のぼくは成人になったこのタイミングで立ち上がり!ルークスルドルフ王国の騎士団の門を叩いたんだ!
完璧に上手くいく、村に居た時はそんな自信しかなかった!
全ては上手くいく!そう、思ってたんだけど……。
「帰れ!ここは貴様みたいな農民風情が来ていい場所じゃないんだよ!畑でも耕してろ!」
はい、叩き出されましたよ。
あれ〜?おかしいな。
門番の機嫌でも悪かったのかな?
ぼくが来たのになぜだ?
こんな逸材放っておかないだろう?
ぼくがいた村ではぼくが一番強く勇敢な戦士だったのに…………まあ農民だけどね。
芋の守護者だったのに。
ぼくの完璧な計画が始まる前から転けてしまったぞ?
どうしようかな。
ん?あれは?看板?
なになに?ふむふむ。
『急募!君も将来の騎士団団長を目指そう!しかし何事も基礎が大事!騎士団長だってここ出身!騎士見習募集!早い者勝ち!』
まあ速攻飛び付いたよね。
「ぼくの名前はシュガーです!よろしくお願いします!」
「うむ。元気なのは良いことだ。励めよ!」
「はい!」
上官っぽい快活なオッサンに肩をバンバン叩かれて痛かったけど、まあ許してあげるよ。
ん?宿舎に案内?はいはい、今行きますとも。
どうやらこれから数ヶ月訓練を行なって最後の試験を合格すれば晴れて準騎士になれるらしい。
まあちょちょいとこなしてトップ合格してやるぜ!
っとそんな風に思っていた頃もあったなぁ。
いてて、身体中がアザだらけだよ。
あのクソ、いやブタ教官め。
訓練が始まってひと月経過……つらすぎる!
なんだこの訓練!という名の拷問は!
1日中クッソ重い甲冑着ながら走ったり!
回避訓練という名の狩猟!
もちろんぼくが追われるウサギさんね。
魔法やら弓やらが飛んできて本当に死ぬかと思ったよ!
剣術訓練も基礎は最初の2日で終わり、あとは自主訓練だと?
あとはご想像の通り、サンドバッグだよ!
剣も弓も魔法も上達しない!
上達したのは打たれ強さだけだ!
もうほとんど折れちゃったけどね!
クソォ、クソォ!ぐぬぬ、しかし!ぼくはまだ完全には折れてない!
半年は耐えるんだぼく!
そうすればぼくの勝ちだ!
見てろよクソども!
「おい!そこのクソ!そうお前だお前!いつまでもサボってんじゃねえぞ!飯抜きにすんぞ?」
「申し訳ございません!!!ただちに訓練再開します!」
「ふん、言われる前に動けゴミクズが!俺の手を煩わせるなよな!!」
「はっ!!!」
酒臭えんだよブタめ!
お前がブヒブヒ言ってる間にぼくはお前の手が届かない高みに行ってやる!
そうだ!今は実戦経験を積むのが大事だから冒険者ギルドに登録してみるか。
魔物だろうが人だろうがぼくの道を邪魔する奴等は斬り捨ててやる!
ふふふ。
特に問題なく登録出来たぞ!
そしてジョブも獲得した![見習い剣士]だけどすぐに上がってやるぞ!
明日から騎士見習の訓練と冒険者ギルドの依頼をこなすぞ!
ぼくに休んでる時間は無いからね。
よし!登録からひと月、だいぶ力が付いてきたな!
ブヒブヒ喚く教官の攻撃も最低限のダメージで切り抜けられる様になったし、何より魔物との実戦経験がぼくを更なる高みへと押し上げた!
人同士にはない野生の命のやり取り!
あのひりつく感覚は村では味わえないものだ。
それだけでここに来た甲斐があったというものだ。
そして更に、ジョブもあれから近距離系と遠距離系をバランス良く納める事で技の幅も広がった!
完璧だ!完璧にぼくの輝かしい道は築き上げられた!
いいぞ!このままいけば予想通り。
あと数ヶ月で帝国との戦争は起きる!
そこで更なる戦果を上げ、ぼくは!ぼくは英雄になる!
ふふふ。
待ってろよ!
俺のためにな。
ぼくの野望のために!