第66話 依頼達成
前回のポイント・町に戻った!
町に戻った俺たちは、番兵を介してケインに連絡する。
ほどなく駆けつけたケインは、俺たちの姿に絶句する。
「タロウ君、大丈夫か!」
「まぁ、大丈夫です」
「君のことだから、依頼を達成したんだろう?」
「依頼は、達成しました。さらに言うと、それ以外の問題も解決しました」
俺は結果を強調する。
「それ以外の問題?」
「地下に巣を作ってた魔物を排除して、捕まってた人たちを救出したんです」
「依頼以外の仕事もこなしたのか!」
「そうなりますね」
「君は、すごいな。正直、別世界の住人みたいだよ」
ケインは、俺の出自を怪しんでいるわけじゃない。
その意味は、英雄のような存在だ、と言いたいんだろう。
「スラゾウ、スキルに『英雄』みたいなものはないのか?」
「英雄のスキルですか? 聞いたことはないですね」
「そもそも、勇者とか、賢者とか、聖女とか、そういうスキルはあるのか?」
「称号としては存在しますけど、スキルとしては存在しないはずです」
スラゾウは否定する。
「もっとも、その成功がスキルのおかげだとしたら、隠すよな?」
「その場合、どうなるっす?」
「絶対にないとは言い切れない」
「こういう時こそ、〈異世界王〉の出番っすね」
ゴレタは指摘する。
「タロウ君は、そういうスキルを欲しいのか?」
「欲しいんじゃなく、あるのかもしれないと思ったんです」
「自分に、自信を持ちきれないんだね?」
ケインは俺の葛藤を見抜く。
「失敗は、成功につながります。同じく、成功は失敗につながります」
「不安を抱くのは、悪いことじゃない。悪いのは、不安に押し潰されることだ」
「自信の過剰も問題ですけど、自信の不足も問題ですね」
俺は苦笑する。
「本題に戻ると、救出したのはこの六人です」
「全員、一度に捕まったのかね?」
「状況上、二度に分かれるようです」
「二度?」
ケインは引っ掛かる。
「一度目に二人、二度目に四人、前者に見覚えがあるでしょ?」
「エリザ君とアンナ君!」
「後者は、時を同じくして、さらわれたんでしょ。全員、助けられて、よかった」
町の中は騒がしいらしく、その六人は目覚める。
「ここは……?」
「どこ……?」
エリザとアンナは、辺りを見渡す。
「ボードレスの町だよ。敵を倒して、地下を抜けて、町に戻ったんだ」
「助かったのね、よかった」
「戻れたんだ、嬉しい」
「君たちは、家に帰って休むといい。後は、俺たちに任せてくれ」
俺は配慮する。
「また今度ね!」
「また明日ね!」
エリザとアンナは、兵士に付き添われながら家路に着く。
「それじゃあ、また!」
俺は見送る。
「ありがとう、お兄ちゃん!」
「ありがとう、お兄さん!」
「ありがとうございます、テイマーさん!」
「ありがとうございます、異国のお方!」
捕まっていた四人は、一斉に礼を口にする。
「気にすることはない、当然のことをしたまでさ」
俺は照れ笑いを浮かべる。
「またね!」
捕まっていた四人は、やはり兵士に付き添われながら家路に着く。
「またな!」
俺は見送る。
「俺たちは、どうしよう?」
「疲れているんだろう?」
「はっきり言って、めちゃくちゃ疲れてますね」
「それなら、情報交換は明日以降にしよう」
「構わないんですか?」
「構わない。問題は、解決済みだ」
ケインは頷く。
「言われてみると、その通りですね。明日以降、詰め所に立ち寄ります」
「ただ、ギルドには立ち寄るべきだろう」
「その理由は?」
「フェルさんが、君たちを探していたからだ」
「それなら、エリザたちは無事だ、と伝えに行きます」
俺は頷く。
「それじゃあ、明日以降に会いましょう!」
「それでは、明日以降に会おう!」
ケインと別れた後、ギルドに向かう。
その間も、疲労に悩まされる。
本来なら、宿に向かうところ。
ただ、その前にやるべきことがある。
もちろん、依頼の達成の報告。
なぜなら、初めての経験だから。
ギルドに到着すると、中に入る。
昼間とは違い、中は閑散としている。
時間的に、いわゆる「店じまい」なんだろう。
受付に向かうと、そこには――
ギルドマスターのフェル。
受付嬢のマリー。
「依頼を達成したよ」
「その点に関しては、問題視していないわ」
「他に、問題視する点があるの?」
「実は、複数の怪奇現象が報告されているの」
「怪奇現象?」
「怪奇現象よ。具体的には――」
マリーは面倒くさがらずに、一つずつ教えてくれる。
いわく、突然、地下が崩壊したこと。
いわく、穴から、強烈な光が漏れたこと。
いわく、光を割るように、飛び上がったものがいること。
「それ、全部、俺たちのせいです。その理由は――」
俺も面倒くさがらずに、一つずつ教える。
「俺から言えることは一つ――」
「私から言えることも一つ――」
「依頼達成――」
「おめでとう!」
フェルとマリーは拍手する。
「お前たち、よくやったぞ!」
「あなたたち、よくやったわね!」
フェルとマリーは、褒め称える。
文句のつけようのない賞賛に――
「「「いやぁ」」」
俺たちは照れ笑いを浮かべる。
読んでくださって、ありがとうございます。
ブックマーク等の応援、ありがとうございます。
本当の意味での達成報告は、今回が初めてです。
これまでは、なし崩しに依頼を達成し、報告していました。
そのため、今回は特別のその場を設けました。




