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キマイラ転生  作者: てつまめ
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劇的ビフォーアフター

 念願、ではないが寝そべれる広さの家をGETしたリオンは購入した翌日リノアとウピルを連れ邸宅を訪れる。

マリーから話を聞く限りそこまで放置された物件ではないし、定期的に清掃が入っているらしいが人が住んでいないので、どうしても多少埃っぽいと言われたので綺麗好きのリオンさんは本日、邸宅改造と掃除を行う事にした。

邸宅は二階建、風呂トイレが各階に2つの計4つ。

風呂といっても湯船は1階のみ、他は洗面所仕様。

布で身体を拭く程度しかできない。

部屋は1階に左5部屋、右3部屋。

左は1人用の部屋で主に使用人か客室。

右がひと部屋が広めになっていて、執務室や接客などで使用するのだろう。

それとは別に広々としたキッチンが付いている。

2階は左右5部屋ずつで1階の左側の部屋と殆ど同じ造りだ。

ザッと確認を終えたリオンはリノア達に自分達の部屋を決める事と掃除を指示すると、ひとり2階の左部屋の端の一室に入る。


「のんびり寛ぐためにはこの壁は邪魔だよなぁ」


 独り言ちたリオンは手を壁に向けると四隅まで魔力を展開、すると一瞬で4枚の壁を消し去った。

なんという事でしょう。

先程まで壁に隔たれた暗く寂しい小部屋だったものが、吹き抜けの明るい大部屋に大変身したではありませんか。

匠はスタスタ歩き、状態の細部を端から端まで確認してうむうむと納得すると匠ことリオンは幻術と擬態を解き床に仰向けで寝転んだ。


「あぁ……我、満足也……」


 目を閉じ微笑んでいると大量の抗議の念話が飛んでくる。


(こらー!リオン!急に戻らないでよー!)

(そうだそうだー!せっかくお料理してたのにぃ!)

(もう少し常識を身に付けた方がいいわよ)

(クソが!)

(珍しく僕が外に出た時に限って、ハァ……怠いなぁ)


 そんな抗議を全て無視したリオンはやはりテースタだけ戻らず念話も来ないのに対して暫し思考を走らせる。

その間も念話と物理的な抗議は続くが気にしない。

鬱憤を晴らせるのも主人格の自分の責務だと謎理論を展開し一旦無駄な思考を切り捨てた。


(おい爺!聞こえるか?………ふむ、繋がってるがこれは無視してる感じだな。コイツらと爺の魔力線に何か違いでもあんのか?んー、見ても違いが分かんねえな。こういうのに詳しい奴って誰だろうなぁ)


 リオンの脳みそで考えても答えは出ないので餅は餅屋、という事で数少ない知り合いを頭に思い浮かべ答えを知ってそうな奴を捜す。

といっても現在リオンの正体を知ってて協力的なのはマリーだけなので、彼女を今の所トップにしてこの話題を終了させた。

意識を全体に戻すとルプにツバサ、ブロブ、あと不在のテースタ以外が未だに攻撃しているので嗜める。


「いい加減にしろテメェ等!家まで壊す気かよ、ぶち殺すぞ」

(あぁ!リオンが開き直った!わたしのご飯の恨みはこの家を破壊するんだぞ〜)

(ガハハ!よく言ったオピス!)

「黙れゴミども!金食い虫のテメェ等のせいで俺が金稼がなきゃならなくなったんだろうが!一生飯抜きにするぞ!」


 リオンが放った言葉にロンがグルルと喉を鳴らしながら口角を上げる。


(バカかリオン、我がそんなんで引くわけないだろうが!我にこんな家など関係ないんだよ!なあ、オピス!)

(ごめんなさーい!)

(ガハハ、そうだそう………ん?は?)

(ぜんぶロンに言わされたの〜。わたしは仕方なく付き合ってあげてただけ〜)

(おい!)

「バカな赤トカゲめ。その絶壁幼女は食に全振りなんだからそうなるだろうがよ。まあとりあえず邪魔だからテメェは中に居ろ、邪魔だクソボケカス」

(お、おい!クソッ、覚えてろよ!)

(……品の無い会話ね)


 ボソッと言葉で刺してくるツバサを無視したリオンはロンの頭をグイグイ身体に押し込み強制収容した。

そんなタイミングでガチャリと音がしてリノア達が入ってきた。


「リオーン、1階の掃除は終わったよ〜。って2階も同じだと思ってたけど、こっちはセパレートになってないのね」

「む?いやリノアよ、この部屋からご主人様の魔力を感じるからの、おそらくぶち抜いたのではないかの」

「え?いやいや、さすがにそれはないでしょ。音も聞こえなかったし魔力感知に引っかかってないよ?それにこの壁?があったらしい場所も綺麗過ぎて元々こういう部屋だったって考えた方が普通でしょ」

