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第55話 アンナ防衛

 前回のポイント・アンナと合流した!

 俺は、最初の指示を下す。


「スラゾウ、弓に変化してくれ」


「弓ですね、了解」


 スラゾウボウを構えながら、次の指示を下す。


「ゴレタ、アンナを守ってくれ」


「守るんすね、了解」


 俺の肩から飛び降りたゴレタは、アンナの前に回ると警戒を始める。


「よし、迎え撃つぞ!」


 対応している間も、ナイトゴーントの群れは、こちらに迫っている。

 距離としては、数十メートル前後。

 近いような、遠いような、微妙な間合い。


「お兄ちゃん、矢はあるの?」


「矢そのものはない、ただ矢として使えるものはある」


「矢として使えるもの?」


「これさ」


 俺は荷物から取り出した、焚き火用の薪を示す。


「そんなものが使えるの?」


「普通の弓なら、使えない。でも、スラゾウの弓なら、使える」


「どうして?」


「スラゾウは、万能だからさ」


 矢の代わりとして、薪を弓にセットする。

 当たり前のように、薪は弓の中にはまる。

 弓を引き絞ると、『矢』を放つ。


 ヒュン!


 鋭い音を立てて、即席の『矢』は飛ぶ。


 そして、狙った通り、ナイトゴーントの顔に突き刺さる。


「キィィィ――」


 ナイトゴーントの声は、途絶えた。


 直後、そのナイトゴーントは、地面に落下する。

 倒れたナイトゴーントは、ほどなく光に包まれ、消える。


「倒したの!」


「倒したよ」


「どうして?」


「顔が急所だからさ」


 俺は指摘する。


「人と同じく?」


「人だとすると、心臓に当たるんだろう。だから、貫ければ倒せる」


「だから、石を使わなかったの?」


 俺は頷く。


「もし投石器により石を飛ばしても、顔に当たるだけだ」


「その場合は?」


「その場合は、人だとすると、胸を叩いただけだ」


「苦しいね」


 アンナは頷く。


「苦しいけど、倒せない」


「だから、『矢』を使ったの?」


「そう、貫ける可能性のあるものを使ったのさ」


 アンナは納得する。


「お前たち、アンナちゃんをしつこく追いかけたことを、後悔させてやる。それが嫌なら逃げろ、俺はお前らとは違って、しつこく追いかけない」


 俺は威圧する。


 魔物にも脅しは通じるため――


「キィィィ?」


 ナイトゴーントは、不安そうに鳴く。


 ナイトゴーントの弱点は、顔。

 しかも、貫通によるダメージ。

 そう把握した俺は、弓による攻撃を繰り返す。


 一度目とは異なり、二度目以降は、ナイトゴーントも警戒している。

 そのため、当たることは多いものの、倒せることは少なかった。

 それでも、弓を引き絞り、『矢』を撃ち続ける。


「牽制?」


「もちろん、牽制。目的は、敵を追い払うこと」


「お兄ちゃんはコンダクターなのに、好戦的じゃないんだね」


「フェルによると、好戦的なコンダクターはまずいらしい」


「だから、自制してるの?」


 アンナは興味を示す。


「それもあるけど、今回の場合、殲滅するとエリザとの合流が困難になる」


「もしかして、敵を追い払い、その後を追いかけるつもり?」


「そのつもり。エリザの居場所の特定には、それが必要不可欠だ」


 会話の間も、ナイトゴーントの群れは迫っている。

 そのうち、『矢』の雨をかいくぐった三体が、アンナの前に来る。

 だが、その前にゴレタが立ちふさがる。


「アンナには、指一本触れさせないっすよ!」


 アンナを捕まえるため、ナイトゴーントは地上付近に下りている。

 それじゃあ、格好の的だ。

 ゴレタは跳びはねると、ナイトゴーントの顔を蹴り飛ばす。


 グニャリ!


