第84話 光の巨人
前回のポイント・暗殺者は、奇妙な鳥に報告書を渡した!
神々の伝令による、飛翔。
それは、「清々しい」の一言に尽きる。
問題は――
速過ぎること。
高過ぎること。
墜落したら、大問題だろう。
「貴殿、フラグを立てるのはやめてくれないか?」
「恋愛フラグ?」
「馬鹿、墜落フラグだ!」
「恋愛フラグと墜落フラグ、相反さないよ?」
「貴殿は……」
クーデリアはため息をつく。
速過ぎるし、高過ぎる。
そのくせ、守護者に守られているため、不快さは一切ない。
俺も、ゴレタも、クーデリアも、天空からの景色を楽しんでいる。
スラゾウも、ペガサスも楽しんでいるに違いない。
「この世界には、宇宙はないみたいだな」
「宇宙?」
「海みたいなものだよ」
「オレは、海もわからないっす……」
「これから、わかるよ? 海に行く機会もあるだろうし」
「いろいろな場所に、行ってみたいっすね!」
ゴレタははしゃぐ。
「貴殿、そろそろ聖域が近づいてくるぞ」
「聖域?」
「聖堂教会の直轄領だ」
「それはわかるけど、どうして聖域?」
「それはもちろん、聖域の守りがあるから……まずい!」
クーデリアは表情を歪める。
「どうした?」
「このままだと、聖域の守りに反応する!」
「そうなったら?」
「我々は墜落する!」
俺たちは息を呑む。
「どうすればいい?」
「聖域の守りに反応する前に、着陸すればいい」
「猶予は?」
「まだある……馬鹿な!」
クーデリアは驚愕する。
クーデリアの視線の先には――
光の巨人。
「あれは、何だ?」
「光の御子の残した、防衛機能だ!」
「要するに?」
「墜落する!」
直後――
神々の伝令と光の巨人が、ぶつかり合う!
その衝撃は、「すさまじい」の一言。
巨大な隕石が落下したみたいに、周囲の岩や木がなぎ倒される!
何より――
「ほへっ?」
スラゾウの〈神化〉は解除され、元に戻っている。
合わせて、光の巨人も消えている。
神々の伝令と光の巨人と、相打ちだったんだろう。
「そんなことよりも――」
俺は言葉を呑む。
俺たちは、まっさかさまに落下を始める。
「うぎょー!」
「うにょー!」
「うひょー!」
俺たちは絶叫する。
「クーデリアは?」
「気を失ってます!」
「ペガサスは?」
「気を失ってるっす!」
よく見ると、クーデリアとペガサスは気を失っている。
おそらく、激突の余波に耐えられなかったんだ。
「ご主人、このままだと、地面に叩きつけられます!」
「兄貴、そうなったら、絶対に助からないっすよ!」
「エクストラスキルは……無理そうだな」
「それなら――」
「どうする――」
スラゾウとゴレタは対応を迫る。
確認の間も、落下は続いている。
戸惑っていると、地面に叩きつけられる。
「スラゾウ、風呂敷になってくれ!」
「風呂敷?」
「マントみたいなものだ」
「それが?」
「風呂敷を翼の代わりにして、飛ぶんだ」
「無茶言わないで!」
スラゾウは反論する。
「なぜば、なる!」
「ならない!」
「とりあえず、変化してくれ!」
スラゾウは首を縦に振る。
俺は、スラゾウグライダーを広げる。
果たして――
落下の速度は、緩やかに下がる。
ただ、やはり勢いを保っている。
「ゴレタ、薪を形成して、重くなってくれ!」
「重くなる?」
「そうしたら、俺たちよりも早く、地上にたどり着ける」
「その場合?」
「その場合、俺たちを受け止められる」
「兄貴、重くても、先には落ちないっすよ」
ゴレタは指摘する。
「へっ?」
「重くても軽くても、落ちる速度は一緒なんすよ」
「ゆでによると、重いほうが先に落ちるんだぞ?」
「ここは、ゆでの世界じゃないっす!」
「それなら、どこにゆでの世界はあるんだよ!」
ゴレタは首を横に振る。
そうしているうちに、地上が見えてくる。
残された時間は、限られているみたい。
「ご主人!」
「兄貴!」
「ゴレタ、スラゾウ、みんなを一箇所に集めてくれ!」
俺の指示に、スラゾウとゴレタは従う。
「〈異世界王〉の効果発動! 俺は、みんなを守る!」
俺は宣言する。
同時――
俺は〈異世界王〉の効果により、一足早く地面に落下する。
直後――
ドゴーン!
爆音が、轟く。
その中心は、もちろん俺。
俺は、俺以外の全員を受け止めたんだ!
「スラゾウ、ゴレタ、大丈夫か?」
「大丈夫です!」
「大丈夫っす!」
「クーデリアとペガサスも、大丈夫そうだな」
俺たちは頷き合う。
「何事もなくて、よかった――わけねえだろ!」
めちゃくちゃ痛かった。
実際、手も、足も、首も、変なほうに曲がっている。
「今回は、さすがに死ぬかと思ったよ……」
俺は苦笑する。
「とりあえず、どこかに隠れよう」
「隠れる?」
「ここは、言ってみれば敵の支配地域だ」
「要するに?」
「危険だ」
スラゾウとゴレタは頷く。
「よし、行こう!」
クーデリアとペガサスを抱えた俺たちは、急いでその場を離れた。
読んでくださって、ありがとうございます。
ブックマーク等の応援、ありがとうございます。
落下の部分は、削除した外伝の一部を流用しています。
これは、ネタ不足のためではありません。
単にわたしが、話に入るのが苦手なためです。




