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第65話 神々の伝令

 前回のポイント・ジュドメル以下、クトーニアンを滅ぼした!

 困難が予想されるため、たくさんのコンダクターが拒否した依頼。


 俺は、それを見事に解決したんだ。


「一度に、複数の問題を処理したんだぞ? 俺には、英雄の素質がある!」


「ポンコツ英雄ですね?」


「ガラクタ英雄っすね?」


「お前ら、ぶん殴るぞ?」


「暴力反対!」


「不当契約!」


 スラゾウとゴレタは、プラカードを掲げる。


「スライムとゴーレムには、俺の偉大さはわかるまい」


「スライムでも、わかりますよ」


「ゴーレムでも、わかるっすよ」


「そうか?」


「エロですね」


「変態ですね」


「お前らには、聞かん! エリザとアンナちゃんは、俺の偉大さがわかるだろ?」


 反応は、なかった。


「どうして、反応しないんだ?」


「ご主人、大丈夫ですか?」


「兄貴、大丈夫っすか?」


「どういう意味?」


「エリザは、気を失っています。最強チートを発動した際の光で」


「アンナも、気を失ってるっす。最強チートを発動した際の音で」


 スラゾウとゴレタは呆れる。


「それじゃあ、俺の雄姿を見届けたのは、お前らだけ?」


 俺は振り返ると、真偽を確かめる。


 スラゾウとゴレタの言った通りだった。

 他の四名と同じく、エリザもアンナも気を失っている。

 寝息は安定しているから、問題ない。


 そうしているうちに、激しい揺れに襲われる。


 グラグラ! グラ! グラグラ!


 今回の揺れは、不規則。

 おそらく、自然災害。


「地震?」


「地震じゃなく、地響きですね」


「違いは?」


「今回の場合、前者は完全に自然災害、後者は人為的な自然災害」


「要するに?」


「オイラたちにより引き起こされた、地下の崩壊ですね」


 スラゾウは示す。


「配慮は、無駄だったか……」


「配慮?」


「〈雷神の鉄槌(トールハンマー)じゃなく、〈必滅の神槍(グングニール)〉選んだのは、このためなんだ」


「地下の崩壊を避けようとしたんすね?」


「どうやら、その目論見は失敗したみたいだ」


「結果は残念だけど、対応は評価できるっすよ」


 ゴレタは慰める。


 グラ! グラグラ! グラ!


 会話の間も、揺れは続く。

 しかも、だんだんと強くなっている。

 ほどなく、地下は崩壊するだろう。


「地下の崩壊は、食い止められるか?」


「無理ですね」


「無駄っすね」


「それなら、当初の予定通り、脱出しよう」


 俺の判断に、スラゾウとゴレタは同意する。


「スラゾウ、エクストラスキルを発動してくれ」


「了解」


 スラゾウは頷く。


〈 神々の伝令(モードヘルメス)〉!」


 直後――


 開けた空間に、神々の伝令が降臨する。

 その大きさは、俺の数倍以上ある。

 もちろん、その正体はスラゾウ。


 神々の伝令は、悠然と微笑む。

 それに合わせて、神々の伝令の翼が広がる。

 それは瞬く間に、俺たちを包み込む。


 神々の伝令は、舞い上がる。

 俺、ゴレタ、エリザ、アンナ、捕まっていた四名。

 その重さを感じさせない、軽やかさで。


 同時―ー


 ゴゴッ!


