第3幕 ウンチ軍曹と5匹のチビたち
諸君、ごきげんよう。
私だ!
軍曹だ!
おっと、初めて読む方には初めましてと言わせてもらおうか。
元伝説の勇者改めウンチ軍曹である
・・・というか、
今回からタイトルをウンチ軍曹と5匹のチビたちに変更だと言ったのに
サブタイトルじゃないか!?
これではモチベーションがダダ下がりなのである!
まあいい
今日は諸君に驚きの報告がある。
唐突ではあるが、チビたちが育ったのである。
はち切れんばかりに育ちきってしまったのである。
結論から言えば、八頭身のマッチョに育ち申したのである!
いま私の目の前でポージングなさっておられるヤツらは
ハッキリ言って気持ち悪い。
マンドラゴラのシックスパックなど見たくないのである!
そして不思議なことに、どこからかギャラリーが集まり
我が植木鉢がちょっとしたステージ状態なのである!ライブ状態なのである!
しかもディープでコアなファンがついてしまい
ここいら周辺がちょっとしたカオスと化しているのである。
そんなことを思っていたら、今度はどこからか神輿をもってきて
私を神輿に乗せてワッショイワッショイ始めたのである。
なんだか訳が分からんうちに祀り上げられたのである!
分からんうちにウンチ祀り上げなのである!
八頭身のマッチョなマンドラゴラが、ウンチを神輿に乗せてワッショイワッショイ!
ギャラリーもトランス状態でワッショイワッショイ!
カオスである!おじいちゃん、ちょっと戸惑うぐらいにカオスである!
・・・諸君、流行というものは怖いものである。
あれほどにカオスに賑わっていたのが嘘のように静かなのである。
急激な熱を持った流行は、冷めるとここまで穏やかなものなのかと考えさせられるのである。
ワッショイワッショイ!の流行は終わって、新たに到来したブームは座禅なのである。
ツラいのである。
誰もが無言で座禅を組んでいるが、私がちょっと物音を立てただけで皆がキッ!っと睨むのである。
押すな押すなは、押せの合図というが
物音を立ててはいけないと言われると、立ててしまいたい衝動が我慢できないのである。
そんな時、私の背後から近づいてくるものが。
「フッ、やってるね」
そう言って現れたのはオバチャンパーマに厚化粧姿に変わり果てたぺっぺちゃんだった。
ぺっぺちゃんはどこからか椅子を持ち出すと、パツンパツンに広がった網タイツをはいた足を組んでタバコを燻らせながら語りだしたのである。
「アタシもさぁ、若いころにはヤンチャしたもんだよ」
いや誰も聞いてないのである。
えっ、というか私は場末のスナックかもしくはバーのマスター的な設定なのか!?
演じなくてはならないのか!?
演技派女優バリに"顔ぶたないでよ、私女優なんだから"にならなくてはいけないのか!?
まあいい、ここは静観だ!
「未婚の母で、子供五人なんて産んじゃってさあ」
いやオマエの息子は目の前で座禅組んでるのである!
「笑っちゃうよね」
イヤ、笑えねえよ。
「でもさあ、この歳になって思うんだよね」
昔の事みたいに言うな、つい先日の事じゃねえか!
「あの頃は煌めいていたってね」
オマエもキラキラした思い出引っぱってる系か!?
ってか、不思議の双子ネタをここまで引っ張ってくるか!
ぺっぺちゃんは遠い目をしている。
「邪魔したね、お代はここに置いておくよ」
そう言って得体のしれない丸い球をいくつか残して、ぺっぺちゃんは去っていったのである。
そしてそのまま帰ってくることはなかった。
それと同時に私は悟ったよ。
あぁ、私の仕事も終わったのだなと。役割を終えたのだなと。
明日からは私もただのウンチだ。
センチメンタルなただのウンチだ。
人知れずそっと舞台を降りる所存なのである。
つづく・・・オチどうしよう