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幕間4 聖堂騎士スカーレット

 前回のポイント・スカーレットは、聖堂騎士だった!

 宿に戻ったスカーレットを出迎えたのは、腹心の部下だった。


「早いわね、どうしたの?」


「聖域の守りが、突破されました!」


「嘘でしょう……?」


 スカーレットは耳を疑う。


「本当です! その証拠に、一体の光の巨人が再生中です」


「一体とはいえ、光の巨人を打ち倒した恐るべき敵は?」


「近くの森が一つ吹き飛んでいますから、巻き添えを食らったものと思われます」


「激突の余波ね。滅んだのかしら?」


 スカーレットは考える。


「その話とは別に、見知らぬテイマーの一行が確認されています」


「報告するということは、目立つのね?」


「リーダーは、異人の少年です」


「異人の少年……キラタロウのことね」


 スカーレットは納得する。


「そのテイマー一行に、問題があるの?」


「その中に、手配書の人物によく似た、少女が含まれているそうです」


「当たりね」


 スカーレットは歩き出す。


「スカーレット様、どこへ?」


「そのテイマーのところへ」


「なぜです?」


「そのテイマーが、聖域の守りを突破したから」


 スカーレットは主張する。


「偶然の一致でしょう?」


「少なくとも、必然だと思わせるものが、あの少年たちにはあったわ」


「それは?」


「仲間は私を警戒していたし、少年は私を調査していた」


 スカーレットは指摘する。


「身を隠しているでしょうけど、探せばいいわ。町を囲めば、いつかは見つかる」


 スカーレットは立ち止まる。


 予想に反して、目当ての人物を見つけたから。


「キラタロウ!」


「スカーレットさん?」


 タロウは振り返る。


 その横には、フードをかぶった人物がいる。


 当たりね、とスカーレットは思う。


「俺に、何か用ですか?」


「あなたというよりも、あなたの連れに用があるの」


「連れ……彼女のことですか?」


 タロウは、フードの人物を指し示す。


「悪いんだけど、そのフード、取ってもらえるかしら?」


「彼女、顔見知りなんですよ?」


「手荒な真似はしたくないんだけど、どうする?」


「しょうがない、少しの間だけですよ?」


「構わない」


 スカーレットは頷く。


 タロウは、花嫁に接するようにフードを取る。


 そこにいたのは――


「……誰だ?」


「そりゃ、スカーレットさんは知りませんよ。俺の連れなんですから」


「そういうことではなく、彼女は誰だ?」


「俺の運命の相手です」


「名前は?」


「スラリーヌ」


 スラリーヌは、ペコリと頭を下げる。


「目当ての相手とは、違うんですよね? それなら、そろそろ行かせてください」


「急いでいるの?」


「急いでいます。東の桟橋に、乗船予定の船が来てるんです」


「東の桟橋、ね」


 スカーレットは頷く。


「最後に、一つ聞かせて。聖域には、どうやってやってきたの?」


「ペガサスに乗って、やってきました」


「ペガサス? 見当たらないわよ」


「野良の魔物に襲われて、怪我を負ったんです。今は親切な人に、預けてます」


「……そうか、わかった。行っていいぞ」


 スカーレットは了承する。


「それじゃあ、また会いましょう、スカーレットさん」


「ああ、また会おう、キラタロウ」


 二人は対照的な笑みを浮かべると、別の方向に歩き出した。


 不機嫌そうに押し黙った上司に、腹心の部下は囁く。


「スカーレット様、当てが外れましたね?」


「当てが外れたとは、思っていない。ただ、確証が持てないだけ」


「連れの少女は、手配書の人物とは似ても似つかなかったのに?」


「似ても似つかないからこそ、怪しんでいるの」


 スカーレットは根拠を示す。


「そう言えば、テイマー一行でしたよね?」


「それが?」


「他の仲間は、どこに行ったんです?」


「それは……そういうことか!」


 スカーレットは回れ右をする。


 それに合わせて、腹心の部下も回れ右をする。


「スカーレット様、どうしました?」


「さっきの少女は、仲間のスライムが〈擬態〉した偽物だ!」


「本物は?」


「仲間のゴーレムとともに、船で待っているのだろう」


 スカーレットは、東の桟橋に向かう。


「要するに?」


「私は、騙されたのだ。私を騙すために、キラタロウは待っていたのだ」


「何のために?」


「合法的に、町を抜け出すために!」


 スカーレットは、東の桟橋に着く。


「船は、どこだ?」


 スカーレットと腹心の部下は、手分けして船を探す。


 すると――


 出発する寸前の一隻の船が、目に止まる。


「あれだ!」


 スカーレットは船に近づく。


「止まれ!」


 その声に合わせて、船は止まる。


「私は、聖堂教会の第二騎士団団長、スカーレット。船内を確認させてもらう!」


 スカーレットは船に乗り込むと、船内をくまなく探して回る。


 しかし――


 予想に反して、目当ての人物はいなかった。

 それどころか、いるはずのタロウもいなかった。


「なぜだ……?」


 船から下りたスカーレットは、呆然とその場に立ち尽くした。

 読んでくださって、ありがとうございます。

 ブックマーク等の応援、ありがとうございます。


 完全にスカーレット主役の回ですね。

 それでいて、出し抜かれるのはお約束です。

 種明かしに関しては、次回になります。

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覚醒テイマーの成り上がり
設定を変えた別バージョンは、全部書き直してます。
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