「カカカ、リノアよ。お主は今どなたの元で生活しておると思っとるんじゃ。してご主人様よ、真実は如何に?」

「あぁ、さっき俺がぶち抜いた」

「……………」

「カカカ」


 ジト目のリノアと高らかに笑うウピルを見ながら次は家具類かと思い起き上がると天井に頭を擦る。

そして出入り口を見てふと思う。

この姿だと外に出られんと。

家具類より先に対処が必要な箇所を発見したリオンはポクポクと考え、短絡的に中央のドアをリオンサイズにするべく魔力を四隅に穿つと再度空間事消滅させた。

実際目の当たりにしたリノアとウピルは納得するが、リノアは気になっている事を口にした。


「扉も今から付けるの?」

「ん?あぁ、扉……やっぱ必要か?」

「え?いや、当たり前じゃない?いやまあリオンが要らないんなら付ける必要ないと思うけど」


 思ってもみなかった返しに若干あたふたしながら返答すると少し考え込んだリオンは結局後日業者に頼んで作成してもらう事にした。

自主作成しないのかと問われた際には扉はやっぱ木だろうと。

土や金属は嫌だもんなとの話で決着し流れた。

一段落したので次に向かうべきは風呂だ。

広いといっても人間仕様なのでリオンさんサイズではミニチュアサイズなのだ。

なので普通に出入り口を消滅させ中に入り風呂場を観察する。

前の持ち主が風呂にこだわりがあったのか中々立派な風呂場で魔石を埋め込む仕組みの湯沸かし機能があった。

さすが元貴族邸だなと思いながら部屋を見渡す。

湯船を広げると部屋一面が浴槽になるので、部屋を拡張する事にした。

サクッと隣の部屋を見るとトイレだったので即ぶち壊し拡張完了。

この世界は基本汲み取り式なので土魔法でペタペタ埋める。

幸いにも使用前なので臭いの心配もない。

そもそもリオンは植物みたいに排泄をしない謎生物なのでトイレは関係ないが、リノアとウピルがいるので後でテースタに話して現代地球レベルに改造してもいいかもしれないと考えている。

知っていればの話ではあるが。

 思考を戻し無駄にデカい部屋にあったトイレを潰した事で十分な広さを確保した風呂場を拡張した。

リオンがスッポリ入る広さと深さに満足していると2階の掃除を終えたリノア達がやってきた。


「うわー、やりたい放題だね。大浴場じゃん。こんな広いお風呂なんて大貴族くらいしか持ってないんじゃない?知らないけど。それでお湯はどうするの?」

「この魔石に魔力を流せば魔法陣の効果範囲内の水を昇温してくれんだよ。試してみるか」

「カカカ、では湯ができたらひとっ風呂浴びるかの」

「掃除やってもらったからな、いいぞ」


 リオンが水を張って魔石に魔力を流すと昇温が開始する。

しかし拡張前とは規模が違うので時間が結構掛かるみたい。

リオンが魔法陣をジーッと見ているとリノア達が話かけてくる。


「どうしたの?何か気になるの?」

「いや、遅えなと思ってよ。この魔法陣をデカくするとか書き換えれば効果が上がると思うんだがよ。お前等分かるか?」

「んー、すまんなご主人様、儂は全く分からぬな。カカカ」

「私も魔法陣は専門外だから分からないなぁ」

「まあお前等はそうだよな」


 リオンが再度狭い交友関係を広げようとすると下からリノアが「あっ!」と何かを思い付いた顔をしたので視線で先を促した。


「そういうのは魔法学院の学院長に投げようよ。それか勉強しているんならイヴに聞いてみるとか、いい考えでしょ?」

「確かにお前にしてはまともな意見だな。しかしあのババアかぁ……とりあえずイヴに聞いてみるか。さてと、今日はこれで沸かすか」


 リオンが火魔法で拳大程の煌々に輝く火の玉を湯船に落とした。

即座に気化し始めた湯船にザブンとリオンが入り自らを温度計にして温度調整をこなし良い塩梅にする。

火魔法を消した事でリノアとウピルが普通に入ってきた。


「使うならコレ渡しとくぞ」


 ボトボトと空間から石鹸とシャンプーコンディショナーもどきを渡す。

これ等はちょくちょく多方面で暴れていた時にちゃっかり貴族邸から盗んだ戦利品だ。

リノア達も気にせず使い始めた。

これもマリーの家にいた時から普通の光景となっている。

なんとマリーの借家は貴族邸でもないのに小さいながらも浴槽が付いていたのだ。


(さてさて、これでこの家に関して今できる事は全てやったな。あとは……情報か。明日は一学生に戻ってみるか)

(じゃあ、わたしは学院長の部屋でお菓子食べてるね〜)

(わたしもわたしも〜)

(おう、お前等は勝手にしろや。ただし俺に迷惑掛けんじゃねえぞ)

「ねぇ、リオン」

「ん?なんだ?」


 視線を下げるとリオンに掴まっているリノアが話かけてきた。


「なんでこのお湯こんな真っ黒なの?身体も真っ黒になったりしないよね?」

「俺の魔力が湯に溶けてるだけだから恐らく問題ねえな。染まるかどうかは、知らねえな。クハハハハ」

「んー、確かにリオンの魔力を感じるけど、私の純白の翼が真っ黒になるのは嫌ね」

「良いじゃねえか真っ黒。イケてるよ」

「イケてないよ?まあ、いいや。それとさ、イヴはこっちに住むの?マリーの所に残るの?」

「あぁ、そういや聞いてねえな。俺としてはどっちでもいいが、帰ってきたら聞いてみるか」


 その後他愛も無い話をしながら湯を満喫した3人だった。

ちなみにリノアだけのぼせと魔力過剰摂取により倒れた。

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