「始まったな」


 音を立てて、地下は崩れ出す。

 しかも、その速度は尋常じゃない。

 気づいた時には、地面は崩れ去っていた。


 さらに、砕けた岩は、弾丸のように降り注ぐ。

 その岩の雨の中を、神々の伝令は優雅に舞い上がる。

 守護者の存在により、俺たちは安全なんだ。


「飛翔を止めてくれ!」


 その言葉に伴い、神々の伝令の飛翔は止まる。

 空中に静止している形。


 俺は、手を差し伸べる。

 その手に、触手が巻きつく。


 神々の伝令の懐に入ってきたのは――


 小さいクトーニアン。


「飛翔を続けてくれ!」


 その言葉に伴い、神々の飛翔は再開する。

 その速度はすさまじく、それでいて風圧を感じさせない。


 あっという間に、地下を抜け出す。

 それどころか、天空へと飛び上がっている。


「――!」


 小さいクトーニアンは、びっくりしている。


「お前を助けたのは、ジュドメルの最期の願いだからだ」


「――!」


「お前はジュドメルのように、狭い世界で生きて死ぬなよ」


「――?」


「ジュドメルにはジュドメルの、お前にはお前の、一生があるんだよ」


 俺の助言に、小さいクトーニアンは、理解したように鳴く。


 やがて降り立ったのは――


 町の周囲。


 あのままだと大騒ぎになるため、町から距離を取ったんだ。


「問題は、クトーニアンだ」


 クトーニアンと向かい合う。

 小さいクトーニアンは、こちらを見ている。

 そこからは、興味は感じられるものの、敵意は感じられない。


「クトーニアン、君はこれからどうするつもりだ?」


「――!」


「人には服従しない、それでいて人には敵対しない?」


「――!」


「それなら、君の好きにするといい。ただし――」


「――?」


「もし報復を望むなら、その時は容赦しないし、躊躇もしない」


 俺の言葉に、クトーニアンは納得したように鳴く。


 それから、クトーニアンは地面を掘り進める。


 そして、その姿を消す。


「クトーニアン、今度こそ人間と敵対するなよ」


 俺はクトーニアンの再出発を見送る。


「よし、手分けして、みんなを起こそう」


 その試みは、うまくいかなかった。

 全員、すやすやと眠っているから。


「みんな、疲れてるんだろう」


「疲れるのは当たり前です、そろそろ日が暮れます」


「日は沈みつつあるから、背負って町に帰りましょ」


「よし、みんなを背負って、町に帰ろう」


 俺の判断に、スラゾウとゴレタは同意する。


「俺は、エリザとアンナを背負う。ゴレタとスラゾウは――」


 俺の言葉は、途切れる。


「「エロ目的!」」


 スラゾウとゴレタの反対意見によって。


「どうして、非難する!」


「下心が見え見えですね!」


「スケベは嫌われるっす!」


「それなら、どうする?」


 俺の問いに、スラゾウとゴレタは答えを示す。


 結果――


 俺は、老婆を背負っている。

 ゴレタは、他の五名を背負っている。


 もちろん、ゴレタは土を形成して、巨大化している。

 スラゾウは、ゴレタの肩に乗り、周囲を警戒している。


「納得いかん!」


「ご主人、うるさいですよ」


「兄貴、声を落として」


「どうして、俺はおばあさんを背負ってるんだ?」


「それが、最適だからです」


「必要だと、説明したっす」


 スラゾウとゴレタは応じる。


「呪いにより、老婆と化してる美少女の線はないのか?」


「ご主人、すごく惨めです」


「兄貴、すんげぇ格好悪いっす」


「うるせえ、何なんだよ、この状況は!」


 俺は愚痴る。


「どこかに、可愛いヒロイン、落ちてないかなぁ!」


「ご主人、ついに頭が狂いました?」


「兄貴、とうとう頭腐ったっすか?」


 スラゾウとゴレタは心配する。


「考えてみると、宿には俺の帰りを待ってる、ヒロインがいるじゃないか!」


「待ってないでしょ?」


「待ってないっすよ?」


 スラゾウとゴレタは嘆息する。


 下らない冗談は、疲労と痛みをねじ伏せるためのもの。


 そうしないと、俺も、スラゾウも、ゴレタも倒れてしまうんだ。


「町に着いたら、ドラ飯のステーキを食べるぞぉ!」


「町に着いたら、スラ屋のシチューを食べますよぉ!」


「町に着いたら、ゴレ亭のタルトを食べるっすよぅ!」


 こうして俺たちは、ボードレスの町に帰還した。

 読んでくださって、ありがとうございます。

 ブックマーク等の応援、ありがとうございます。


 当初、クトーニアンは全滅するはずでした。

 しかし、ジュドメルの最期の言葉により変わりました。

 生き残ったクトーニアンは成長し、群れを形成するでしょう。

 その時、人間とは敵対しないはずです。

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覚醒テイマーの成り上がり
設定を変えた別バージョンは、全部書き直してます。
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