幕間5 奇妙な鳥
前回のポイント・サハギンの襲来を退けた!
暗殺者とその仲間は、空を見上げている。
天候が気になっていることもあるけれど、それよりも鳥が気になっている。
もちろん、単なる鳥じゃない。
仲間の、奇妙な鳥だ。
「来たな」
暗殺者と仲間の前に、奇妙な鳥は降り立つ。
「結果は?」
暗殺者の問いに、奇妙な鳥は首を横に振る。
「失敗、か」
「クーデリアの暗殺に失敗したのか?」
「元から、クーデリアを暗殺するつもりはない」
「お前は、裏切り者なのか?」
「むろん、今回に限っての話だ」
暗殺者は苦笑する。
「今回?」
「今回の目的は、クーデリアの暗殺ではなく、船の破壊だ」
「前者ではなく、後者を目的にした理由は何だ?」
「不可能だからだ」
暗殺者は指摘する。
「不可能?」
「サハギン程度では、クーデリアの暗殺は不可能だ」
「そのため、船の破壊を目的にした?」
「だが、それさえうまくいかなかった。護衛の三名は、予想以上に強敵だ」
暗殺者は渋い顔になる。
「それよりも、船を破壊してしまっていいのか?」
「どうして、船の破壊を渋る?」
「スカーレットに追いつかれる」
「その可能性はあるが、足止めする必要がある」
暗殺者は主張する。
「なぜだ?」
「我々の手で、確実にクーデリアを仕留めるためだ」
「お前……死ぬつもりか!」
「それぐらいの覚悟が、必要だということだ」
暗殺者の覚悟に、仲間は黙る。
「自暴自棄にだけは、なるなよ?」
「我々の目的は、クーデリアの命。そのためには、何であれ利用する」
「何であれ?」
「野良の魔物、天候の悪化、それに偶発的な事故」
暗殺者の言葉は、不吉に響く。
「次の作戦を伝える。次は、船の破壊と標的の暗殺を両立してくれ」
「方針を転換するのか?」
「可能なら、両立。不可能なら、一方」
「その場合、成功の確率は、極端に下がるぞ?」
「構わん」
暗殺者は頷く。
「策があるのか?」
「本命はある。今は、そのための地ならしだ」
「そういうことは、先に言え。自暴自棄になったのかと、心配したぞ?」
「心配させて、悪かった。だが、我々も覚悟を決める必要があるだろう」
暗殺者は表情を引き締める。
「第二フェーズに移ってくれ。そして、必要に応じて第三フェーズに移ってくれ」
暗殺者は指示を下す。
「伝言は受け取ったし、指示は下した」
「我々も、動くのか?」
「この町に留まっていても、仕方ないだろう」
「独自に動くのか? それとも、騎士団とともに動くのか?」
「それは――」
暗殺者の返答は、消えた。
奇妙な鳥の飛び立つ音によって。
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前回の話のネタバラシです。
クーデリアの活躍が次回以降なのは、この話に絡んでいます。
どうやら、奇妙な鳥は敵みたいですね。