 ナイトゴーントの顔は、歪む。

 威力そのままに、ナイトゴーントは壁にぶつかる。

 急所への痛打に、ナイトゴーントは地面に倒れる。


 だが、その個体に対して、ゴレタは攻撃しない。

 攻撃するのは、別の個体。

 再度跳びはねると、顔を殴り飛ばし、地面に叩きつける。


「兄貴!」


「了解!」


 今のやり取りは、役割分担の合図――


「一体、二体、三体――」


 俺は、身動きが取れないナイトゴーントを、一体ずつ確実にしとめていく。


 群れの半数ほどを倒すと、ナイトゴーントたちは逃げ出す。

 戦闘の継続は、無理だと判断したんだろう。

 その後を、俺たちは追いかける。


「アンナ、怪我はないか?」

「大丈夫、エリザお姉ちゃんが助けてくれたから」

「そのエリザは?」

「……わからない。でも、無事だと思う」


 アンナは曖昧に答える。


「どうして、離れ離れになったんだ?」

「祝賀会の準備のために、二人で買い物に行くと、人だかりが見えたの」

「突然、道に穴が空いたらしいね」

「その騒動を見てたら、穴から現れた今の怪物に、あたしが捕まったの」


 アンナは表情を曇らせる。


「そしてエリザは、君を助けようとしたんだね」

「実際、助けられたの。だから、離れ離れになったの」

「要するに、エリザは君を逃がしたのか?」

「そう、エリザお姉ちゃんは、あたしの身の安全を優先してくれたの」


 アンナは泣き顔になる。


「そういう経緯なら、エリザはこの先にいるんだろう」

「たぶん」

「エリザが君を助けたのは、自分なら万が一の時でも助かるからだろう」

「そう思う。ただ――」


 アンナは言葉を切る。


「ただ?」

「タロウお兄ちゃんが、助けてくれるまでの間なら逃げ回れる、と言ってたの」

「期待されてるね。その期待に、応えてみせるよ」

「うん、あたしも協力する」


 しばらく追いかけた後、俺たちは立ち止まる。

 ナイトゴーントの群れが、逃げた場所を確認したから。

 おそらく、この先にエリザはいるんだろう。


「スラゾウ、元に戻ってくれ」

「了解」

「ゴレタ、肩に戻ってくれ」

「了解」

「問題は、この後だ。――どうする?」


 焦点は、アンナ。

 アンナのために、一度地上に戻る?

 エリザのために、アンナを連れたまま先に進む?


「ご主人、そもそも地上に戻れるんですか?」

「戻ろうと思えば、簡単に戻れる」

「その根拠は?」

「俺には、最強無敵チートがある」

「ああ、あの胡散臭い能力ですね」

「胡散臭いは、余計だ。でも、あれなら簡単に戻れると思うだろ?」


 スラゾウは頷く。


「それなら、どうして躊躇してるんすか?」

「問題は、地上に戻った後だ」

「戻った後?」

「肝心の最強無敵チートは、いつまで続く?」

「地上に戻った時に切れたら、その後が大変なんすね」

「下手すると、ここに戻ることさえ、困難を極めるだろう」


 ゴレタは頷く。


 問題の能力は、エクストラスキル。

 発動すれば最強になれるし、無敵にもなれる。


 ただ、能力の性質上、時間制限があるんだ。

 さらに一度発動すると、次までに一定の間隔を必要とする。


「お兄ちゃん、あたしは大丈夫だから、エリザお姉ちゃんを助けよう」

「その場合、君の身が危険にさらされるかもしれないけど、構わないか?」

「もちろん、構わない」

「もちろん?」

「だって、エリザお姉ちゃんは、あたしをかばって敵に捕まったんだもん」

「わかった、一緒にエリザを助けよう」


 アンナは頷く。


「みんな、一息ついたら、エリザを救出するぞ!」


 俺は判断を下す。

 読んでくださって、ありがとうございます。

 ブックマーク等の応援、ありがとうございます。


 ナイトゴーントの弱点は、適当です。

 それらしいものを見繕いました。

 本当の強みは、タロウ、スラゾウ、ゴレタの成長です。

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設定を変えた別バージョンは、全部書き直してます。
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