幕間2 暗殺者
前回のポイント・タロウは、計画二を実行する!
議事堂の一室。
そこに、聖堂教会の第一騎士団は集まっている。
「宿を押さえたか? それなら、次はギルドを押さえろ!」
グレゴールは指示を下している。
指示は、的確。
それでいて、迅速とは言いがたい。
なぜなら――
クーデリアを狙う暗殺者が、情報を押し留めているから。
クーデリアの命を狙う、絶好の機会。
そのくせ、暗殺者は焦燥感に駆られている。
「グレゴールに先んじて地下道を押さえたのに、どうして成果は上がらない?」
本来なら、今頃、クーデリアの死を見届けているところ。
実際に手を下さなくても、配下の魔物が手を下す。
そうでなくても、仲間の暗殺者が手を下す。
それなのに、いまだ何の成果も上がっていない。
それどころか、いまだ何の報告も上がっていない。
「どういうことだ?」
暗殺者は困惑する。
すると、仲間の一人が歩み寄ってくる。
「計画は、失敗だ」
「失敗? 罠を仕掛けたのに、計画は失敗したのか!」
「暗殺対象は、罠に引っ掛からなかったんだ」
「なぜだ!」
暗殺者は憤る。
「同行者の中に、テイマーがいるんだ」
「我々も、テイマーだぞ?」
「どうやら、魔物の情報から、我々の計画を察知したらしい」
「……冗談だろう?」
暗殺者は驚く。
「冗談ではないから、報告している」
「魔物から情報を読み取っても、罠からは逃れられないぞ!」
「それでも、暗殺対象は罠から逃れたんだ」
「それはつまり――」
暗殺者は言葉を呑む。
クーデリアの同行者は、我々の上を行ったのだ!
「クーデリアの同行者は、罠の存在を警戒していたのだろう」
「なぜそう思う?」
「そうでもない限り、罠からは逃れられないからだ」
「そうだとしても、外への出口は間近だぞ?」
「だからこそ、その同行者は恐るべき相手だ」
暗殺者は指摘する。
「優れた観察力と優れた判断力を、兼ね備えているのだろう」
「何者だ?」
「わからん。だが、強敵なのは間違いない」
暗殺者は唇を噛む。
今頃、その強敵は、こちらを見下しているに違いない。
私にかかれば敵ではない、と。
「見下していられるのも、今のうちだぞ」
「勝算はあるのか?」
「私たちを出し抜ける相手だ。グレゴールも出し抜けるだろう」
「つまり?」
「機会は、まだある。そのために、強敵の正体を知るべきだろう」
暗殺者と仲間は頷き合う。
「待っていろよ、絶対にお前を出し抜いて、クーデリアを殺すぞ!」
暗殺者は誓いを立てた。
読んでくださって、ありがとうございます。
ブックマーク等の応援、ありがとうございます。
今回の主題は、タロウの能力の高さの証明です。
本来なら、仲間の役目でしょう。
しかし、スラゾウとゴレタはその役目を果たしません。
だから、暗殺者にその役目を果たしてもらいました。




